ところ変われば

Sbsh00461そろそろ移住して二年になる北関東というところは、小麦の生産がさかんなところである。

以前の記事でも紹介したように、冷たい麺をねぎやしいたけや豚肉を入れて煮込んだめんつゆでいただく、この地方独特のスタイルの武蔵野うどん、という料理があって、それはそれで、関西人の思い描くうどんとはかなり違うけれども、けっこういける。

スーパーにならぶ製品のレヴェルでも、気に入っている銘柄の、地元の粉(地粉という)を使ったうどんがあって、やや浅黒いけれどもコシが非常にしっかりして気に入っている。

ということで、大阪に十余年住んだ似非大阪人にとっても、「こなもん」文化全般に対する飢餓を覚えるということはない。

が、その北関東「こなもん」文化の中でも、大阪人(似非を含む)には受け入れがたいものがある。

それは「ふらい」である。詳しくはリンク先のウィキペディアを参照してもらうといいのだが、「ふらい」とは何か?と聞かれれば、似非大阪人に言わせれば「キャベツの入っていないやっすいお好み焼き」「お好み焼き味のチヂミ」「壱銭洋食の上等なやつ(奥さん談)」としか言いようがない、主に埼玉県行田市~熊谷市地域のみで食べられているという、独特のB級グルメである。

この文章を読んだ大方の大阪人(一部広島人を含む)の皆様が即座に同意してくださるように、我々夫婦も初めてその存在を知ったときは「そんなものはもんじゃ焼きと一緒で関東のゲテモノに違いあるまい」と一笑に付して顧みなかった。そこには異文化に対する恐怖の念も少し含まれていたと思う。

しかしながら、この「ふらい」を拒絶したために、我々夫婦はしばしば、関西人特有の「お好み焼き食べたい」という「特殊飢餓状態」の回避策に悩まされることになった。「こなもん」自体に飢えることはないが、「お好み焼き」となるとこの地方は極度に手薄なのだ。

では具体的にどうして凌いでいたかというと、あまりに流行っているのでもう名前は出さないが、丸の内の某名店まで足を伸ばしていたのである。しかもそこで一時間以上行列に並んで食べてきたのである。

ここで小さな声で言いたいが、あの某名店に三人ぐらいで訪れて、お酒を飲みながらなんやかんや頼んで、結局食べ切れなくて残して出て行くOLさんたちには、あの味が我々にとってのコーシャーなのだということをどうか分かってもらいたい。あなたたちは興味本位で食べているかもしれないが、我々には死活問題なのだ。

閑話休題。ともかくそのように厳格なこなもん教徒である我々であるが、この日曜日、不信心の罰当たりとは思いつつも、ふらい屋さんに入ってみた。

そのお店は「慈げん」。熊谷市の地方ローカル百貨店「八木橋」の裏手にあるお店である。たまたま「八木橋」のデパ地下グルメに用があったので、そのついでの訪問である。

結論から言えば、この「慈げん」の「ふらい」が、美味しかったのである。食べたのは「野菜紅生姜ふらい」だったが、味は先ほども述べたように、たこ焼きがそのまま薄くなって、チヂミになったようなものを想像してもらうと分かりやすい。

生地がくちくち、もちもちとしていて、ソースもしつこくなくて食べやすい。異教徒の食べ物とはいえ、我々こなもん教徒にもこれなら食べられる。ということで、我々は即座にこれまでの「ふらい」に対する非礼を詫びたのであった。

Sbsh00471 ちなみにこのお店、15時までは出汁と粉にこだわった手打ちうどんが食べられるというので、そちらも頼んでみた。

頼んだのは「ねぎ醤油の和えうどん」。これが、メニューに謳ってあるとおり、もちもちとした焼きうどんのような、醤油ベースのカルボナーラのような絶品であった。聖地讃岐巡礼も果たした人間が言うのだから間違いない。あくまで「ふらい」がメインで、サイドメニュー的な意識で頼んだうどんであったが、実はこっちのほうが瞠目するくらい美味しかった。

メニューを見るとこのお店、他にも「クリームチーズうどん」「うどんの豆乳鍋味噌風味」「ミルクカレーうどん」「トマトスープうどん」など野心的なメニューがならんでいる(以上うろ覚えですので、正確な名称は細部違うかもしれません)。

これはぜひとも再来して試してみたい、と奥さんと意思を確認しあったのであった。

熊谷市の「慈げん」、おいしいです。興味のある人はぜひ(丸の内の某店はこれ以上流行るといやなので名前を伏せるけれど、この地方のお店は、国道沿いでも流行らないとすぐつぶれてしまう苛烈な環境にあるので、ぜひとも繁盛していただきたいと思います)。

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トマトが赤くなるとセレブがやってくる

Sbsh00211週末にかけて突然信じられないほど暖かくなったので、都並と奥さんも北関東の巣穴からのそのそと這い出てきて、いつものように東京へと買い物に出かけた。

いつものように、というのは、いつものように強行軍である、ということである。この日は代官山と表参道(どうして電車一本ですっといけないのか)と新宿伊勢丹とを半日で駆けずり回ってきた。

その強行軍の途中で昼食を採ったのは、代官山の「Celeb de Tomato」※。今話題の(?)徹底的にトマトにこだわって、トマトをフィーチャーしたお店である。

※青山と表参道にもお店があって、青山が本店らしいのだが、スケジュールの都合で代官山店さんにおじゃました。それにしても三十路のおじさんには気恥ずかしくなるネーミングだけど、なんだかここまで直球勝負で来られると逆にポップですがすがしい気もする。少なくともちっちゃいチョコレートのことを「ボンボン・ショコラ」と呼ぶほど恥ずかしくはない。

トマトといえば、僕の十年来の悪友のひとりはトマトがだいきらいで、「トマトなんて悪魔教の食べ物だ」と言い放ったことがあるけれど、その彼にとってみればここはきっと悪魔教の教会ということになるだろう。

しかし都並にしても奥さんにしてもトマトはむしろ好物だから、こういうこだわったお店はぜひとも詣でてみたいと思っていた。そう思いつつ、今までチャンスがなかったのだけれど、今回タイミングよく代官山でお昼になったので、ここを先途と(いや、それほどのことじゃないけど)いそいそとおじゃましたのだった。

Sbsh0023 いただいたのは1500円のランチのメニュー。前菜としてトマトのサラダが出てきて、その後にトマトソースのパスタ、デザートにもトマトのスイーツ、食後にコーヒーか紅茶というメニューである。コーヒー/紅茶には別にトマトは入っていない。

これはいちばんお値打ちのメニューで、このほか、メインディッシュが魚のコースとお肉のコースがあったけれど、そんなに食べれないのと、パスタが食べたかったのでこのメニューにした。けちったわけじゃありません。

サラダのトマトだけれど、なるほど、完熟で甘くておいしい。いやな青臭さはちっとも感じられない。けれども、これは奥さんと意見の一致を見たところだけど、今まであったトマト観を覆してくれる、というものではなかった気がする。

例えば、素人の僕が登山をしていたら、後ろからやってきたベテランらしき人物が「そっちじゃない!そっちに行くと滑落するぞ!」と言ってくれるような、コペルニクス的転回を期待していたのだけれども、そういうものではない、ということである。

といって美味しくない、というわけではない。

もう一度登山の喩えを使うと、ルートは間違っていないんだけど、後ろから来たベテラン登山家のおじさんが「俺は荷物要らないぞ!あ、それと靴も要らないの。じゃ、お先にー!」といって物凄いスピードで追い越していくような、そういう美味しさである。

わかりにくいか。

Sbsh0024 ともかく、そういう正統路線のトマトだから、パスタとなるとそのオーソドックスさがますます際立ってくる。「なるほど。こういう味になるだろうな」という味ではある。

けれども味付けがしつこくなく、いたずらににんにく臭くも塩辛くもないので、舌が喜ぶというより、胃袋が癒される感じがする。

僕の胃の中で誰かが「おっ、今来たコレいいぞ!もっとカモンカモン」と呼んでいるような気がする。そんな味である。

わかりにくいか。

Sbsh0025 期待を裏切るという意味では、もっとも意外性があったのがデザートで、この日はトマトのブリュレだった。

もっとも、隣で同じコースを食べていたお客さんのデザートはトマトのティラミスだったから、それが売り切れになってこれに変更になったのかもしれない。

いずれにせよ、クレーム・ブリュレのまろやかさとトマトの酸味がうまく調和して、これは新しい味だった。

ただ、トマトの味とブリュレの味が同時に舌の上にあることに対して、ちょっと脳が認知的混乱を覚えている気はしないでもなかった。

でもおいしい。これはおいしかった。

Sbsh00221 この店のもうひとつの売りは、トマトジュースである。全国津々浦々から集められた、一本1000円から5000円もするようなトマトジュースがずらりと並んでいて、店内でも飲むことができる。

しかしこんなにいたずらにセレブ価格なジュースが並んでいても、どれが美味しいのかわからない、という人のために、店内ではテイスティングもできるようになっている。四種類の、それぞれ糖度が違うトマトジュース(糖度6~12くらい)がショットグラスでテイスティングできて、1200円。

これは正しい趣向だと思う。トマトジュースが積極的に好きな人以外は、やはりどんなに美味しくても、料理を食べながら一緒にグラス一杯飲むのはちょっと大変じゃないかなあ、と思うからだ。

Sbsh00261 テイスティング4種が運ばれてくるときはこんな状態。順番にお店の人が説明してくれる。この写真では右上の黄色っぽいのが「太陽の王様(オレンジキャロル)」といって、黄色いプチトマトのジュースで、この中では最も糖度が低い。

そこから時計回りに「千歳の雫」「薫寿~KOTOBUKI~」「あいこ」という名称で、順に糖度があがっていく。いちばん甘いものが「あいこ」。

これを糖度の低いものからテイスティングする。「順番を逆にすると、糖度の低いものがただのすっぱいジュースになってしまうのでお気をつけください」とお店の人。丁寧なインストラクションでありがたい。

まとめて言うと、都並の舌にとっては、この写真の右半分と左半分で分水嶺があるような気がする。「千歳の雫」(右下)までが、もちろん香りがさわやかで飲みやすいけれども、我々の知っている「トマトジュース」の概念に当てはまるといえば当てはまるもので、一方「薫寿」「あいこ」になると、もう「トマトジュース」ではない気がする。

