ハロー・ベルリンとコーナー・ビストロ(NYで本場のジャンク・フードに参加する)

気がつけばもう師走も半ばだ。

いやこの都並にとっては鰤走(ぶりわす)である。それくらい毎年この時期はなんだかんだと忙しいのだが、今年も例年にもれず忙しい。まず大学全体の忘年会があってアセトアルデヒド漬けになったりとか、四年生は卒論でおおわらわになっていてそれに付き合っている都並も文字通りのおおわらわになったりとか、入試の時期でもあるのでその問題検討があったりとか、その隙をついてクリスマスのTDRを二日に亘って堪能したりとか、そして帰ってきてみたら大学関係者が刑事事件を起こしていたりとか、早くも来年度のカリキュラム作りに忙殺されたりとか、とにかく忙しいのである。

その隙をついて、NY旅行記の記事の追加をする。なぜかというと、当ブログの訪問者の検索ワード/フレーズを何気に見たところ、都並が九月に訪問した、マンハッタンはMoMAの近くに店を出しているホットドッグのベンダー、「ハロー・ベルリン」と、チェルシーのアイリッシュ・バーでハンバーガーが有名な「コーナー・ビストロ」の店名を検索ワードに訪問された方がいらっしゃったからである。

とりわけ、「ハロー・ベルリン」のほうを調べていた方は「場所」というワードとのセットで検索されていたので、ひょっとすると今頃は、あの屋台の場所を探しているのかもしれない、そして都並の怠慢でその情報を提供できなくて、お店を発見できない、という悲しい結末を迎えようとしているのかもしれない。

それは申し訳ない、ということで書く。

といいつつ実際は、これらの店については、勝手にリンクを貼らせていただいているサイトに充分に情報があるし、この本を読むと大体情報がつかめるのだけれど(都並自身これを読んで知った)。

Cimg0071 「ハロー・ベルリン」は54丁目と5番街の交差点の南西に店を構えている(別の言い方をすると、MoMAのあるブロックの北東角にある)、「おいしい」と評判の”伝説の”屋台のホットドッグ屋さんである。これは、ジャンク・フードが大好きな都並と、ソーセージが大好きな奥さんにとってははずせない。

が、屋台なので移動もありえるし、行くまで見つかるかどうか不安だったが、実際近くまで行ってみるとすぐ見つかった。

事前の情報によると行列必至だという話だったが、そんなこともなくあっさりと買えた。

Cimg0073 メニューは、パンにソーセージがはさんである通常のホットドッグ(MercedesとかBMWとかドイツ車の名前がついている。ソーセージの種類で名前が異なる)と、ソーセージとジャーマン・ポテトとザウアー・クラウトがパンに挟まれることなく、ひとつの皿に「ぼんっ」と盛られていて、パンはというと申し訳なさそうに別についてきて「後はお前の勝手にしろ」という脱構築的なメニュー(Double soul mixとか名前がついている)がある。

Cimg0072 が、違いは組み立て前か組み立て後かというだけのような気もする。都並と奥さんはこれを一個ずつ買って食べた。

味はというと、確かにソーセージもポテトもキャベツも美味しい。が、いかにもアメリカ的な、というか日本的な、というか、従順なソーセージがぶっきらぼうなパンに挟まっていて、その悲しみをたっぷりのケチャップとマスタードになだめられている、というあの味を予想していくと、その予想は外れる。

要は、「君たちがふだん何気なく食べているホットドッグね、あれの構成員はもともとこんな人たちだったんだよ」と思い起こさせてくれる味である。そういう異国情緒あふれるホットドッグなのである。

ちなみにこのベンダー、ほかのサイトではベルナデットさんとロルフさんが売り子をやっていて、ロルフさんが愛想がいいと書かれていたが、僕の行ったときはあいにくベルナデットさんだったらしく、愛想もくそもなかった。冗談で「ダンケ、シェーン」と言ったのに何のリアクションもなかった。

それから難を言うと、周りにゆっくり座って食べられる場所がないので、そこは覚悟されたし。奥さんは過去の記憶を頼りに「MoMAが近くだし、MoMAの階段にでも座って」と言っていたのだが、改装後のMoMAにはそんなスペースはなくなってしまったようだ。

Cimg0185 「コーナー・ビストロ」は、ウェスト・ヴィレッジにあるアイリッシュ・バーである。住所はこのサイトが詳しい。ここのビストロ・バーガーが名物だというので食べてみた(画像手前はチーズバーガー、奥にあるのがビストロ・バーガー。かりかりベーコンが乗っているかいないかの違い、だと思う)。

が、このハンバーガー、あちこちで書かれていることは「脂肪分が少なく、あっさりしていてぺろりと食べられる」ということだったが、それは、別の言い方をすると「味気ない」といえなくもない、ということだとわかった。

たしかに、肉本来の味がしてそれはそれで美味しいのだが、都並の味覚がおかしくなければ、「肉本来の味」しかしない。食べているうちに「あれ?香辛料とか入れてくれました?たまねぎとか、つなぎはなくてもいいんですけど、あの、ナツメグとか…」と言いたくなるくらいである。子どもに牛肉のミンチだけを渡して「ハンバーグ作って」とお願いしたら、ほぼ確実にこれと同じものが出来上がるだろう、という気がする。

しかしまあ、そういうワイルドなものがアメリカ的だといえばそう思えなくもない。そういう意味ではいい経験であった。

ちなみにこの店は、基本がアイリッシュ・パブなので、ジョッキ・ビールが数銘柄から選べる。定番のサミュエル・アダムズ、ブルックリン・ラガーなどに加えてヒューガルテンなんかもある。

ヒューガルテンは珍しいのでこれを頼んでみた。どう発音するのかな、と思いつつ適当に「ホウガーテン」と頼んだらちゃんと出てきた。これがまたきんきんに冷えていて…ということはまったくなく、程よく常温であった。こういうところもアメリカらしい。

こんなふうにハイカロリーなものばっかり食べていたので、NYではすっかり太ってしまったことよ。

あ、ちなみにゆうべもクア・アイナでアボカド・バーガー食べました。まるまる一個食べて、奥さんが食べきれないで困っているチーズ・バーガーを半分食べました。

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ベーグルは地下鉄に乗って

Cimg0227_2 ここのところNY旅行記の記事を追加していなかったので書く。

とかく旅行記というのは難しく、エネルギーと時間を必要とするものである。誰でも旅行自体は楽しく、その記憶が鮮明なうちはそれを記録にとどめておこうと思うものだが、実際の作業はかなり大変で、頓挫してしまうこともしばしばである。都並自身、友人のブログなどでそのような悲しい頓挫した旅行記を見たことが複数回ある。

でもって都並もその例にもれず、9月の帰国当時の意気軒昂たるありさまから一転、今日現在ではすっかりその勢いを失い、書くタイミングを逸しつつある。

これではいかん、ということで、慌てて記事を追加することにした。

今回はNYのベーグルについて。

これについてはすでに先行する情報もあり、情報的価値はさほど高くないのだが、何せうちの奥さんは自他ともに認める強度の小麦人間(パンやケーキが大好き)である。そのなかでも彼女はベーグルが大の好物であり、今回はその彼女の「NYでは本場のベーグルをぜひとも味わってみたい」という強迫的な衝動に突き動かされて店舗を回ってきたので、ぜひともここで書きとめておきたい。

まず一店舗目(上記画像)はエッサ・ベーグル(Ess-a-Bagel)。HPはココ。ここは滞在していたサン・カルロス・ホテル(全般にいいホテルでした)から目と鼻の先で、行こうと思えば毎日でもいけたのだが、折悪しく9月のユダヤの祝日とぶつかってしまい、一度しかいけなかった。

Cimg0235_2 ここのベーグルのいいところは、クリーム・チーズなどでサンドイッチを作ってくれるところ。そこで僕はロックス・クリームチーズ(日本ではあまり見ないけれどNYでは定番の、スモーク・サーモンの練りこまれたクリームチーズ。スモーク・サーモンとプレーンなクリーム・チーズをべつべつにサンドする手間が省ける便利な代物)をパンパーニッケルのベーグルに挟んでもらった。

Cimg0230このパンパーニッケル(プンパニッケルとも呼ばれる。要は黒パン。粗挽きライ麦を用いた酸味と香りが特徴の生地)、僕の大好物なのだけれど、日本では作っているところがほとんどないのが悲しい。たまに日本でもベーグルを売っているベーカリーで、懐かしい黒い生地を見つけることがあるけれど、そういうときって大体、喜び勇んで近くまで走り寄ってみたら、ココアだったりチョコレートだったことがわかるのである。そのときの悲しさといったらないよね。迷子になった子どもが、「お母さんを見つけた!」と思って走っていったのに、近づいてみたら見知らぬおばさんだった、というときに匹敵するものがある。

それはさておき、このエッサ・ベーグルでは、奥さんはプレーンなベーグルにベイクド・サーモンの入ったペーストのサンドを頼んでいた。

ここのサンドの特徴は、見てお分かりの通り、日本人のしみったれたサンドイッチ観からは想像できないほどのペーストが挟まっているところにある。これはなぜかというと、食べる人はみんなこのサンドを(せっかく挟んでくれているのに)上下に分解して、上半分、下半分と順番に食べるからである。その際に片方の面だけにペーストがいってしまわないように、二倍の分量がついているというわけだ。

たとえばオレオのクリーム・サンドを一枚ずつビスケットに分解して食べると、一枚だけにクリームがついていってしまい、もう一枚がプレーンなビスケットになってしまうことがありますよね。そういう事態を予防しているのである。

しかしこのサンドには、あまりにペーストの味が強すぎて、ベーグルの味がわからなくなってしまうというデメリットもある。そのせいか僕ら夫婦はこの店ではあまり感心しなかった。

ところでこのお店、立地がいいので常に行列ができているけれど、イート・インのサンドではなく、プレーンなベーグルのテイクアウトだと別のレジですばやく買えるみたいです。

Cimg0394 もう一軒はベーグル好きの聖地、H&Hベーグルズ。日本にも支店がある大御所だけれど、マンハッタンではアッパー・イーストサイドとアッパー・ウェストサイドに店がある。

しかしこの両店が、聞いたところによると京都の一澤帆布みたいな本家・分家争いをしているらしい。そこで、京都でも一澤信三郎帆布に肩入れしているわれわれとしては、ここはアッパー・ウェストサイドに行かねばならぬ、ということで、ホテルからは遠かったのだが、地下鉄を乗り継いでえっちらおっちら行ってきた。

結論からいうと、ここのベーグルはすばらしくおいしい。ここのベーグルを食べずしてベーグルを語るなかれ、という逸品だ。生地の表面はつやつやと、適度な張りがあり、その表面を歯で噛み切ると中のもっちりとした生地が現れて、小麦本来の優しい味がふんわりと口の中に広がって、えもいわれぬ美味である。

フレイヴァーも数種類あるが、そのどれもがおいしい。おススメはプレーン、それからトッピングが全て入っているエヴリシング、そしてやはりパンパーニッケル。ここのパンパーニッケルはキャラウェイ・シードのスパイシーな香りが全体の風味を引き立てる最高の品である。世界中の黒パン好きに薦めたい。

さらにおススメの食べ方はというと、あちこちのガイドブックにも書いてあるけれど、ここでベーグルを買って、通りを挟んで北側の向かいのユダヤ系スーパーマーケット、ゼイバーズ(以前勤めていた職場でやっていた芝居にも登場した)で店のオリジナルのプレーン・クリームチーズを買って、ぜひそれをつけて食べていただきたい。

このクリームチーズがまた絶品で、なぜかというと、サイトにも書いてある通り、店の厨房で作っている出来立てのクリームチーズだからである。都並自身、チーズにさほど思いいれはないのだが、ここの味にはびっくりした。クリーム/チーズの「クリーム」の味が、言い換えれば新鮮な牛乳の味が、ほかに類を見ないほどしっかり芳醇に香るのである。クリームチーズというものに対する先入観を覆す一品である。同じく店のサイトにはこう書いてある。「あなたのスモーク・サーモンとベーグルは、きっと[おいしいチーズと逢わせてくれて]感謝するでしょう。そしてあなたのお腹も」。この惹句に偽りはない。

Cimg0399 これらをしっかりと買い込んだら、天気がよければ一路東進、セントラル・パークへ行く。途中スターバックスで熱いコーヒーを買うのも忘れない。それらを携えて、芝生の上でピクニックを繰り広げるわけである。これもガイドブックに書いてあったりするが、それでも掛け値なしに素晴らしい体験である。

われわれ夫婦もこの王道プランを臆面もなく全力で実行したわけだが、ほんとうに、気ぜわしいマンハッタンの日常を離れ、最高のブランチを採ることができた。このブランチはいまだに滞在中の忘れえぬ思い出のひとつになっている。

このブランチがあまりにさまになっていたのか(自画自賛)、ベーグルを楽しんでいたら、どこかの観光客とおぼしきカップルが「ねえ、あの池のボートはどこから乗るの?」と聞いてきた。都並は「ごめん、わかんないや」と答えたのだが、そのあと奥さんに「ニューヨーカーと間違われたのかねえ」とさも嬉しそうに言ったのは言うまでもない。