言い換えると、左半分のふたつ(「薫寿」「あいこ」)は、甘さも充分であると同時に、独特の芳香というか醗酵した香りみたいなものがあって、ワインを連想させるというか、「これ、あなたの知らない南国のフルーツです」といわれれば、「そうなんだ」と思ってしまうような味である。おいしいけれど、そのぶんなんだか戸惑ってしまう。

しかしながらこれは、「トマトジュース」観を刷新してくれる、という意味ではいい「アトラクション」じゃないかと思う。でも、例えば「薫寿」は大瓶で5000円もするので、ここから自宅に発送して飲むか、と言われると、そこまでしなくてもよいような気がする。

まあ、なんだ。「Celeb de Tomato」、とってもおいしいです。トマトの好きな人はぜひ。

なんか無難なまとめ方だな。

追記:我が家では毎朝トマトを食べる。今朝、セレブでもなんでもないトマトを食べたら、代官山のアレが立派にセレブであるということがよくわかりました。

この店の真価は、次にふつうのトマトを食べたときに現れるのかもしれません。

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逃亡先の小江戸より

Sbsh0005
ただいま都並は、ふと思い立ってやってきた小江戸川越にて、奥さんと鰻を食べています。

追記:訪れたお店は「いちのや本店」さん、いただいたのは鰻重の菊、奥さんはひつまぶしでした。お値段は鰻重としては少し贅沢ですが、蒸した鰻はふんわり柔らかく、臭みも全くなくて、かつ脂ものっていて、実においしかったです。またたれも甘からず辛からず、決して主張しすぎないので、口に含んだ瞬間に、たれの味ではなく鰻自身の味が口に広がります。
浜松を郷里に持ち、三十余年鰻を食べてきた都並としては、正直さほど期待してなかったのですが、嬉しい誤算でした。迂闊にもその味にほだされて、郷里が思い出されてしまいました。とても優しい味で何だか癒されました。

川越は我が家から車で一時間ちょい、今度は観光をメインにゆっくり来たいなと思います。

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皆様よいお年を/2008年のベスト○○

今日は仕事納めですね。

都並は例によって年末年始モードに入ると電脳空間から遠ざかるため、今年は今日が最後の更新となります。次回は1月の…8日とか9日になるんじゃないでしょうか。

ということで、皆様(という名の仮想読者の方々)にはここでご挨拶を申し上げておきます。

今年一年間はまことにありがとうございました。大変に忙しい1年でしたが、なんとか乗り切れたのはひとえに皆様のおかげです。

また、2009年も何卒お引き立てのほどをお願い申し上げます。2009年は都並も、さらなる補強を行って、一回り大きな人材になりたいと思います。よろしくお願いいたします。

しかし今年はいろいろあったなあ…。学会の主催校・実行委員をやったり、名古屋では憧れのDB先生に会えたりスターウォーズの公開30周年記念イベントがあったり…なんとなくはじめたミニカーのコレクションもあっという間に増えたし…。

ということで、今までやったことがないのだけれど、極私的「2008年のベスト○○」をここに書きつけておこうと思う。もし来年も、それ以降もこの気まぐれが持続したら、それなりの備忘録にはなるだろう。

1)2008年のベスト・ムーヴィー

第1位 『イントゥ・ザ・ワイルド』

第2位 『潜水服は蝶の夢を見る』

第3位 『ノー・カントリー』

寸評)今年は結局忙しくて、『TOKYO』も『トウキョウソナタ』も未見、『アイアンマン』もこれから…という体たらくなんだけど、観たものの中で言うと、なんといっても『イントゥ…』の鋭利な仕上がりと、その製作姿勢の気迫が凄かった。かつてないほどインヴォルヴされた映画だった。第2位も詩的で美しく、人生の美しさを謳い上げた傑作だと思うけれど、『イントゥ…』が真正面から見据えたネガティヴィティのインパクトには勝てなかった。第3位は職人技の凄さを見せ付けられた。

2)2008年のベスト・ミュージック

第1位 リトル・ジャッキー『ザ・ストゥープ』

第2位 R.E.M.『アクセラレイト』

第3位 ローリング・ストーンズ『ラヴ・ユー・ライヴ』ほか

寸評)今年はあんまりポップ・ミュージックを積極的に消費しなかった。オアシスもコールドプレイも新譜を買わなかった。その中でも第1位のリトル・ジャッキーは、キャッチーさといなたさとが絶妙にミックスされて、ドライヴのBGMとしても最適。いいセンスしていると思う。

第2位は『モンスター』以来のピーター・バックのギターばりばり弾きまくりがうれしいR.E.M。でもこの人たちの場合、反対にスロウな曲はそろそろマンネリしてきた。

第3位は、恥ずかしながら(いや別に何も恥ずかしくないけど)職場のイギリス人の先生に勧められて初めて聞いたのだけれど、いや、凄い。特に「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」「ブラウン・シュガー」「悪魔を哀れむ歌」の流れが最高。そのほかはGラヴ、ベイカーズ・ブラザーズあたりが次点かな。

3)2008年のベストお茶菓子

第1位 松屋長崎のマドレーヌ

第2位 みよしやのみたらし団子かざりやのあぶり餅出町ふたばの豆餅

第5位 根津のたいやき谷中せんべい

第7位 おせんべいやさん本舗の黒胡椒せん/あげせん

寸評)お酒を家でほとんど飲まなくなったので、代わりにお茶菓子を食べることが増えた。移動の多い仕事を生かしてあちこちでお菓子を試してみるのだけれど、やはり自分が年をとったせいか、京都と東京の和菓子に軍配が上がる。ここにあげたのはどれも伝統のある老舗である。特に第1位の松屋長崎の、予約しないと買えないマドレーヌは、聞けばおじいさんが独りで作っているそう。絶対になくならないでほしい味である。

といいつつ今個人的には根津のたいやきが食べたい。あの薄い皮、たっぷりのあんこ…ああ、たまらないな。

…さてさて、などといいつつそろそろ2008年の太陽も沈みかけているようです。皆様それではまた来年お会いしましょう。

都並はこれから髪の毛を切ってもらいに行きます。今晩のごはんは奥さん手製の豆腐ハンバーグです。明日からは大掃除とたまったDVDの鑑賞に精を出し、大晦日からは日光・鬼怒川に出かけてきます。

年が明けたら京都に帰り、バーゲンでピーコートの掘り出し物を探し、リコーのGRデジタルⅡを買って、でもって帰りの新幹線ではそれをうれしそうにぱしゃぱしゃやりながら北関東に帰ってきます。

それまでごきげんよう。2009年が皆様にとってこれまで以上にすばらしい飛躍の年でありますように。

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週末だけの帰郷その2(プロジェクトTNT)

明けて日曜日。この日はまったくのオフ。旅の空ということをのぞけば、完全オフは実に一ヶ月ぶりくらいではないかと思う。

定宿のホテルで遅い朝食を食べて(なぜかビュッフェが以前より充実しており、特にフルーツとジュース類が格段に拡充されていてうれしくなってしまった)、それから今晩の宿であるグランヴィアへと移動。トランクを預けた後、地下鉄に揺られて烏丸御池へ。

烏丸御池まで行ったのは、三条通に新しくできたジーンズ・ショップを見学するためだったけれど、これは意外とどうということはなかった。

仕方ないのでそのまま三条通~御幸町通あたりのお店をぶらぶら。そうこうしているうちにお昼になったので、久しぶりの「バスティーユ」へ。

久しぶりに行ったら、お店の奥が広がって、フロア自体が広く、席数も多くなっていた。流行っているようでなによりである(そんなにえらそうに言うこともないけれど)。

しかし流行っているせいで予約のないお客さんは待つか諦めるかしないといけないレヴェルに達しているようだった。予約しておいてよかった。

Vfsh0474 今回はここでランチのコースを堪能。かぶらとベーコンのスープにはじまり、アボカドと魚を使ったサラダ、帆立と魚介のペペロンチーノ、豚肩肉のローストとデザート、というコースである(どうして覚えているかというと全品写真を撮ったからなんだけど、スペースの都合上ここでは二品だけ掲載する)。

お店が拡張して客数が増えると、心配になるのは味が落ちることだけれど、今のところそんな心配はぜんぜん無用なようだった。どの品も、今までどおりのバスティーユの味で、しかもしっかりおいしい。久々の贅沢な食事に感激した都並であった。

写真はデザートのアールグレイのブランマンジェ。そこにティラミスとバナナのアイスが添えられている。見てもらってわかるとおり、あまりのやわらかさに自重で崩壊しかかっている。それくらいやわらかいので口の中であっというまに溶けてしまう。これをティラミスといっしょに口に入れると実においしい。

Vfsh0475 最後はエスプレッソで〆。ところでこの写メール、偶然なんだけど天井からの明かりがハート型になっている。なんだか縁起がよさそうだ。

食事を終えたら、昔のように四条界隈をぶらぶら。ナイキに入ってNSWのウインドブレーカー類を一応確認する。80sっぽい色彩が気に入ったけれど、「これはアウトレットに出るまで待とう」と思い購入を控える。

代わりに、というわけではないけれど、藤井大丸の「Wilson」のショップで、スタジャンふうのスウェットを発見。着心地もよく、アームホールの太さや肩幅なんかも今風だし、ショール・カラーとかウエスタン・シャツみたいなポケット周りのパイピングなど気に入ったので、仕事着として購入。北関東の田舎では見つけられないものはまよわず買っておかなくてはいけない。

081027wl1m こんなんです。しかしこんな感じで仕事していていいのだろうか。今も着ているけれど。

あちこち歩き回って、そのほかに奥さんの買い物とかもして、夜は再び京都駅へ。

京都駅では毎年恒例のクリスマス・ツリーを見学する。駅ビルの大階段にちょっとびっくりするくらいの人が座り込んで、このツリーを観ていた。それを横目で「おしりが冷たかろうに」といいつつ眺めながら、いちおう僕も写メールを撮る。

Vfsh0484 こういうのを観るといよいよ年末だなあと実感する。日々いろいろ忙しいけれど、この不況の折お仕事があって、平和な家庭があって、ゆっくりクリスマス・ツリーを見るくらいの時間があるというのは、ひとまずは幸せなことだ。

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週末だけの帰郷(プロジェクトTNT)

Vfsh0485 仕事は相変わらず山積しているけれど、家族の行事があったので、週末だけのタッチ&ゴーで京都に帰ってきた。

京都はちょうど観光シーズンの真っ只中(最近は気温が高いので、本来紅葉の見ごろの11月にもなかなか十分な紅葉を見ることができない。そこで勢い11月の最後の週末が混むことになる。みんなぎりぎりまで紅葉を待つからだ)だったけれど、新幹線は意外と空いていて、当日の朝に切符を買ったにもかかわらずすんなりと座れただけでなく、隣の席もずっと空いていた。