Cimg0392余談ではあるが、H&Hベーグルズとセントラル・パークの間の住宅街は、いかにも「アッパー」という感じで居心地がいい。ただ通り抜けるだけでも気分がすっきりする。NYはミッドタウン以南はごみごみしていて積極的に住みたいとは思わないが、ここは町並みも素敵である。

さらに余談ではあるが、町並みの素敵さと、それより何よりベーグルのおいしさが忘れられなくて、都並夫妻は最終日の朝にも再度H&Hを訪れた。帰国後しばらく食べられるぶんだけを買いだめするためである。記憶が定かではないが、10個近く買ったのではないかと思う。

その大きな包みを大事そうに抱えて、さらには帰りのケネディ空港行きの車の中でも一個ずつ食べて、日本に帰ってきたのだった。小麦人間の奥さんにとっては、すばらしいピルグリメイジ(巡礼旅行)だったに違いない。

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ハイ・スクールの勝ち組とアバークロンビー&フィッチ[新装版]

(以前時間がないときに書いたので一部推敲・改訂いたしました)

アバークロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch、日本での略称アバクロ。フィッチさんはどこいったんだ)はNYで今大人気のファッション・ブランドである。

どんなブランドかというと、今流行の言葉で言うとリアルクローズとでもいうのだろうか、アイテムのそれぞれは、Tシャツとかポロシャツとか、ジーンズとかカーゴ・パンツとか、つまりはラルフ・ローレンみたいなスタンダードなアメリカン・カジュアルなのだが、その仕上がりが微妙な再解釈を施しているというか、アメカジのポストモダン的再構築というか、一味違っているのである。

例えば、アイテムの多くにはブランド・ロゴが印刷されたり、貼り付けられたりしているのだが、その感じがユーズド風にわざとぼろくしてあったり、製品全体に洗いがかけられていたり、という具合である。

だから、ふつうのアメリカン・アイテムなのに、着てみるとちょっと変わっていておしゃれな感じがする(と思う。もちろん着ている人によるのは言うまでもない)。ちょっと難しく言うと、アメカジを着つつ、それが単なる無頓着な選択ではなく、自分が着ているものに対する批評にも同時になっているような、そんな服である。

このアバクロ、NYでは五番街のブランドショップが立ち並ぶあたりに店舗があったので、参加(我が家の用語で、店で買い物すること。ブームに参加する、という意味)してきた。

というのも、滞在中のNYが季節外れの涼しさで、厚い上着を持ってきていなかったので(という理由で旅行先で買い物するのが好きだ。村上春樹の小説みたいだから)、急遽必要になったのである。

なんでもこのブランド、昨日今日にできた新進のブランドではなくて、聞けばけっこう長い歴史があるらしい。というのは先日『所さんの世田谷ベース』を観て知ったのだが、もともとは雑貨屋さんで、有名ナイフ・メーカーの「ガーバー(Garber)」に発注した包丁なんかも売っていたらしい(それを所ジョージさんは嬉しそうに自慢していた)。

が、五番街の店はというと、そういう「いなたい」出自を少しも匂わせないほど「ちょーイケイケ」だ。他の人もブログに書いていることだが、店の前を通ると大音量でハウス・ミュージックが聴こえてきて、店の入り口には香水のにおいがぷーんとして、大きく引き伸ばした上半身裸のモデルの写真の前に、上半身裸のモデルが立っている。

店内は地下から2階か3階まで広がっていて、アメリカの寄宿学校をクラブに改装したようなしつらえで、薄暗い間接照明の中にアメリカン・ファーニチャーが浮かび上がる。別の言葉でいえば、ラルフ・ローレンのショップをホーンテッド・マンションに改装したような感じとでも言おうか。

その中に、Tシャツやらパーカやら山ほど積み上げられているのである。

さらに店内には、明らかに外見で選ばれたであろう、モデル体型の、美男美女の店員があちこちを歩き回っている。この店員、女の子たちが階段で男の子たちとすれ違う時は「ハーイ、ガイズ」とか言ったりして、すごく鼻持ちならない感じである。

このやりとりを見た瞬間「あ、そうか、ここはハイ・スクールの勝ち組が来るところなんだな。負け組はこんなところには来ないで、しかたないからハリウッドで映画作ったり、あるいはどこかで銃を乱射するんだな」と思ってしまった。それくらい、選民意識をびしびしと感じさせる店なのである。

この選民意識には、自分自身マイノリティなので、屈折した気持ちを感じずにいられなかった。しかしまあ、それもまた旅行先のひとこまなので、こういう体験ができたのはよかったのかな、と自分に言い聞かせることにした。

自分に言い聞かせつつ都並は、ばかでかいアメリカン・サイズからなんとかSMALLを探し出して、パーカを購入。70ドルくらいで、日本人の感覚からすると安かった。フィリピン製だけど。たぶん、むこうでも安いという評価なんだろう。

奥さんも「私も参加したい」とキャンバス地の大きなトートとビーチ・サンダルを購入。

これらの品々を選ぶべく店内を見て回る間も、ハウス・ミュージックのビートは絶え間なくずんずんと響き続けている。それをずっと聴き続けていると、なんだか資本主義の白昼夢に頭がしびれてくる気がする。

レジで清算をすると、同じく美人の女の子が「ありがと」と無愛想に言って、買い物をばさっと投げてくれる。「あんたらはお呼びじゃないの」という感じである。ここまで来ると徹底して気持ちいい。

Cimg0401af_2 ここのパーカを着てみた写真がこれ。もちろん、ここでもモデルが良くないので、本来のブランドのおしゃれな感じはみじんも感じさせませんがそこはご容赦ください。

それはさておき、アメリカン・サイズだからか、それとも都並の腕が短すぎるのか、あるいはその両方か、サイズがSMALLなのに、袖がめちゃくちゃ長くて困っています。7、8cmあるだろう袖のリブを全部折り返してもまだ長いという感じです。でも生地は柔らかく、着心地がよくて温かく、旅行には重宝しました。この秋また、引っ張り出して着ています。

サイズのことをついでに言っておくと、人気ショップだからか、Mサイズはほとんどどの商品も売り切れていました。でもわれわれ日本人はSサイズでだいたいいける感じなので、そういう意味では買いやすい店です。差別は受けるだろうけど。