新幹線はあらかじめN700の窓際の席を指定しておき、コンパクトDVDプレイヤーを持ち込んで、窓のスクリーンも下ろして、ひたすら映画を観ながら移動した。といっても遊びではなく、悲しいかな仕事で観なければならないものが溜まっていたので、移動中も仕事である。

今の住まいは在来線も東京まで結構時間があるので、片道で都合2本の映画が観られる。そこで、小さい画面だけれど往復で4本の映画を観た。暗い内容ばかりだったのでやたらと気が滅入った。

気が滅入ったまま、窓のスクリーンをあげるともう山科で面食らう。いつも富士山など見ながらゆっくりと故郷のモードに頭を切り替えていたのが、今回は途中でスクリーンの中のアフガニスタンやらサウジアラビアを通過してから京都である。

京都についたらタクシーで定宿にしているホテルへ。そこで先に帰省していた奥さんとお母さんと合流。またタクシーを拾って今度は金閣寺近くの某神社へ。そこで家族の行事があった。短時間ではあったが、晩秋の静粛な空気が満ちている京都の神社での時間に、思いがけずリフレッシュする。こんなにのんびりと、心落ち着いた気分になったのは久しぶりのような気がする。

Vfsh0468家族行事を済ませたら、今度は北大路通りをずんずん東進。おいしいものを食べる喜びで固く結ばれている親子三人で、今宮神社の「かざりや」のあぶり餅を食べるためだ。金閣寺から今宮神社は歩くと結構あるけれど、結束力の固いチームなので根を上げたりはしない。

だいいち、今の時期の京都のバスは殺人的に混んでいてめったにオンタイムに来ない。といってタクシーを捕まえるほどではない。

僕も、時間を気にせず歩く、という自由さがうれしくって、似たもの同士の親子の後ろをついて歩く。

今宮神社そばのお店にたどり着いても、それからまだ行列に並ぶ。30分くらいは優に並んだのではないかと思う。しかし時期がいいのでさほど苦ではなかった。奥さんは「かざりや」に並びながら「四条のみよしやのみたらしが食べたい」というわけのわからないことをいう。

そんなこんなで、いよいよお目当ての品物にありつく。いつもながらおいしい。

といってもこれは、具体的な調理方法を考えると、なんてことない食べ物だと思う。お餅をついて、小さく丸めて竹串に刺し、きな粉をまぶして焼き、最後に白味噌のたれをかける。おそらくそんな感じでけっこう簡単に作れるんじゃないだろうか。

でも、こういうものはやっぱりシチュエーションが大事で、今宮神社の参道にあるお店に並び、お店の奥の座敷で出涸らしの薄い番茶をすすりながら食べるのが乙なんだろうと思う。

この喜びに親子三人して浸った後はホテルに帰り、しばし何をするともなく休憩。

それから夜、再度集合してホテル内の中華で舌鼓を打つ。餃子と杏仁豆腐がおいしくて、満足のディナーとなった。久しぶりに生ビールを二杯、紹興酒を一杯飲む。

それからまた部屋に帰って就寝。非常にのんびりした一日だった。

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いとしのマドレーヌ/野営への郷愁

【この日記はフィクションです】

ここ二日間ばかり、入試関係で大学に詰めている。

しかも朝の8時半からだ。世間様には申し訳ないがいつもこんな時間に研究室にはいない。なので、自分が少しだけまともな人間になったような気がする。

Vfsh0424しかも我が家の近辺は今朝になってまたずいぶんと冷え込んだ。そこで喜々として先日アウトレットで破格で購入したブルゾンを出してきた。

防寒(というよりこの地方では防風だ)の用意を整えた後で、愛する奥さんの用意してくれた朝食を採る。

スターバックスの「エイジド・スマトラ」で淹れた熱いコーヒー。黒パンにペッパーシンケンとチーズを乗せたトースト、卵、プチトマト、バナナ入りのヨーグルト、それから、最近我が家のフェイヴァリットになっている、京都にあるのに「松屋長崎」という老舗洋菓子店のマドレーヌというのが今朝のメニュー。

Vfsh0460阪神・岡田監督の辞任騒動などショックな事件が多いが、それでも朝の光の中でしっかり朝ごはんを食べると元気が出てくる。

特に、このマドレーヌは都並の元気の素だ。昔ながらの洋菓子、といった趣の、芳しい風味としっとりした食感。

非常においしいんだけど、これを食べるには京都にいるお父さんお母さんに買いに行ってもらい、それを送ってもらわないといけない。だからいつでも随意にオーダーできるものではない。あくまで、何かのついでで我が家のぶんも買ってもらえたときの行幸である。

それにしても、このマドレーヌのおいしさは、マルセイ・バターサンドに匹敵するね。

おなかもいっぱいになって、前述のブルゾンをいそいそと着込んで、家の外に出たら案の定風がとても涼しかった。

その皮膚感覚で何かを思い出した。

キャンプだ。

大学生の時分、時間を見つけては友人たちと野営に勤しんでいた頃の記憶が、頬を撫でる冷たい風でふいによみがえってきた。

思えばこれくらいの気温の頃、アウトドア・ブランドの高機能なウインドブレーカーを着込んで、「これっくらいへっちゃらだぞ」という一種の万能感とともに、野へ山へ分け入り、浜辺の流木を拾い集めていた頃からもう十年。

もう久しく野営に行っていないなあ。近頃日常生活は日に日に安全で堅実になり、仕事も来るものから順番に着実に片付けるようになって、我が家は奥さんのおかげでいつも清潔で、食事はおいしく、学生の時分から比べたらずいぶんQOLの高い生活を送っている。

そのことはもちろんいいことだし、この生活をこれから守っていくつもりなんだけど、わが身一つとノースフェイスのブルゾンとヴィクトリノックスのナイフが一本あれば、それだけで万能で無敵だったあの頃(といっても浜辺を走り回って吠えていただけなんだけど)。

そこからずいぶんきてしまったことだ。

けれどもそんな思考は一瞬のこと。通勤駅の改札にスイカをかざす頃には、秋の風に飛ばされて消えてなくなっている。その代わりに都並の頭の中は、今日すべき仕事を反芻している。

研究室に着いたらまずメール・チェックして返事を書いて、それを受けてたぶんあの書類の直しが入って、残った時間で授業の準備をして、あの本をちょっと読んで、それから某ホテルに打ち合わせに行って…いまやこれが僕の野山である。

分け入っても分け入っても活字ばかりだ。

それにしても、さっき食べたのにマドレーヌの風味では何にも思い出せないところが、偉人マルセル・プルーストと凡人・都並との違いだ。

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フランス映画とカレーとドーナツ(ver.9.8)

9月に入って当大学では連日の会議。

あまりに会議ばかりで気がふさがるので、金曜日は趣味と実益をかねて(もともと趣味と直結した仕事なんだけど)有楽町朝日ホールでやっている「フランス映画の秘宝 シネマテーク・フランセーズのコレクションを中心に」に行ってきた。

この日見たのは2本。クロード・オータン=ララ監督の『パリ横断』(1956)と、ロジェ・レーナルト監督の『最後の休暇』(1947)。

どちらも、アメリカ映画のマニエリスムにどっぷり浸っている都並みたいな人間にはとても風通しがいい作品で、楽しく観ることができた。

特に、『パリ横断』の脚本はオーランシュとボストなのだが、この作品が面白かった、ということは都並にはとても意義があった。

というのもこの2人、フランソワ・トリュフォーがヌーヴェル・ヴァーグの誕生期に「フランス映画のある種の傾向」という論文で「良質の伝統」という名の下に(要は「つまらん」「我々の実生活に即していない」ということで)けなした脚本家である。

これまでこの論文だけを読んでいて、かつトリュフォーの作品だけを観ていた都並は「ふうん、そうなのか」と想像だけで判断してしまっていた。けれども、実際に『パリ横断』を観てみると、ちゃんと面白いところもあることがわかる。

それも、単に面白いだけじゃなくて、終戦から10年ちょっとでナチ占領下の時代のコメディを作っていることの不穏さみたいなものも感じる。

要はちゃんと評価するに足るわけで、それを観ずして一方的にトリュフォーのいうことを鵜呑みにしていてはいけなかったのだな、ということがよくわかった。

この後は「開会式」とかでジャック・ドワイヨン監督が挨拶するということだったけど、御尊顔を拝見せずにそのまま退場。

会場には知人の某先生(この催しのことを「有楽町の秘宝館」と仰っていた。うまい)もいたのだけれど、人ごみにまぎれて挨拶できなかった。

知人といえば、この催しで座談会に登壇される映画監督の青山真治さんも足を運ばれていた。が、こちらは一方的に顔を知っているだけなので特に挨拶はしない。

要は、孤独に映画を観ただけである。

それにしてもこの催し、もっと専門家や若い映画ファンが集まるかと思いきや、そういった客層は一割程度で、後は有楽町的なというか銀座的なナイスミドルばかり。意外な客層だった。

映画を観終わった後はマリオンやらイトシアやらをぶらぶら。秋冬ものの洋服を見て目の保養をする。またぞろブーツやらレザーやら物欲の虫が騒ぎ出すけれどここはぐっとがまんして何も買わない(もうブーツは2足ほど欲しいのを見繕っているんだけど)。

Vfsh0451_2代わりに、というわけではないけれど、うちへのお土産に有楽町イトシアB1Fの「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を購入。

平日の、まだOLさんやらサラリーマンさんが職場を出る前の時間帯だったこともあったけど、お店は意外に空いていた。

混んでいるときにはお店の外まで並ぶ行列がなんと店内で完結していて、待ち時間は正味30分を切るくらいだった。混雑を緩和するための「中身は選べないけど詰め合わせ12個」という「アソート」の列なんてほとんど待ち時間ゼロだった。

これは、いっときの混雑ぶりに比べると大きな違いだ。

さらに驚いたのは、いつも配ってくれるオリジナル・グレーズド(行列中に試食と称して一個まるまるくれる)を断るお客さんがいたことだ。以前ならこれをお目当てに並ぶ客もいたのに。

いやはや、このままブームが沈静化してくれることを願う。

Vfsh0449_2結局この日は8個買う。それにしても、このお店のレイアウト(行列中に、画像のようにドーナツが大量生産されている様子を見学できる)って、なんか購買欲をそそるというよりも、大量生産・大量消費を風刺されているような気がしなくもない。

次々と揚げられていくドーナツの行進と、それを買い求める、比較的ひまでミーハーな客の行進。なんか『いのちの食べかた』のなかのワンシーンみたいだ。

いや、こんなお店けっこうふつうにあるか。失礼失礼。

Vfsh0450 ドーナツを買った後は、同じイトシアの「東京カレー屋名店会」で夕食。前からずっと気になっていたのだけれど(だってこのフロア全体がカレーの匂いなんだもん)初体験である。

ここは都内の5店舗が共同出店、カレーもこの5店のものが選べる。セットも可能で、この日はインド風のカレーが食べたかったのでCセット(エチオピアとデリーのセット)にした。これが納得のおいしさだった。

エチオピア(左の黒い方)の名店会オリジナルカリーは、スパイスにくわしくないのでうまく説明できないけれど、関西だと大阪の「食堂玄気」や京都の「かれいはうす沙羅」に似た、爽快な辛さのスパイシーなカリー。

対してデリーのバターチキンはバターのこくとトマトの酸味があいまって食欲をそそるカレー。

あまりのおいしさに、食事中隣に入ってきた母娘連れが「何にしようかな…辛くないのがいいのよね」と言っていたのを聞き、「なら、Cセットがいいですよ」と突然話しかけたくらいだ。

…というのはうそだ。話しかけはしなかったけど「ならCセットにすりゃいいのに…」と心の中で念じていた(気持ち悪い客だ)。そしたら、ほんとに「Cセット2つ」と言ったので「それ正解。お母さんそれ正解」と今度も心の中でつぶやいた(ほんとに気持ち悪い客だ)。

都並の気持ち悪い思考はさておき、このお店、非常にカジュアルなスタンドなのですが、カレーは本気だと思います。後3店舗は今後の楽しみにとっておこう、と正直思いました。

カレーを食べ終わって時計を見たらまだ7時。でも奥さんも家で(ドーナツを)待っていることだし、この日は帰宅。

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いただきもの2008夏

080807_1143まずは北島康介選手、世界新での金メダル、おめでとうございます。

実生活での都並をご存知の方はお分かりだと思いますが、都並はプロフィール上彼と「ある共通点」があるので、屈折した自己愛の反射というか、非常に肩入れして応援していたわけですが、無事当初の目標を達成できてほんとに自分のことのように嬉しいです。これは正直、阪神優勝に匹敵する嬉しさです。

ま、我が事のように嬉しいとはいっても、こっちは何事につけ彼ほど努力はしてないわけなんだけれどさ。

Vfsh0429それはさておき、昨日はNY~ダラス~LAと研修に行っていた義弟くんが、お土産を持って遊びに来てくれた。

ということで、いろいろ最近いただいたものを書きとめておくとともに、ここでお礼を申し上げておきたいと思う。

一番上の画像は、奥様のOL時代のお友達でこのブログにも時々登場するT子ちゃんから先週いただいたもので、信州の桃10個である。

これは奥さんのリクエストだったみたいだけれど、非常に甘さと香りのバランスがよく、おいしくいただきました。

強度の小麦好きである奥さんは実はかなりの桃好きでもあり、桃については忘れられぬエピソードがある。

あれはまだ奥さんと結婚する前、別々に暮らしていた頃のこと。ある夜、一日の仕事を終えて独り暮らしのアパートの鉄骨の階段をかつこつと上っているときに、ふいに奥さんからメールが届いた。

「今お風呂から上がって桃を食べています。とても甘くておいしいです。世界の終わりに何を食べるときかれたら私は桃だな。桃桃」

その、何も訊ねてないのに自ら答える、という全体の内容もさることながら、何よりも文末に奥さんの動物的な喜びが力強く現れていた。「桃桃」とただその名称を連呼するだけの、文にもなっていない荒削りな野生の叫び。

おかげで僕は桃のことを考えるといまだにあのアパートの鉄骨の階段が脳裏に浮かぶ。

ともかくそんなわけで我が家では、この時期、桃の季節はちょっとしたフィーバーである。スーパーに足繁く通い、店頭の桃を夫婦して仔細に吟味し、時には匂いまで嗅いで確かめ、朝な夕な食卓に桃を欠かさぬようにしている。

その桃好きの夫婦ではあるが、この桃は普段食べている桃とは違った。普段の桃が渡辺直美だとしたら、ビヨンセくらいの味わいだった。あまりのおいしさにT子ちゃんにメールにて感謝を伝えるとともに、奥さんに「来年も頼むように」と念を押す。

Vfsh0432 二つ目の画像は義弟くんのアメリカ土産。『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザー主演で3D映画化された『センター・オブ・ジ・アース』の読み物と、『インディ・ジョーンズ』のスティッカー・ブック(シール付絵本、のようなもの)、それから『ダーク・ナイト』も話題のバットマンとジョーカーのペッツ、である。

080811_1206 ペッツはさっそく研究室に飾らせていただきました。研究に関係あるから、とかなんとかいいながら、うちの研究室の本棚はこんな玩具でいっぱいです。

それにしても、30過ぎの義兄にこういうお土産を買ってきた義弟くんの心境っていかなものだったのだろう。センスとしてはど真ん中ストライクで嬉しいのだけれど、お義兄さんとしては失格ではないかと若干気にならないではない。

Vfsh0431合羽橋にてロウ引きの袋をまとめ買いしたりするのに喜びを覚える奥さんには、向こうのランチョン・バッグ25枚セットをもらった。これも「お姉さんのことをよくわかっているなあ」というチョイスである。

25枚「セット」というのは、1枚ずつ絵柄が変わっていて、これを持っていく小学生とかが、お昼休みに知識も身につけられるようなトリビアが書いてあるのである。この一番上の絵はシマウマで「シマウマの縞は一頭ずつ違うんだよ。指紋みたいにね」とか書いてあるわけである。

他には「サイの角はケラチンでできているんだよ。これは僕らの髪の毛や爪と同じ材質なんだ」とか「ケープ・バッファローはとっても社交的な動物で、2000頭もの群れで移動するんだ。彼らはとても仲良しなので、お互いの頭を枕にして寝たりもするんだよ」とか、大人の都並でも「ふーん、へえー」とマジで勉強になることが書いてある。

Vfsh0430 それからこれは向こうのスーパー・チェーンのショッピング・バッグ。さすがにド派手だ。わが国のどこかのチェーンみたいに八分音符がふたつ描いてあるだけ、というのとは違う(値段じゃなくてこういうトリビアルなものこそが我が家的にはツボなので、お友達の皆様も海外旅行の際にはよろしくお願いします)。

このほか『ライオンキング』のパンフレットなどもいただきました。ありがとうございました。

Vfsh0383 最後は、お中元にもらった佐藤錦。某所のお嬢さんに卒業祝いを贈ったらお返しにいただいた。ちょっと前のできごとだけど、写真を撮っておいたのでここに書き記しておこうと思う。

これも大変おいしくいただきました。ありがとうございました。

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ゴー・レット・イット・アウト(アウトレットへゴー)

Vfsh0359 梅雨の隙間をついて、話題の三井アウトレットパーク入間に行ってきた。

日ごろは北関東の侘しい片田舎というか両田舎(そんな言葉ないけど)に暮らしている都並であるが、この地域は、なぜかアウトレットには恵まれている。

我が家から車で約一時間の距離に、上記の入間と、栃木県佐野市の佐野プレミアム・アウトレットと、ふたつもアウトレット・モールがあるのである。

これは、消費アフロエンザがいっこう治る気配のない我々夫婦にはありがたいことではある。そこで、持病の熱病にうなされつつ、これらのアウトレットを順番に詣でてみることにした。先月は佐野にでかけたので、今月は入間ということである。

三井アウトレットパーク入間は、オープン時の混雑は報道で聞き知ってはいた。なんでも、高速(圏央道)の入間の出口付近からすでに渋滞が始まっているとかなんとか。

それで奥さんとは「半年くらいして落ち着いたら行こうね」などと話していたのだが、先日奥さんが、耳寄りな情報を入手してきた。通っているジムのお姉さんいわく、「平日なら空いてますよ」というのである。それは平日休める人間としては願ってもない話で、今回の訪問と相成ったわけである。

道中驚いたのは、高速の一つ前の出口あたりで、路肩に「混雑時はここからもアウトレットにいけます」という趣旨の看板が立っていたことと、入間の出口では「アウトレット↑」という矢印が出ていたことである。なんという行政の(?)対応の早さよ。

そんなわけで、往時の混雑を偲ばせる事物を眺めつつ現場に到着したのだけれども、実際に着いてみると、事前の情報どおり混雑はぜんっぜんたいしたことなかった。お昼過ぎに到着したのにも関わらず、第一駐車場の、建物入り口すぐ近くに車を止められたくらいである。

敷地内に入ってみても、お客さんの数は決して多くはない。落ち着いて見て回ることができる。

中に入っているお店だけれども、佐野も入間も総じてさほど変わらない。ナイキがあり、アディダスがあり、ビームスがあり、という具合である。どちらも、なぜかどことなくやさぐれた印象の洋服たちをずらりと並べている。

違うのはフードコートで、これは入間の方が垢抜けているし、清潔感&解放感もある。垢抜けているといえば、来客者の服装も、立地ゆえかこちらの方が都会的である。建物自体もこちらの方が新しくて洗練されているので、都市的な印象ではある。

ではどちらがいいか、といわれれば、甲乙つけがたい。佐野のほうは、観光地のアウトレットに来たみたいで、日帰り旅行的な情緒がある。一方、入間はあくまでベッドタウンのアウトレットである。入間にはコストコがあるけれども入会金は決して安くないし、佐野は現在入居店舗数を増設中という魅力もある。

Vfsh0369 などと思いながらぐるっと一周見て回った後で、今回のお目当ての品を購入。シチズン・アテッサのエコ・ドライブ電波時計「ジェットセッター」である。

実はちょうど腕時計を買い換えなくてはいけなくて、新しいのをいろいろと比較検討していたのだけれど、種々の条件からこれにした。

まず、仕事柄(センター試験などの試験官をしなくてはいけないので)、時計は電波時計であることが必要条件である。

そうでなくても、いったん電波時計に慣れてしまうと、電波時計が「ほんとうの時刻そのもの」を示してくれるのに対し、一般の時計が「大体の時刻」しか表してくれないことに対する不満感が拭えなくなってしまう。これは何かほかのものに喩えると、ピントが合わない映像しか見られないテレビとか、大体350mm入っているビール、みたいなものだ。そういった、いわば認識論的な変化があるわけである。もちろん実用面でも電波時計はありがたい。特に、電車の乗り換えなどでは電波時計の信頼感に勝るものはない。