ちなみに、帰りのケネディ空港は、同じ発想でここのパーカを買った日本人旅行客が何人もいて、ちょっと自分のミーハーさが恥ずかしかったです。

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海を越えた多重露光

295878226_3 新しいカメラ、LOMO LC-A+には新機能があって、多重露光ができる。それが単純に嬉しくて、NY旅行でも試してみた。

多重露光とは、要は35mmのフィルムのひとこまに、二回(以上)映像を焼き付ける技法である。普通のカメラはフィルムのこま送りとシャッターのねじの巻上げが同時に行われるようになっているのだが、このカメラはそこをキャンセルして、フィルムをひとこま送らずに、シャッターだけを巻き上げることができるようになっている。それによって多重露光のこまを作ることが可能になるのである。

説明はさておき、画像は、NYのジョン・F・ケネディ空港の構内風景と、日本の成田空港の構内風景を多重露光したものである。よく見ると、頭上の看板に日本語の説明と英語の説明が混在しているのがわかってもらえると思う。

こんな映像、デジタル画像と加工ソフトが普及した現在では何の価値もないと思うなかれ。わざわざ物理的に、この地球上にひとつしかないフィルムのこまに二回映像を焼き付けること、言い換えれば、セルロイドの上の薬品に、地図上ではまったくかけ離れたふたつの場所の光を注ぎ込むこと、そこに意義があり、ロマンがあるのだ。

そんなもん、デジカメの合成でやってたまっか。ふん。

とまあ、鼻息を荒くしつつ、画像の構成(一点透視図法と二点透視図法の意図的混在、中央の人物のポーズのかげんなど)がことのほかうまくできたので、これは成功だったなと。

実はもう一枚、MoMAにて、アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローとエルヴィス・プレスリーの多重露光もやってみたんですが、これはいまいちでした。

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おめんとOMEN、あるいは文脈の違い

今月からわが大学も講義が始まった。そしたらその準備にあわせて、来年度入試の作業などもはじまり、なにやら忙殺されてしまった。そのおかげで更新もままならず。

ああ…週3回日記をつけるのが目標なのに…と嘆いてみてもはじまらないので、とりあえずNY旅行記の続きを書く。

Cimg0419 NYでぜひとも行ってみたかったお店は多いけど、そのひとつにこのお店(画像参照)がある。その名も「OMEN」。見た目からはわかりにくいが、われわれ夫婦の京都でのいきつけのおうどん屋さん「おめん」のNY支店である。

「おめん」を知らない人のために説明しておくと、「おめん」とは、ゆでたてのやわらかいおめん(さぬきうどん全盛の今日からすると「やわすぎる」くらいやわらかい)を、白菜、ほうれん草、ねぎ、大根、きんぴらごぼう、ゴマ、茗荷などのたっぷりの薬味とともに、薄味の、でもだしのしっかりきいたおつゆにつけていただく、という、それはそれはおいしいおうどんである。

都並はこの「おめん」の大ファンで、京都に住んでいたときはしょっちゅう食べに行っていたし、今でも帰省して寄れるチャンスがあると必ず寄る。なによりも味そのものが、関西の和食文化で育った都並の胃袋と心を同時に癒してくれるからである。

けれども、それだけがここに通う理由ではない。この「おめん」は、発祥は群馬県伊勢崎市らしいのだけれど、都並にとっては、ある意味で京都の食文化の一端を象徴している食べ物なのである。

どういうことかというとうまく説明できないけれど、そのお店のたたずまい、おだしの味、薬味たっぷりの存在感、お客さんの質、その他いろいろのものが、京都に住んでいるということ、言い換えれば、伝統的な日本文化と新しい外来文化の両方に足をつけて生活しているということ、その生活感を如実に反映している、とそう思っているのだ。

ふつうに日常生活の中に錦市場があり、町家があり、寺社仏閣があり、祇園祭があり、和菓子の名店があり、お持たせの文化があり…。そういう京都のくらしの生活空間と価値観のなかに、「おめん」は違和感なく根を下ろしていて、日常的に愛されている。お店に入るたびに、なぜだかそんなふうに感じるのである。

そんなふうに「おめん」さんのたたずまいと味の大ファンである都並としては、お店への限りないリスペクトを表すためには、NYに行くならば支店に詣でないわけにはいかない(今回の旅は全体的に都並のpilgrimageの旅だったのです)。

というわけで、ソーホーのはずれにあるNY支店を訪ねてきました。

結論からいうと、今述べてきたような「京都」という文脈と切り離されたことで、「OMEN」はただの「和食」になっていた気がする。

Cimg0420 といっても、味が劣っているというわけではない。ここは誤解のないようにしておきたいのだけれど、「OMEN」さんの「OMEN」は「おめん」さんの「おめん」とほとんど変わらない。味はそっくりだ。

細かい点をいうと、運ばれてくる器が違うのと、京都のお店のほうが薬味が多いのと、京都のほうはおめんの上に柚子の皮をきざんだものがちらしてあるのが、NYにはない、という違いがあるが、それは微々たる差であって、両者はほとんど同じもの、といっていいだろう。

ほかにも、このお店では「揚げ出しの炊き合わせ(確か、なすと豆腐と、ししとうかな?)」と「てんぷら盛り合わせ」を頼んだけれど、ちゃんとおいしいものが出てきた。海外で和食を頼んだときにありがちな「うんっと…確かにこういうことなんだけど…なんか違うような…特にこれ…ほんとにネギ?」とかいうことは一切ない。

つまり、ここではほんとうの和食が食べられるのである。余談だけどビールも、キリン、アサヒ、サッポロと日本のメーカーから選べる。店員さんは「一番絞り」のことを海外での名称である「イチバン」と言っていたけど(その店員さんも日本人らしかったんだけど)。

でも、不思議と食後には違和感が残った。

それはなぜか、ということを考えてみるに、やっぱり文脈の違いが大きかったんだと思う。「おめん」が、僕の中で存在理由を得るのは、その他もろもろの京都のお料理という文脈においてみて、その味のバランスとセンスのよさがきわだってくるからなのだろう。

それが、一度その文脈をとっぱらってしまうと、せっかくおめんが達成している微妙なニュアンスを比較する対象がなくなってしまう。野球にたとえると、バッターがいなければ、内角低めの絶妙な球も存在しないのと同じことだ。そこにはただの「低い球」しかなくなってしまう。

そういう意味で、「OMEN」はただの「和食」だったのである。でも、おいしかったけどね(小理屈はどうでもよくて、純粋にあの味が好きな人はぜひ行かれるといいと思います。それから、長逗留で和食が恋しくなった人もぜひ。京都のお店よりメニューが豊富で、味は同じくらいよくて、値段はNYではリーズナブルです)。