次に、これも仕事柄だけれども、たまに海外に行くことがあるので、ワールドタイム対応である必要がある。その点この「ジェットセッター」はアメリカ、ヨーロッパでも電波を受信してくれる優れものだ(実は型番落ちになっていて、新作は中国でも電波を受信してくれるのだけれど、個人的には中国に行く仕事はないので、この機能は必要ない)。

Vfsh0372 最後に、暗い映画館の中でも時刻がわかるようにバックライト機能があることも大事である。いまどきの時計はたいてい備えている機能ではあろうけれども。

ということで、とにかく優秀なこの時計であるが、実は定価は庶民の僕が思い描く腕時計の値段とは一桁違う。けれどもそれがアウトレットだと30パーセント以上安く買える。これはお買い得である。

とはいっても僕にとっては高価な買い物であることは間違いないので、これから長い時間こいつを大事にしていきたいと思う。

Vfsh0363 そのほか、コレクターとして思わず買ってしまったのがこれ。『スター・ウォーズ』のTシャツである。Mサイズでも若干大きいけれど、短パンにあわせてだぼっと着るのにはいいかと思う。

まだクローゼットには「トップレス・カリフォルニア」の『トランスフォーマー』Tシャツが未使用のまま二枚も眠っているわけだが。

追記:食事は「ベスト&バーガーズ」というところで採ってみた。バンズをお店で焼いてくれるハンバーガー、ということで、「クア・アイナ」みたいな高級本格志向かと思い入ってみたのだけれども、思ったほどではなかった。どちらかというとモスバーガーみたいな印象である。それでも、セットで1000円近くするので、割高感がある。店内はおしゃれだったけれども。

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鎌倉に形から入る(後編)

(前編からの続き。更新に日が空いてしまったけれど後編。前編を改めて読み返してみて、どうしてこんな細かな行程表みたいな記事をちまちまと書くのだろうか、日記なんだったら「鎌倉に行って楽しかった」という程度の備忘録でいいのではないか、といまさらながらつくづく思ったりもしたのだが、それではインターネット上に書くということの意味がない、という思いもあり、このままの方針で後半を書くことにする)

Fl000026 ビーチボーイズとビーチの風景の絶妙なマッチ(何度も書くが当たり前だ)を楽しみながら、浜辺沿いを奥さんと歩いていく。僕だけ「ドンウォーリーベイービー」と鼻歌交じりではつまらないので、奥さんにもイヤフォンを片耳供給し、仲良く連れ立って歩いていく。

空はあいにくの曇天だが暑い。途中ローソンによってアイスクリームを補給したにもかかわらず、暑い。

Fl000020 しかたがないので由比ガ浜を望むサーファー・テイストのお店を見つけて入ってみる。名前は「Daisy's Cafe」 。

ここもちょうどお店に入ったときに道路側の席が空いたので、そこにそそくさと座り、冷たい飲み物を注文する。奥さんはアイス・カフェオレ。僕は、せっかくの連休だし、海を見に来たんだし、ということでコロナビール。ちゃんとライムが刺さって出てきたので満足。飲めない体質の奥さんはコロナビールの瓶をはじめてまともに見たらしく、「へー、かわいいねえ」と感心していた。

Fl000022食べログ」なんかにも内装が掲載されているので、ここにも写真を貼ってみる。まったくサーフィン文化に縁がない(けれどひそかに憧れがある)運動音痴の僕としては、かなりのサーファー・テイストだ。

サーファーといえば、鎌倉でもうひとついきたかったお店があった。稲村ガ崎駅のすぐそばにある「ダコタ」である。ここは「パシフィック・オーシャン・ブルー」というオリジナル・ブランドのTシャツやバッグなんかを扱うショップである。

このブランド名が、聞けばビーチボーイズのソロ・ドラマーにして唯一のリアル・サーファー、デニス・ウィルソンのソロアルバム名から取ったものだという。ビーチボーイズをリスペクトする元ドラマーとしては、買いに行かないわけにはいかない。

しかも、リンク先を見てもらえばわかるように、ここのデザインはかなりかわいい。いなたさというか古き良きアメカジの香りと、ほどよい今風加減とが絶妙にマッチしている。マスコット・キャラクターのデニスくん(もちろんデニス・ウィルソンから)もかわいらしい。

Vfsh0315_2 このテイストは奥さんも気に入ったらしく、いろいろと大人買い。まずはトート、それから丸型のハンドタオル(汗かきなので夏場の授業で使おうと思います)、ステッカーはすべて同柄のデニスくんをフィーチャーしたもの。

これにくわえて、夏場に向けて都並用のTシャツも購入。厚手のしっかりした生地で、これで2800円はどう考えても安い。

ただ、サイズは難しくて、サーファー用なので、ゆったりしている。都並は基本Mサイズなのだけれど、Mサイズを選ぶとかなり大きめで、着丈も長い。ゆったりしているぶんにはいいのだけれど、着丈が長いのはあまり好きではないので、Sサイズを購入。

Vfsh0316_2 これが、家に帰って来てみたら、50年代のマーロン・ブランドとかジェームズ・ディーンみたいなタイトな感じだった。基本的にTシャツはジャストフィットが好きなのでまあOKなのだけれど、選ぶときは気をつけたし。

柄は、鎌倉の地図が書いてあるという、北関東で着るのにはいちばん微妙なものをチョイス。黄色とブラウンの組み合わせが古着っぽくて気に入ったからだ。「おまえ鎌倉に何の縁もゆかりもないのになぜ」というような問題には拘泥しない。自意識の希薄なおじさんだからだ。

ところでこの「パシフィック・オーシャン・ブルー」、「鎌倉生まれ鎌倉育ち」というロゴのTシャツの英語が間違っています。「Borned and Raised」となっていますが、「born」はすでに「bear」の過去分詞なので、-edはつきません。「生え抜きの」なら「Born and Bred」がよろしいかと。

Fl000032 「ダコタ」を出た後は、「R OLD FURNITURE」という古家具屋さんに直行。2号店はごらんのとおり江ノ電の線路に直面している。高校以来の悪友に、同じように実家が京阪電車の線路に迫っている友人がいたが、それを思い出す。

ここでは奥さんが、幼稚園サイズの古い木製チェアーにはまってしまう。値段もお買い得だったので、即座に購入を勧める。「持って帰れるの?」と奥さんは不安げだったが、「大丈夫大丈夫」と安請け合いする。

Vfsh0310_2 これがその椅子。無事北関東の巣穴に持って帰ってこれたのだけれど、なかなかこいつが大変だった。

連休ともあり、江ノ電が殺人的に混んでいて、その中に持ち込むときがいちばんひやひやした。網棚の上に置けたので事なきを得たのだけれど、乗り込むときの車内のほかのお客さんの目が痛かった。

いやそれにしても連休中の江ノ電は混んでいました。20世紀半ばのドイツの悲しい記憶を連想するくらい混んでいました。

Fl000037 2号店を出た後、1号店にも行ってみた。こちらも線路のすぐそばにお店がある。

ちなみに、天然な奥さんは、この二つのお店が同じ店だとはぜんぜん気づかずに入っていたのだそうだ。そのせいで「あれ、ここにもおんなじ椅子が売っているね」などと不思議なコメントをしていた。

いつも旅行となると日程はすべて都並任せなので、こういうことが起きるのである。

Vfsh0314_2 この後は浜辺を離れて、やはり殺伐とするほど混雑している(実際、小さな子が常に泣き叫んでいました)江ノ電に乗り、鎌倉駅へ帰る。

鎌倉駅では西口に出て、「Romi-Unie Confiture」へ。ここは、奥さんの所属するスイーツ・クラブ(と僕が勝手に認定している)の仲間たちの間ではマストになっているコンフィチュール(ジャム)のお店。

グランスタ内にもカップケーキの店を出しているいがらしろみさんのお店だ。

ここでも奥さんと大人買い。コンフィチュールを三種類、クレープの粉を二種類、それから炭酸水なんかで割るとおいしいというシロップを一本。これらを先述の椅子の上に並べて撮ってみたのが上の写真。

どうでもいいけれど、いがらしろみさんご自身がこの日は店頭でクレープを焼いていた。ブログを拝見するとそのことが書いてあるのだけれど、面白いのは、ここへ足を運ぶ女子の大半が、ろみさんのお顔を知らないのでぜんぜん気づいていなかったことである。もちろんスイーツ・クラブの部員であるうちの奥さんは気づいていたけれども。

その後、夕食は鶴岡八幡宮の参道沿いにある「bowls」なる「どんぶり」をフィーチャーしたカフェでお食事。ここは、隣のテーブルをいくつか貸し切ってお祝いのパーティーをしていたグループがいて、そこの若者は北関東にはまずいないくらいのおしゃれさん&イケメンばかりだったけれども、フードはどうってことなかった。

Vfsh0309_2 ともかく、お昼に続き夜も無事食べられたので弛緩し切った我々は、その後も買い物を続行。駅前の売店で「こ寿々」のわらび餅を購入したほか(写真。これは確かにおいしかった。もちもち感がすごい)、なんだかよくわからない豆やら、定番の鳩サブレやらをがっちり購入。

そのまま山ほど荷物を抱えて帰りの電車に。帰りのJRはなぜか空いていて、ぜんぜん座って帰れたのだった。

いやはや、またもや散財した日帰り旅行だった。

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鎌倉に形から入る(前編)

Fl000029 GW後半の中日、奥さんと今度は鎌倉に出かけた。

旅の目的はいたって単純で、海を見ること、である。

何せ、今住んでいる北関東には海がない。群馬県にも栃木県にも埼玉県にも海はない。このことがもたらす内陸感というか、内奥感というか、ともかくその閉塞感は実は都並にはけっこう心理的な圧迫で、時折「僕は奥地にいるんだ」と思うと息苦しくなるくらいである。

だから、ちょっと開放感を得るために、鎌倉に行ってみることにしたのだ。

これはしかし、よく考えてみると不思議なことだ。何度も書いているが、都並はそもそも、朝な夕なにトトロが何匹も跳梁跋扈する山村で育ったのだから、そんな人間にはもとより海なんてものは必要ないはずだ。