ちなみに、「OMEN」に行きたかった理由はもうひとつあって、このつづりのことである。あのホラー映画の「オーメン(前兆、という意味)」と同じつづりなので、なんとなく誤解されるんじゃないか、場合によっては怖がられるんじゃないか、とかねがね思っていて、そのへんのところを現地の店員さんに聞いてみたかった。おまけに、実際行ってみたらほら、お店の概観も上の写真みたいな、ちょっとゴシックな感じだし。

で、今回たまたま僕たちのテーブルについてくれたお兄さんが、大阪出身の気さくな人だったので、帰り際に聞いてみた。その回答は

「怖がられる、ってことはないですけど、みなさんやっぱり「前兆」という意味だと思うみたいです」

とのことであった。小さな疑問が解決してとってもすっきりした。

追記:「OMEN」はソーホーの、トンプソン・ストリート沿いにあります。客層は若者から家族連れ、ビジネスマンまでさまざま。日本人とその他の国籍・人種との比率は半々くらいでした。僕らが行ったときには、真後ろの席がアラブ系の家族で、おしゃれな重箱入りのお弁当を食べていました。お母さんは子供用に割り箸をティッシュと輪ゴムで結んであげていました。その横は大阪から来た女子大生四人組。カウンター席にはエリック・クラプトンに似たしぶいおじ様が、ひとりでお酒を飲んでいたりもしました。

18時ごろ行ったので空いていましたが、人気店みたいなので時間帯によっては混むかもです。

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チェルシー・マーケットとカップ・ケーキへの挑戦

Cimg0190 ココログのアクセス解析をのぞいていたら、「チェルシー マーケット」という検索キーワードの方がいらっしゃったみたいなので、本日二本目の記事ではあるけれど、簡単にチェルシー・マーケットについてご報告します。

チェルシー・マーケットは、もともとナビスコのオレオの工場だったところを改装してできたマーケットらしく、そういわれてみると外装の雰囲気は多少いかつい気がしないでもありません。

立地も、ミート・パッキング・ディストリクトという、かつて食肉・食品加工工場が立ち並んでいたエリア(それでもって最近おしゃれなお店が増えて話題になっているエリア)とチェルシーの境界にあるので、外から見る限り無愛想で近づきにくい感じも漂っています。

Fh010013 ただ、その内部はというと、その出自ゆえのスチーム・パンク的なたたずまいを利用して、ほどよくコンセプチュアルに仕上げられたテーマパーク的集合店舗に仕上がっているので、僕みたいにLOMOを首から提げてちょっと変わった旅行写真を撮ろうと目論んでいる人にはオススメだと思います。

じっさい、僕はここでちょっとしたシャッター・ハッピーになりました(写真は同じようにデジカメで写真を撮っている奥さんを背後からゲリラ撮影したものです)。

Fh010016 入っているお店は、マーケットなので食品店・食材店が多いのですが、NYでもトップ・クラスのベーカリーといわれる「エイミーズ・ブレッド」や、エスプレッソ専門店のスタンド「ナインス・ストリート・エスプレッソ」、それからおしゃれだけど気を遣わないでもよさそうなレストランなんかもあって、ぶらっと立寄っても、ごはんを目当てに行っても、いろんな目的に対応してくれそうなかんじです。

僕らはたまたまコーナー・ビストロのハンバーガーを食べたところだったので、レストランは素通りしてきましたが、それでも何軒かのぞいて、モノを買ってみたのでご報告します。

Cimg0196写真は乳製品専門店の「ロニーブルック・デイリー」です。乳製品といってもどうやらチーズなどではなく、ショウウィンドウの品を見る限り牛乳中心のようです。となると旅行者には買いにくそうに思われますが、一方でアイスクリームも売っているので、暑い時期や甘いものがほしいときにはいいのではないでしょうか(NYは甘いものだらけなので別にここでなくてもいいんだけど)。

面白いのは、自家製のアイスクリームをどれかひとつ選ぶと、同じく自家製のミルクと合わせてシェイクを作ってくれることです。奥さんがこれにチャレンジしたのですが、濃厚でとてもおいしい、とのことでした。僕はとても飲めそうにないのでアイスコーヒーを頼んだのですが、こちらも濃厚でおいしかったです。それもそのはず、良く見ると向かいのエスプレッソ専門店のコーヒーでした。

Fh010012 他にも、ワイン専門店にはフランシス・コッポラのワイナリーの品もあり、週末に結婚式を挙げた後輩のために一本買って帰ろうかなあ、という気にはなったんだけど、持って帰るには重すぎるので断念。「滞在中に自分が飲む用に買えば」と奥さんから提案がありましたが、奥さんは飲めない体質なので、一人で一本飲みきる、というのも大変です。

Fh010009マーケット内の風景をもう少し。店内に水が落ちていたりとか、古臭い消防設備みたいなものがそのまま残されていたりとか、工夫が凝らされていて楽しめます。要は、東京ディズニー・リゾートのアトラクションの、順番待ちの列のための内装の雰囲気を楽しめる人には、とっても想像力がふくらむ場所だと思います。

ほかに参加した店はブラウニー専門店の「ファット・ウィッチ・ベーカリー」。アメリカ的な甘さはあるものの、上質な味のブラウニー屋さんで、ラッピングされたものは日持ちも多少するので、お土産にはいいと思います。ブラウニーにはいろいろ種類があるんだけど、それぞれが「白い森の魔女」とか名づけられているのも面白い。店内には日本語の表示もあるので安心。保存法など細かく教えてくれます。

Cimg0203 商品はこんなかんじ。日本の平均的なブラウニーと比べて大きいのかどうか、ブラウニー自体詳しくないのでよくわからないけど、試食した感想としては、朝にひとつ食べるとお昼まで元気に働けそうな一品、という感じでした。

Fh010022_2 そのほか、「エレニーズ」はいかにもアメリカらしい、はっきりとした(一歩間違うとけばけばしい)色使いのクッキーとカップ・ケーキのお店です。味は、アメリカ的なクッキーの直球の味ですが、自由の女神とか、イエロー・キャブとか、モチーフはキッチュで面白いです。

Cimg0224 こちらも、お持ち帰り用の箱詰めセットなんかも売っているので、お土産にはいいかもしれません。ただ、割れてしまうかもしれないですけど。じっさい、店内の見本がすでに割れていたりして、そういうアバウトさも「いかにもアメリカ」なのかもしれません。