ではなぜ、この窒息しそうな気分が訪れるのだろうか。

と思ってよく考えてみると、たしかに山村育ちの少年ケニヤではあったが、高校の時分は琵琶湖のほとりに生息していたこともある。また大学以降は10年以上大阪に住み、その間神戸で勤めていたこともあるが、その頃はいつもすぐ近くに海を感じ、また事ある毎に海を見て暮らしてきた。その経験が大きいのだろう。

実際、この京阪神というところは、日本列島を人間の体に喩えると、ウエスト部分のようにぐっと締まっているので、実は2府4県のどこにいても比較的簡単に海にアプローチできるのである。少なくとも都並の認知地図ではそうだ。そういった開放感とともに育ったせいで、この北関東の内陸感が息苦しいのだろう。

…こんな話を延々していたら、いつまで経ってもホビット庄を出ない『指輪物語』みたいになってしまうので、さっさと海へ急ぐ。

海を見に行くのはいいのだが、連休の中日とあって、朝早くからJRに飛び乗ったにもかかわらず、車内はグリーン車まで満席だった。そのせいで新宿あたりまで立って行くはめになった。日ごろから90分単位の立ち仕事をしているので立つことは苦にならないのだが、これから行く先の混雑を予想すると恐ろしくなった。

Vfsh0301_2 鎌倉駅に着いたのは11時前。奥さんとの事前の打ち合わせどおり、一目散に(という表現は合っているのだろうか)ランチのお店へ駆けていく。目指したのは「JARDIN SHOKUDO」。事前の調査で入手したOZマガジンの鎌倉大特集号に掲載されていた写真が、京都のバスティーユをほうふつとさせる感じだったのと、ランチタイムが11時から営業しているという理由でここに決めた。

(…こう書きながら、自分の行動パターンがどこまでもメディア中心のウォーク・ラリー[ 雑誌に書いてあるお店に入ったらポイント・ゲット、という意味での ]的なものであることにふと嫌気が差しかけたが、その嫌気を無根拠に振り切って先に進む)

短い足で必死に早歩きしながら店に着くと、はたせるかな、ちょうど二人分の席が空いていた。そこに飛び込んで、「連休の行楽地にのんきに出かけていって混雑のせいでランチを逃す」という最大の危機は逃れることができた。

その安堵感を存分に味わいつつ、グリーン・サラダと、牛肉の赤ワイン煮(都並のメイン。写真)と、サーモンのムニエル(奥さん)で優雅な昼食を採って、「おいしかったね」とお店を出たら、店の外には15人くらいの待ちができていた。先日のガレット屋さんといい、お店に入るタイミングに恵まれている。

Fl000009 おなかが膨れた後は、鎌倉農協連即売所にあるショップ(写真)を覗いた後、由比ガ浜通りを通って海のほうへ。途中、「JARDIN SHOKUDO」のすぐ近くの雑貨屋さん「STILL LIFE」を少し覗き、そこから古道具屋さんの「そうすけ」さんも覗いていく。

何を買うわけでもなくても、こういう、北関東ではなかなかお目にかかれないセンスのお店に入ること自体が楽しい。

Fl000011 由比ガ浜通りではいい感じの古い銀行の建物があったので写真に撮ってみた。この日は最近気に入っているHOLGA135ではなく、使い慣れたLOMO LC-A+を持っていった。

すごい人出なので、人が切れる瞬間を待つのが大変だった。入り口のおじさんはいつまでもどいてくれなかったので、この際フレームに収めてみたら、なんだかいい感じだ。

そんなこんなで浜辺にたどり着いたのだが、着いたら着いたでまた買い物してしまう。「腸詰屋」という直球のネーミングのお店があったので、思わずそこでソーセージを購入。

この「腸詰屋」、「朝食に鎌倉のソーセージなんて、なんかおしゃれではないか」といういかにもミーハーな思いつきで参加したのだが、後で調べたら群馬県のお店だった。よく考えれば北関東は一大豚肉生産・消費地域ではないか。恐るべし内陸部。

Vfsh0307_2 それはそれとして、このソーセージはなかなかおいしい。ふつうのハムとは気分が変わって、毎朝このソーセージを楽しんでいるところである。これを、同じく鎌倉の「Bergfeld」で買ったプンパニッケル(パンパーニッケル)にはさんで食べる。黒パン大好きな都並としては至福のひとときである。

ここで買い物は一段落して、ようやく浜辺の見物に向かう。

実は、どこまでも形から入る都並は、今回の小旅行のためにiPodにビーチボーイズのベスト盤を入れてきた。ちょうど先日、『村上ソングズ』を読み終わったばっかりで、その中に名曲「神のみぞ知る(God Only Knows)」が収録されていたので、海を見ながら聴いてみたいと思ったのだ。

どミーハーな発想ではあるが、これがサザン・オールスターズでなくビーチボーイズであるところに多少の矜持がある。

Fl000014ということでカバンからそそくさとiPodを取り出し、この計画をさっそく実行に移したのだが、これがやっぱり、当たり前といえば当たり前だが(だって「浜辺の少年たち」だもんな)、効果はてきめんである。目の前の景色と音楽とが、事前に頭の中で想像していたのをはるかに超えて、圧倒的な叙情性でもって訴えかけてくる。視覚と聴覚のふたつのチャンネルがめいっぱい「海!」と叫んでいるのである。

(後編に続くか?)

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カフカくんのデッキシューズ

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いやはや、ここのところの異常気象で、わが町は早くも最高気温が30度を超えてきている。こうなるとリアルに半袖を着るべきなのだけれど、といっても朝夕は多少も冷え込むし、で困っている。

いずれにせよ日中がこうも暑いと、ついつい「5月で30度だったら8月はどうなるのか」と言いたくもなるのだが、その答えは自明である。8月は40度になるのだ。だから、「まだ10度も涼しい」のだ。しゃくではあるがそう考えると変に納得してしまう。今20度で夏が30度、というのと同じである。

ともかくそんなわけで、迫り来る暑さをひしひしと感じながら、連休前半の中日の日曜日、住み慣れた巣穴をもぞもぞと抜け出し、奥さんと連れ立って東京まで買い物に出かけた。

今回の旅の目的は、ヴァンズのスリッポンを買うことである。

なぜだか判らないがしばらく前から、都並の脳裏をスリッポンのイメージが支配していて、「今年の夏はこれだな」と思っていた。

というわけで、東京でヴァンズのスニーカーを買うのにもっともふさわしいところはどこか、と30過ぎのおじさんなりに考えた結果、それが正しい答えかどうかはわからないが、「原宿」という答えが出た。

そこで奥さんを伴って、30過ぎにして初の本格的な原宿行に向かったのである。

といっても、「ヴァンズのスニーカーが買いたい」というだけでは気の毒なので、ついでに甘いものもツアーに盛り込むことにした。

Vfsh0287ということでまず向かったのは、原宿と渋谷の中間にあるガレット(クレープ)の有名店「オ・タン・ジャディス」。場所柄並ぶかもと思ったけれど席が空いていてすんなり座れる。

ここでランチを兼ねて、ラタトゥイユを包んだガレット・プロヴァンサルと、塩バターキャラメルのクレープ(写真。テーブルクロスが我が家と同じ柄ではあるが、店内のものである)を食べる。

これが、ガレット・プロヴァンサルのほうは具が具なので、ピザっぽい味というか、想定範囲内の味だったけれど、塩バターキャラメルのほうは「またこれだけ食べに来たいね」というくらいの、味のバランスの取れた一品だった(総じてお値段は少し高めだったけれど<特にドリンク)。

これらを食べながら、新婚旅行で行ったプロヴァン(プロヴァンスにあらず)で我々の空腹の危機を救ってくれたガレットの思い出話に花が咲く。プロヴァンでお昼時をはずしてしまい、大半の店が閉まっていたところ、広場に面したガレット屋さんだけが開いていて、おかげで我々はボリュームたっぷりのガレットを食べることができたのだった。

すっかりおなかがふくれて店を出るときには、あにはからんや、お店の入り口には長蛇の列ができていた。そろそろランチというよりおやつの時間にさしかかっていたからだろうか。時間をはずしてよかったね、と奥さんとほくそ笑む。

その後、恥ずかしながら人生初のキャットストリートへ。もちろん、恥ずかしながらなのは「30過ぎてキャットストリートに行ったことないなんて」という意味ではなく、「別に行かなくてもいいのに30過ぎていまさら出かけるなんて」という恥ずかしさである。

が、基本が大人気ない都並はキッズの服に対する関心がいまだに衰えていないらしく、「大きいお友達」として、下手すると自分より10歳以上も若い人たちに混じって買い物をしたわけだが、「へー、ここにこういう服があるんだね」などといいながら基本的に楽しんだ。

Vfsh0288お目当ての品であるが、ヴァンズに出会う前に、旅の早い時点で入った店で「トップサイダー」を見つけてしまった。グレーのシアサッカー地が夏らしく、しかもシューレースレスで履けるというすぐれものだ。

結局、そのほかの店も見て回ったのだけれど(SMAPの木村拓哉さんが一時期探していた、都並も高校生の時はいていたトレトンのお店があったので、そこも「ケネディ大統領がテニスのときここのキャンバス・ナイライトを履いていたんだよね」などといういやな薀蓄を垂れつつ覗いたのだけれど)結局これを超えるお気に入りに出会えず、ヴァンズのスリッポンからそんなにコンセプトは離れていないだろう、ということでこれを購入。

ちなみに値段は13000円くらい。後で調べたのだが本国では50ドルくらいの品物なので、ずいぶんいろんなものがのっているなあ、という値段なわけだが、スニーカーの相場としてはこんなものだろう。

値段よりも何よりも購入の決め手となったのは、この靴が、少なくとも都並にとって、びっくりするくらい履きやすい、という点であった。足にぴったりフィットして、歩いてもちゃんとついてくるし、ソールもやわらかくてクッション性もある。

50ドルなら安いから、今後ネット通販で色違い・型違いを買い続けようかな、と思うくらいである。

ところで、「トップサイダー」といえば、村上春樹の作品によく出てくるなあ、と思って帰宅後調べてみたら、『海辺のカフカ』で田村カフカくん(15)が履いていたのがトップサイダーのデッキシューズだった。ハルキストとしては、カフカくんと同じかと思うとなんとなく嬉しい。

Vfsh0291 さらにこの日は、これにあわせて穿くワークパンツを購入。奥さんが先日「アンシェヌマン・ユニ」で買った「エルマフロディット」のワークパンツが羨ましかったので、自分用にも尾錠のついたバストンチーニ地(?コードレーン?)のパンツ(写真右。左が奥さんのワークパンツ)を買うことにしたのである。