Cimg0200 ここでは僕はカップ・ケーキに挑戦。『セックス・アンド・ザ・シティ』で「マグノリア・ベーカリー」が取り上げられたりした結果、今もNYで大流行しているというカップ・ケーキ。そういえば『プラダを着た悪魔』でもアン・ハサウェイがバースデーに「マグノリア…」のカップ・ケーキを買っていたりしました。

というわけで、研究者としてはここは食べずばなるまいと。ただ「マグノリア・ベーカリー」はちょっと離れているし、保健所立ち入りで閉鎖のニュースもあったので、今は再開しているかわかんないし、で、ここで試すことにしました。ちょっとした、自分自身への理由なき罰ゲームみたいなものです。

さいわいにしてこのお店はひとくちサイズを売っています(画像参照)。味は何色でもいっしょだと思うので、色彩感覚的にいちばんありえない青をチョイス(映画『アリゾナ・ドリーム』の青いケーキとか『アバウト・シュミット』の灰色のケーキとか、ほんとにアメリカのケーキのクリームの色ってありえないと思う)。

ひとくちで口に運び、咀嚼の後嚥下します。最初は「まあ、こんなもんか」という程度の甘みで、生地の香りもふんわりしてきたので、奥さんに「ぜんぜん大丈夫」と告げます。ところがその後から強烈な甘さが口いっぱいに広がります。たとえるなら、さっきの甘みはプラカードを持った女子高生で、今度のがユニフォームを着た野球部員、というくらいのレヴェルです。

これにはまいりました。どうしてこんなものにNY女子が群がっているのか。そしてどうやって体型維持をしているのか。おじさんには検討もつきません。

気がつくと奥さんは隣で冷ややかな目で「だからやめときなっていったでしょ」と言っています。さっきバニラシェイクを飲み干した同じ人とは思えない発言でした。

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映像博物館でジェダイ時代のマスターに再会する

Cimg0248 NYといえば、西海岸とならぶアメリカ映画の本拠地のひとつである。そのNYに「映像博物館(Museum of the Moving Image)」があるというので、趣味と実益をかねて行ってきた。

けれども、きわめて率直にいえば、このミュージアムには少し肩透かしをくらうところもあった。まず施設自体はクイーンズの外れに位置し、アクセスも決して良くない。周辺の街の雰囲気も、摩天楼が空を覆い隠すマンハッタンと比べると、建物も低く、のんびりとしたかんじである。

Fh020006_2 参考までに、画像を添えておく。これは、見学を終えてから休憩に入ったスターバックスの窓からの風景を、愛機LOMO LC-A+で撮ったものである。全体に、ゆっくりとした時間が流れているのが分かってもらえると思う。

Fh020007_2 もう一枚。どうでもいいことだけど、この赤いシャツのおじさんが通りかかったタイミングと位置が偶然ながらばっちりで、おかげでなんとなく『ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ』みたいな雰囲気すら漂っている。

ちなみにうちの奥さんは、マンハッタンの気ぜわしさには神経が疲れるらしく、クイーンズの方がのんびりできて気に入っていたみたいである。

こういうところにあるのだから、マンハッタンのキラ星のようなミュージアムたちと比べるとどうにも見劣りがしてしまう。

館内に入った時のゆるさも、それに追い討ちをかけている。うまく説明できないのだけれど、建物のあちこちの通路や扉が開放されていて、学校の校舎のような風通しのよさがある。受付のおじさんも警備のおじさんもゆるい感じで「あ、どうぞいらっしゃい」というかんじで迎えてくれる。MoMAの入り口の手荷物検査とか、ああいう厳しい感じはない。

どうにも、全体に「行政の気まぐれで冷や飯を食わされている施設」という感じが否めないのである。

Cimg0249 店内の展示も好きに写真を撮っていい、とおじさんは言う(ただし、フラッシュはダメ)。こういうのは、日本の厳しい施設に慣れた身としては「そんなのでいいのかな」と思ってしまわなくもない。けれども、授業等での資料に使えるので、そういう意味ではありがたい。さっそく、専属カメラマン(奥さんのこと)に命じて「あれ撮っといて、これ撮っといて、あ、これはアップで、この字が読めるように」などと写真を取りまくる。

これなんかは、ジガ・ヴェルトフが『カメラを持っていた男』で使っていたカメラを彷彿とさせる、かなり初期の撮影機である。

Cimg0267 こちらはヴァイタフォン。トーキー最初期の『ジャズ・シンガー』なんかに使われた装置だ。当時はまだ、フィルムの帯の端に磁気テープでサウンドトラックを貼り付けるという技術がなかったので、レコードを用いている。その再生速度をフィルムと同期させて、音のシンクロを得るのである。こういうものの写真が取れるのはありがたい。

話は前後するけれど、常設展に入ってすぐのところには、サウンドのシンクロやアフレコ、クロマキーなどを体験できる設備もある。これらは子供に人気だ。僕も、オードリー・ヘップバーンの『マイ・フェア・レディ』での「スペインでは雨は主に平野に留まる」というせりふをアフレコさせてもらって楽しんだ。

Cimg0283 撮影・映写機材のみならず、小道具も多く展示してある。複製技術時代の芸術の最たるものである映画に対して、こういう「一点もの」のアウラを求めるというのはなんとなく倒錯している感じもあるけれど、こういうものがないとミュージアムとしてはつまらない。

上の画像は、分かる人はすぐ分かる(?)『タクシー・ドライバー』のトラヴィス・ビックル(ロバート・デ=ニーロ)のヅラ。言っちゃ悪いけど、こんなもの、いくらでも似たものを用意できるので、本当か?という気がしなくもないけど。

Cimg0293次はマーロン・ブランドのライフ・マスクと、『ゴッド・ファーザー』のときのオールデージ・メイクアップ用入れ歯。一説にはブランドは、コルレオーネのたるんだ頬を表現するために口にチーズを入れていたというけれど、こういう入れ歯も使っていたんですね。

ちなみにライフ・マスクはこのほかにもクリストファー・ウォーケンとかアル・パチーノとかたくさん用意されていて(こうしてみると、今挙げた人たちはかなりNY寄りの人選ですね)、とりあえず写真を撮ってしまう。よくよく考えてみれば、何がありがたいのかと聞かれると返答につまるものけれど。

Cimg0301 これは有名ですね。「キリストの力が汝を屈服させる!」のあの人です。うちの奥さんはこの人と笑顔でツー・ショット記念写真を撮っていました。

この人はいちおうガラスケースに守られて鎮座ましましていたんだけれど、『ブレード・ランナー』のタイレル社の外観ミニチュアなんかは、まるで高校生の文化祭みたいに何気なくぼんっと、捨て置かれたように展示されていて、この辺もやる気のなさを感じる。