この手の夏の装いを買い込んで、あとはTシャツ・ポロシャツを買い足して、今年の夏の買い物は終わりだな、という気持ちに今はなっている。

その後我々は原宿界隈を離れ、青山へ。ここでは奥さんが気になっていた雑貨店「オルネ・ド・フォイユ」、「エルマフロディット」、「ジャーナル・スタンダード」などを覗く。これらの店で奥さんも自分用に靴やら布きれやらを購入して、程よく疲れたので状況終了。

その後は丸の内の「きじ」でいつものごとくお好み焼きに舌鼓を打ったのだった。思えば、東西の粉もんばっかりたべた一日だった。

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田舎っぺ、田舎っぺを食う

Vfsh0265 先週、とあるTV番組で、うちの隣町(昨年の夏観測史上最高気温を記録したえげつない町)の特集をやっていて、それを奥さんとメモを撮りながら見ていたら、その中で「元祖田舎っぺうどん」というお店を紹介していた。

何でも、「武蔵野うどん」と呼ばれる独特のスタイルのうどんで、冷たい麺にあったかい汁(たいてい、きのこやねぎ、お肉<といってもこっちは豚肉、などの具が入っている甘辛い汁)で食べるのが基本だという。

それを見ていた我々夫婦はとっても食べてみたくなり(俗な表現で言うところの「口がうどんの口になり」)、翌日ドライブがてらお昼を食べに行ってみた。

とはいっても、肝心のお店はその日(日曜日)定休日だったので、隣町のさらに隣町の支店に足を運んでみた。

これが、結果から言うととてもおいしかった。

もとより「ねぎ星人」を自負し、「三度の飯より寿司が好き」という言葉と「人類は麺類」という言葉をモットーとしている都並は、寿司とうどんには目がなくて、友人と連れ立って讃岐うどんを食べに香川まで出かけたくらいである(そのときはまだ『恐るべしさぬきうどん』が上梓されたばかりで、村上春樹が「なかむら」について書いてはいたけれど、現在のようなブームの到来前だった)。

だから、ちょっとやそっとじゃ、そんなに簡単に「うまい」といいたくはないのだけれど、ここのはおいしかった。

もちろん、讃岐うどんの生醤油のように、あっさり出汁醤油(それも炒り子出汁)とすだちでさっぱりいただく、というのとはまったく違い、甘辛いしっかりした味付けの汁だけれど、これがぜんぜんくどくなく、どんどん食べられる。

ただ、どんどん、といっても、気をつけなければいけないのは、ここのお店は基本の盛りが450gだかあるということだ。これはふつうのうどんの量をかなりオーバーしている。だから、女性や子供なんかだと、普通盛りでも大変な場合がある。

今回、奥さんはこの普通盛りを食べたのだけれど食べきれず、都並に残りが回ってきた。そのとき都並は600gの大盛り(写真。つけ汁はちなみに「肉ねぎ」。基本は「きのこ」だという)を完食し、「オレの胃袋は宇宙だ。My stomach is a little universe.」などとえらそうに宣言していたところだったが、その実けっこうおなかがいっぱいだった。だからその残りも平らげたときにはおなかがはちきれそうだった。

しかも、これは都並には嬉しいことではあるのだけれども、この麺が非常にコシが強くて、それも、本場讃岐のうどんを「グミ」くらいのコシだとしたら、「ゴムパッキン」くらいのコシがあるのである。そのこと自体は歓迎したいのだが、困ったことにはそのせいか、非常におなかの持ちがよくて、食べ終わった後いつまで経ってもおなかが減らなかった(そのせいで、この日の夕食は9時ごろになってしまった)。

というようなうどんなのに、「目に言う」(お好み焼き屋「きじ」とおなじセンスだ)には通常の2倍の900g、3倍の…と量が増えていって、最高3kgまで設定がある。これを頼む人はどんな人なのだろうか、とびっくりした。

とはいうものの、周りの客を見渡してみると、けっこうふつうに900gまでは頼んでいる人がいるので二度びっくりした。北関東人恐るべし。

なんにしても、この「田舎っぺうどん」、自分に呼びかけられているようで気にはなるけれども、食べ終わった後の幸福感というか満足感が非常に高いのは間違いない。決して「ご馳走」と呼ぶべきものではないが、食後、家へと車を走らせている間、我々夫婦の脳内を幸福物質が満たしていたのもまた確かなのである。

だから、つまり、端的に言うと、「これはこれであり。うまいもの見つけたり。また食べに行こう」ということなのであった。

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飛び込みたくはないけれど(プロジェクトTNT)

Vfsh0192繰り返しになるが今月は週末毎に旅の空である。

第一週が京都、第二週が名古屋、そしてこの週末は法事で浜松に帰省してきた。ちなみに来週は滋賀・長浜である。

浜松という町には(郷里というものは誰にとってもそうだろうけれど)もはや何の新鮮味も感じないけれど、今回初めて泊まったホテルは面白かった。

この写真のとおり、エレヴェーター・ホールがスタンリー・キューブリックばりの真っ赤な照明なのである。軽く狂気の世界に誘われている気がする。あるいはラブホテルだろうか。

しかし部屋そのものは新しく快適で、朝食もパンとゆで卵とバナナと最低限のものではあったが何の不満もなく、駅からも程近く(窓からJRの線路が一望できる)何より料金が安かったので今後の定宿にしたいと思った。

というわけで、ホテルの名前は伏せる。人気が出すぎて部屋が取れなくなったらいやだからである。とはいっても、浜松のビジネスホテルに宿泊客がわんさと押しかける状況って、お祭りのときを除けば、あんまり考えられないけど。

ところで泊まった日はたまたま、寝台特急「銀河」の最後の便が出る日だった。テレビをつけると富川悠太くんが東京駅からレポートをしている真っ最中だった。部屋からは東海道線の線路が見下ろせたので、そのまま4時間ほど眠気をこらえて起きていれば、目の前の線路を通過していく最後の雄姿が拝めたはずだが、鉄道に何の思い入れもないのですかっと就寝した。

Vfsh0193_2浜松では久しぶりにうなぎを食べた。実家があるので幼い頃から数え切れないほど食べてきたうなぎだが、今回は奥さんもいることだし、ちょっと本格的なところで食べてみよう、ということになったのである。

そこで、案外地元のことは知らないもので、インターネットで調べた上で、観光客に人気の「八百徳」さんで「お櫃鰻茶漬け」(いわゆるひつまぶし)をいただくことに。

これは、ちょっと価格的には浜松の平均価格より高いところがあるんじゃないかと思うけれど(だからビルが建つんじゃないかと思うけれど)、しかしながらその割高感を打ち消すに十分なだけおいしかった。うなぎがふわふわで、しつこさや生臭さといったものは微塵もなく、こぶ茶でお茶漬けにすると何杯でもいける感じだった。

あんまりおいしかったので奥さんは、自分のおなかの容量を超えて食べてしまったようで、食後しきりに「苦しい」と唸っていたけれど、それも納得の代物だった。

アンジャッシュの渡部さんみたいに「巨大なこの蒲焼きを作って、そこに思いきり助走をつけて、飛び込みたい!」とは思わないけれど。

浜松から帰ってきた後は東京駅でいつものように買い物&お茶。奥さんと僕の嗜好および行動パターンだと、大丸と丸の内でけっこう事足りてしまう。

Vfsh0194_2 今回は大丸の中にある「ブルディガラ・カフェ」に初めて入ってみた。大阪にいたときは、ここのハービスPLAZA店のサンドイッチ(へんじんもっこのハムとブリー・ド・モーとアボカドのサンドイッチ)とクロック・ムッシュにお世話になったものだ。

今回は、にわかにいちごのショートケーキに目覚めてしまったので、「ジャージー牛乳のガトーフレーズ」を試してみた。「ショートケーキ」ではなく「ガトーフレーズ」であるところに軽い抵抗を覚えなくもなかったけれど。

肝心の味のほうは、僕自身の好みから言うと甘さが控えめ過ぎたような気がする。本来都並は生クリームは得意ではないので(じゃあなんでショートケーキにはまっているんだ)、濃厚というよりはすっきりした味わいなのは嬉しいのだけれど、それにしてももう少し味に力があってもよかったのではないか。好みの問題だけど。

Vfsh0195_2奥さんが食べたのはパリブレスト。チョコレート味のシューにクリームが挟まっていて、真ん中のピンクはフランボワーズ。これは酸味と甘みのバランスがいい感じ。

しかしそれにしても、店内はおばさまだらけであった。またこのおばさまたちの香水の匂いが濃厚で…あんまり人の悪口は言いたくないけれど、食事をするところにきつい香水の匂いで入ってくるのって、一種のマナー違反だと思うよ。

お茶をし終わった後は、丸の内でお買い物。奥さんのデニム・パンツをアンシェヌマン・ユニで購入。同店がhermafrodite(エルマフロディット)という名前で展開しているところのものだそう。ライトオンスで、かなりハイライズだけれど、脚のラインもすっきり見えたし、マリンパンツふうのフロントデザインと、尾錠部分のリボンがかわいかったので、これは都並の方が気に入って押した。

奥さんの試着中に店員のお姉さんに聞くと、ここは青山にメンズの展開もあるそうなので一度見に行こうと思う。一部、新丸ビル店にもメンズの商品は置いてあって、ガーゼ素材のシャツなんかは確かにアンティークな感じでかわいかった。

ところで、アンシェヌマン・ユニといえば、什器というか、店内展示用の棚や家具がかなり本気のアンティークなので気になっていた。新丸ビル店にも立派な螺旋階段がある。また、そういう旨を過去にこの日記に書いたら、そういうキーワードで当ブログを訪れる人も定期的に存在するようで、他にも気になっている人はいるんだろう。

そう思って、「こういうのをどこで見つけてくるんですか」と店員のお姉さんに訊いたら「社長が好きで、パリから持ってきちゃうんですよ」との回答を得た。

だそうですよ。皆さん。おわかりいただけましたか。

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一に一保堂、二にふたば

Vfsh0179今日は我が町では季節はずれの暖かさ。怒涛の20度越えである。

こうなるともうダウンどころかコートも不釣合いなので、カーキのミリタリー・ブルゾンをクローゼットから出してきて着る。それでぜんぜん大丈夫。

この暖かさで花粉もぶんぶん飛んでいる。僕自身は花粉症ではないけれど、奥さんがそうなので気の毒だ。

いや、花粉症ではない、といったけれど、厳密には極々軽度の花粉症なのかもしれない。その可能性を示唆するものとして、先ほどから鼻の穴の入り口(出口?)付近が少しむずむずする。