Cimg0306 こんな感じです。近寄ってみるとさほど凝っていない簡単な工作であることがわかり、それが映像の効果であの雰囲気をかもし出していたのだな、ということがわかるという、そういう意味では面白い。もちろん、小理屈はさておき、コアなファンにはたまらないものがあるんだろうけど、僕はできればデッカード・ブラスターとかの方が見たかったかな。

Cimg0300 それよりも僕自身の思い入れとして嬉しかったのはこれ。チューイの頭部です。かつて現役のジェダイだった時いっしょに戦った思い出がよみがえる。さらに、ジェダイ・マスターのあの方とも再会できたのは感激もひとしおでした。ダコバでの厳しい修業が思いこされます(記憶がよみがえってばかりですな)。

嬉しくなったので思わず「ははー。師匠ー」というかんじで跪いているショットを撮ってみた。こういうことをしていても誰も何も言わない。そういうゆるーいミュージアムなのである、ここは。

Cimg0304 「どうじゃ、鰤彦よ。論文は進んでおるのか」

「ははー。精進しております」

「いいか、やるか、やらないか、それだけなのじゃぞ。やってみる、というのはないのじゃぞ(Do, or do not. There is no try)」

「ははー。肝に銘じております」

こんなかんじでゆっくりと見て回っても2時間はかからない。この点、MoMAやメトロポリタン、ホイットニーなんかのスーパー・ミュージアムと比べると雲泥の差がある。

それでも、日本にいたのでは観ることができないものがたくさんあるので、映画研究の徒は行っても損はないのではないだろうか。

難をいえば、ついでに周囲で観るものが何にもないのと(フラッシング・メドウズ・コロナ・パークまで歩くなら別ですが)、最寄の地下鉄の駅がローカル(各停)しか停まらないのですごくややこしい、ということがあるけれど。

Cimg0279最後にクイズです。この美青年は映画史上最も有名なコメディ俳優なのですが、誰でしょうか。答えは、画像をクリックすると書いてあります。そんなことしなくても顔を見ればすぐわかりますよね。

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グリマルディーズとロンバルディーズ(2)

Cimg0379 ブルックリンのグリマルディーズとは異なり、ロンバルディーズはマンハッタンにあるので行きやすいお店です。場所もソーホーとノリータの境目にあって、夜遅くまでにぎやかな地域なので、ぶっそうな雰囲気もありません。最寄のプリンス・ストリート駅からもすぐです。

ここも、グリマルディーズに負けず劣らず並んでいます。どちらの店にもいえることですが、並んでいるのは地元の人たち、常連さんが中心のようで、観光客ばかりというわけではありません。

ここのお店は、グリマルディーズとは違い、着いたらまずお店の入り口で名前と人数を係の人に告げる必要があります。それから、店の近辺でうろうろして自分たちの名前が呼ばれるのを待つ、ということになります。つまり、日本のファミリー・レストランでおなじみの方式ですね。

僕らも外でうろうろしていたのですが、窓越しに見ていると、書かれた名前のリストをもとに、フロア係さんがつぎつぎに客を裁いていきます。この係の人が、外のお客さんに聞こえるようにマイクを使って、「○○さん、何名様」と呼び出していくので、それを良く聞いていましょう。自分の名前が呼ばれたら、中に入ります。するとウェイターさんが席まで案内してくれます。

余談ですが、この名前を仮名にして店内の客の笑いをとる、というのもアリです。じっさいこれは僕が友人と退屈な大学生の頃に大阪でやっていたことなのですが、ここのお客さんもそういうべたなことをしっかりやっていました。自分たちの番が来る少し前に、「マイケル・ジャクソンさん、3名様」「つづいてエルヴィス・プレスリー様、4名様」という放送が聞こえて、店内がわっとどよめきました。

これは悪戯好きの我々夫婦としてはとても参考になり、帰りの地下鉄の中では「次からは名前決めていこう」「僕は東洋人だし鰤彦だからブルース・リーがいいかな」とちょっと盛り上がりました。

Cimg0385 店内はこんなかんじ。グリマルディーズよりしゃれっ気があります。どうでもいいことですが、流行りすぎて増改築を重ねたのか、僕らの着いたテーブルまでの道程は複雑で、途中厨房なんかをかすめて通っていくという、そういう位置にありました。だからフロアはこれよりずっと広いです。この三倍から四倍はあるんじゃないでしょうか。

Cimg0383でもって ピザはこんなかんじです。画像だけでは分かりづらいと思いますが、グリマルディーズよりしっかりたっぷりとトマトソースが乗っています。チーズも二種類のチーズが乗っていて、こってりしっかりとした味付けです。手ごたえもそのぶんへヴィ。こちらも、デフォルトのトッピングは決まっているので、好みで肉類を足していくシステム。このときはパンチェッタとアンチョビを足しましたが、アンチョビは半身がぼん、と乗っているのでちょっとしょっぱ過ぎました。

全体にずっしりたっぷりしているので、これもSサイズですが食べ切れませんでした。こちらの店はサイド・メニューにサラダがあったので、それをとってみたのも敗因のひとつですが。

味付けとしては、好みが別れるところだと思いますが、こちらの方がトマト味がしっかりしています。グリマルディーズが中日ドラゴンズだとしたら、こちらは読売巨人軍、そういう味付けです。

Cimg0374 この大物ピザを食べ終わってもし胃袋に余裕があったら、すぐ近くにある「ライス・トゥー・リッチィズ」をどうぞ。こちらは日本では珍しいライスプディングの専門店ですが、けっこうはやっているみたいです。実際僕らも食べてみたのですが、かなりいけました。「これ、誰か日本に輸入したらはやるんじゃないか」と思ったほどです。

店内にはアイスクリーム・ショップのように容器に入ったプディングがずらっとディスプレイされており、試食は自由のようです。ショーケース越しに店員さんによびかけると、スプーンに一杯、試食をさせてくれます。フレイヴァーもアイスクリームみたいにカプチーノとかフルーツ系とかがあります。

気に入ったのがあったら、サイズとトッピングを指定して購入です。サイズによって呼び名があって、「ソロ」を標準に大きいものには「スモウ」というのがあります。この「ソロ」がすでにわれわれ日本人には大きすぎるのですが、ご安心を。いくつかの基本の味、チョコチップとかチーズケーキとかには「ディーヴァ」という日本人向けスイーツ・サイズがあります。

Cimg0372 今回食べてみたのは、チョコチップとチーズケーキですが、ここにトッピングのグラハム・クラッカーをかけるとかなり美味です。

さて、ピザを食べきれなかった我々がどうしてこのプディングを食べられたか。それは、ピザを食べる前に、待ち時間があったので、このプディングを食べてしまったからです。だからピザを食べられなかったんだな。

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グリマルディーズとロンバルディーズ(1)(NYの二大「行列ができる」ピザ店)

表題のとおり、NYのガイドブックには常に掲載されている、二大「行列ができる」ピザ店に行ってきたので報告します。

Cimg0136 結論から言うと、僕ら夫婦のオススメはグリマルディーズです。場所はブルックリンのダンボ(Down Under Manhattan Bridge Overpath、すなわち「マンハッタン橋の下」の略。向こうの人は略語が上手だ)にあって、流行のウィリアムズバーグに行く予定もなく、マンハッタンばっかりを観光するつもりだと、地下鉄にも乗らないといけないし、多少最寄の駅からも歩くし、と多少おっくうな場所にあるのだけれど、それでも出かけていく価値はあると思います。

歩くといっても、地下鉄②③番線のクラーク・ストリート駅から10分ほど、道もわかりやすくて迷うことはありません。

まず、ここのピザのよさは味の絶妙なバランスです。画像でお分かりのとおり、トマトソースは控えめ、チーズもまばら、だけど生地の味がしっかりしているので、さくさくと食べられる、そういうピザです。塩分も濃過ぎず食べやすいです。うまく書けないけれど、味全体に説得力があって、「なるほど、美味いピザとはこういうことか」、と思わされます。

Cimg0133 お店の雰囲気はまったく気取らない感じで、ざっくばらんとしています。そういう意味では、ロマンティックなお店ではありません。いったことないけれど荻窪のラーメン屋とか、下町のうまい中華料理屋とかにいって、「ここはさあ、お店の雰囲気は少しアレだけど、うまいんだよ」というそういうお店です。そういう観点からはそれらしいムードのお店とも言えます。

行列ですが、僕らが着いたのは20時ごろと少し遅い時間だったのですが、それでもお店の前にはすでに先客が。というのも、ここのお店はテイクアウトも同じ行列に並ぶので、余計に列が伸びているようです。

お店にたどり着いたら、店内の店員に名前を告げるとかいった手続は必要なく、その前に素直に並びます。僕らの場合、週末ではなかったのですが、1時間近く待ちました。

お店に入ると、ピザのサイズとトッピングを頼みます。サイズはSとLがあるのですが、Sが16インチ(約40cm)、Lが18インチ(約45センチ)ですので、ふつうの日本人のオトナなら、性別を問わず、ふたりでSサイズで充分です。トッピングは、何も指示しなければあらかじめソースとトマト、チーズ、バジルが乗っているので、ここにお肉(ペパロニとか、ソーセージとか)を足します。何も足さないのもアリです。そういうお客さんもたくさんいます。

サイドメニューはたいしたものはないし、もうこのピザだけでかなりのボリュームなので、それに専念してください。飲み物は、ここはひとつ、地ビールのブルックリン・ラガーにしましょう。こういうところで地元の人におもねるわけですが、ブルックリン・ラガーはびしっとキレのある苦味のあるおいしいビールですので、ピザにはよく合います。

Cimg0156 お店を出たら、来た方向とは逆側に向かって歩いていきましょう。ライトアップされたブルックリン橋と、対岸のマンハッタンの夜景が楽しめます。この夜景もコミで考えると、ブルックリンまで出かけるのもぜんぜん無駄ではないと思います。時間が早ければ、橋のたもとにあるアイスクリーム店でデザートも楽しめます。

もっとも、日本人の胃には大きすぎるピザを食べて、まだ容積に余裕があれば、の話ですが(僕らが列に並んでいるときに店を出て行った、地元の若い女の子達は「さ、いつものようにアイスいっとくか」と意気揚々と出かけていきましたが)。

長くなってしまったのでロンバルディーズはまた別記事で。

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バック・ホーム、バック・トゥ・スクール

Cimg0328 怒涛のNY滞在を終え、昨日無事に帰国&帰宅しました。短期間の観光旅行でしたが、いろいろ見聞してきたので、今後少しずつこのブログに記録をまとめていけたらいいなと思います。

べつに都並がとくべつNY事情に詳しいわけでもないし、ほかの人が見つけないようなものを見てきたわけでもないことは良くわかっていますが(かねてより明記しているように、僕と奥さんの旅行プランはいつも、既存の旅行記/案内書/雑誌の特集記事の編集の産物ですから)、それでも、これから行こうと思っている人に何らかの参考になればうれしいし、それに何よりも自分が後で読み返すために、経験の内容だけではなくその質を記録しておきたいと思います。

そのために新しいカテゴリー「NY旅行記」を追加したので、今後、気になる人はそのカテゴリーをクリックしていただけると、一回行っただけ、それも数日滞在しただけの都並が、もっともらしく、ときにはえらそうなことを書き綴っているのを読んでもらえるかと思います。

ただし、これも出発前に書いたように、今後後期の授業の合間を縫って、暇を見つけての更新になると思うので、報告を完結させるのには少し時間がかかるかもしれません。そのへんはご容赦ください。

ただ、そうはいっても、あんまりのんびりしていると情報の即時性は失われてしまうのも事実ですので、ここは具体的に、年内か遅くとも半年以内を目安に完結、と明言して、自らに対して締め切りを課しておくことにしたいと思います。

ともかくも、今は記憶の鮮やかなうちに、今後書きたい記事のタイトルを仮に書きとめておきます。

Cimg0304 ・映像博物館でジェダイ時代のマスターに再会する

・グリマルディーズとロンバルディーズ(NYの二大「行列ができる」ピザ店)

・H&Hベーグルズとエッサ・ベーグルズ(NYの二大「ガイドブックに載っている」ベーグル店)

・ハイスクールの勝ち組とアバークロンビー&フィッチ(今大人気のアメリカン・カジュアル店)

Cimg0439 ・ブルーミングデールズでなかなかいい感じのトランスフォーマーTシャツをゲットした(Topless Californiaという西海岸のブランド)

・おめんとOMEN、あるいは文脈の違い(京都に本店のあるうどん屋さん)

・コーナー・ビストロのハンバーガーとハロー・ベルリンのホットドッグ

・ジャンバ・ジュースを飲みつつ摂食障害について考える

・NYの地下鉄は意外とわかりにくい(何度もキャーンといわされる)

・チェルシー・マーケットとカップケーキへの挑戦

などなど

そのほか、ブロードウェイ見物記(『シカゴ』)、グラウンド・ゼロ訪問記など、トピックを見つけるごとに書き留めておければ、と思います。

そんなわけで、気が向いたらまた読んでください。

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