いや、そうではあるまい。花粉症でないとしても、花粉症でない人間も鼻がむずむずするくらい花粉が飛んでいるということだ。うん、そうに違いない。

などといった非科学的な思考はおいておいて、今日は「一保堂」さんのお茶について。「一保堂」さんはいうまでもなく京都でも超有名な日本茶専門の老舗である。

しかし僕は、もともと「煎茶を急須に入れて飲む」という文化に縁がなかったので、今までここのお茶を買ったことはなかった。

それが先週、京都に帰省したときにたまたま近くを通ったので(寺町二条というのは僕らの世代には何かのついでには通りにくい場所です)、ここの本店限定の玉露とお抹茶を買ってみた。一保堂さんは全国のデパートに出店していて、近くでは埼玉・大宮のそごうにあるので、本店限定品でないとありがたみがないかなと思ったのである。

でもって、これを飲むにあたって、「お茶菓子は何がいいかねえ、この前買っておいしかった谷中せんべいなんて最高かもねえ。京のお茶と東のせんべいなんて粋じゃない?」などと話していたのだけれど、残念ながら谷中せんべいを買いに行くチャンスはなかった。

そしたらこの週末、僕が名古屋に行っている間に御学友の結婚式で奈良に行っていた奥さんが、帰りがけに京都で「出町ふたばの豆餅」を買ってきてくれた。ここの豆餅は、ほどよくボリュームがあって、でも甘さ控えめで、塩味もいいあんばいで、本当においしいのである。

この豆餅をお茶菓子に、さっそくお茶タイムを開始する。午後の遅い時間、それも夕食後だったことは内緒である。

奥さんが冷ましたお湯で慎重に入れてくれたお茶を飲んだら、これがまたおいしかったのでびっくりした。いやはや、有名なだけはありますね。おみそれしました。

なんというか、お茶の苦味はあるんだけれどすっきりして後を引かず、口に入れた時には液体の中に甘みの芯みたいなものがしっかりと感じられ、飲み終わった後はお茶のすがすがしい香りが口の中にはっきりと残るという、そういうお茶でした。

このお茶とまた豆餅の合うことよ。時ならぬおやつタイムを夫婦そろって満喫しました。

よし、次は「神馬堂の焼餅」を買ってこよう。

追記:「モリカゲシャツを買いに」「赤メック会議」「アントキの猪木がアントニオ猪木に会うようなもの」「名古屋ひとりぼっち」にHOLGA135の写真を追加しました。

Vfsh0189_2 3月19日追記:12日の結婚記念日に、奥さんが上記の抹茶でパウンドケーキを焼いてくれました。色、香りともに申し分のないケーキが出来上がり、さすがは一保堂さんというべきか、あるいはさすがは奥さんというべきか、とにかく感謝感謝していただきました。

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名古屋ひとりぼっち

空けて名古屋二日目。慣れない深酒で頭が痛い。ふと気がつくと、以前大学の保健室でもらったバファリンがペンケースに入っている。それをとりあえず飲む。

深酒をしてしまったのは、昨夜コースの料理をろくに食べずに飲んだからだと思い当たり(DB先生の前で舞い上がり、食欲がどこかへ飛んでいってしまったのだろうか)、とりあえずがっつり炭水化物を採りに行く。

そこで吉野家へ。最悪の選択肢ではある。しかし体が如実に炭水化物(糖分)を求めているのが分かったのでこれは仕方ないことである。

と言い聞かせ、豚丼を完食。その後栄近辺をぶらぶらし、最近お気に入りのカメラHOLGA135で名古屋の風景を撮る。

Fl000009_2 名古屋は別に初めてではないし、学会等々で述べ10日くらいは来ているのだが、久しぶりに来てみると、なかなか面白い街である。特に、ラシック(名古屋でいちばんおしゃれなことになっている集合店舗ビル)とかオアシス21のような最先端の建物よりも、中日ビルとか、その前のバスロータリーにある丸い大時計とか、70sの生き残りみたいな雰囲気がそこここに残っているのがよい。

午前中の光もよかったのでここでパシャパシャ撮る。ちゃんと撮れているといいが(3月10日付記:なんとか撮れていました)。

Fl000015 オアシス21にもいちおう上がって、写真を撮る。面白いことに、屋上の池(?)の水面を見ているうちに、猛烈に喉が渇いてきた。恐水病とは逆の症状である。これも二日酔いの顕著な表れだろう。吉野家でもお茶をたくさん飲んだのだが、まだ足りないらしい。

仕方ないので下のスタバで朝一のアイスコーヒーをゲット。こういうとき、ごくごくコーヒーを飲めるスタバっていいな、と思う。

080309_1234 オアシス21ではトミカ・ショップで足が止まる。先日始めたばかりの趣味「企業ロゴ入りの(ノベルティ)ミニカーを集める」を思い出したからである。

中に入るとすごい品揃えである。くるっと見て回るうち、「トミカくじ」でコカコーラのペイント・カーが当たる、というのを発見。全11種である。この中のミゼットがかわいかったので(この方のブログに画像があります)、あたるといいな、と思ってやってみる。一台525円。

結果は上の画像である。ふつうのトラックだったが、先に購入したFedExのトラック(後)と好相性だと思ったのでそれ以上追いかけるのを止める。

だいたい、こういうもんは深追いしちゃいけません。「ミニカー集め」は楽にやれる趣味として続けたいので、ここで終了です。でも誰かミゼット持ってたら連絡ください。

遊んでいるうちにいい時間になったのでオアシス21内のパン屋さんでサンドウィッチを買って、慌てて名大へ移動。図書館でうちのこじんまりとした図書館が持っていない文献を複写させてもらい、ついでに本を読んでくる予定である。

名大の図書館もまた、70sの香りと古い本の匂いが立ちこめる、いい感じの建物である。母校の図書館を思い出しながら渉猟する。学習用のブースも充実していて、ここも70s風で感じがいい。窓のそばに陣取って、文献を読んでくる。

Fl000018 2時ごろ、遅い昼食を採りに中庭へ。先ほどのサンドウィッチを食べる。春のぽかぽか陽気がびっくりするくらい気持ちいい。

ベンチに腰掛けてサンドウィッチを頬張っていたら、どこからともなく、かわいいピンクの服を着たシーズー犬が。「だんな、そのおいしそうなものおいらにもわけてくだせえ」という風情で寄ってくる。

そのつぶらな瞳がかわいいので写真を撮ろうかと思っていたら、後から飼い主のおばさんがやってきて、「すいません、大丈夫ですか?」と気遣ってくださる。「あ、大丈夫ですよ」なんて言っているうちにお犬様はむこうに行ってしまわれた。

おそらく近所のおばさんなんだろう。そりゃあ、そうだ。こんだけ広かったら散歩にうってつけだもんな。もうだだっ広いを通り越して「だだだだだっ広い」って言ってもいいくらいだもんな。

同じ中庭では、男子学生がこのだだだだだっ広さを利用して缶蹴りに興じていた。息を切らして、はあはあ言いながら、でも皆が笑っている。幼いなとは思うものの、心和む光景でもある。

また別の場所には女子学生2人が座っている。彼女らはまるで秘密の物々交換でもしているような静けさで何かを話しているが、その声はこちらには聞こえない。

また自動車の通る道路を隔てた向こう側からは、応援団の団員たちの「ばんざーい」が間欠的に響いてくる。今日は合格発表の日だったのだろう。

全体として、いつまでもここにいたい、というような日溜まりであった。春の好き日、というのはこういうことを言うのであろう。これも間違いなく「小確幸(小さいけれど確かな幸せ)」のひとつである。

そうはいってもいつまでものんびりはしていられないので、もう少し図書館に籠って仕事する。

夕方、名大を出て栄に戻ってくる。新幹線に乗る前に、早めの夕食を採りたかったのと、やっぱり結婚記念日に奥さんに何か買ってあげたかったからである。そういってこの前もエイミー・ワインハウスのCDを買ったんだけど。

ラシックをぶらぶらした結果、「おばけのラーバン」のミニバッグがあったのでそれを買ってみる。果たして結婚記念日のお祝いがそんなものでいいのかは分からない。おまけに「おばけのラーバン」なのに肝心のラーバンが絵柄に入っていない。でも、結婚記念日のちょうど一ヵ月後が奥さんの誕生日なので、本格的なものを買う予算もない。ということでこれに決定。

早めの夕食は、昨日家を出てくる前までは「よし、味噌煮込みうどん」(好物なのである)と思っていたのだが、名古屋に着いてみるとあまりの暖かさにちょっと季節外れな気がした。

Vfsh0173 そこでラシック内の「矢場とん」に方針変更。恥ずかしながら、いや別に何にも恥ずかしくないが、味噌カツなるものを食したことがなかったので、ここで食べてみようと思ったのである。栄養バランス的にも野菜がとれていいかもしれないし。

で、基本のロースかつを頼んでみたのだが、なかなかおつなものであった。確かに、お店の注意書きにあるとおり、味噌は関西人の感覚では甘すぎるので、和辛子をつけて食べたのだが、そうするとすっきりと食べられた。その他すりごま、一味、トッピングのねぎ(これは別に注文)をつけて味の変化も楽しめる。そもそも、豚肉がおいしい。

でも、別に味噌じゃなくてもいいような気がするよ。これは慣れというか馴染みの問題なんだろうな。

Vfsh0176 食後、地下のスタバで豆を購入。ここの店には「ブラックエプロン エクスクルーシヴ」が置いてあったので記念にそれを買う。通りすがりの男子が「2000円だって。誰がこれを買うんだよな。セレブ用か」などと言っていたので「じゃあ、買ってやろうじゃん」と思ってしまったのもある。

でもそれよりも、この「コロンビア ナリニョ エル タンボ」という豆がデザイン的にかっこよかったのである。黒とライトグリーンの組み合わせが、ナイキのスニーカーみたいで。

買い物終了後、名駅へ。名駅では不思議な現象が2回見られた。

ひとつは赤福である。売店の前に何十人というお客さんが並んで赤福を待っている。その前では売店のおばさんたちが段ボールから赤福を出して山ほど積み上げている。

要は、また大ブレイクしているのである。こういうのを見ると個人的にはなんだかな、と思う。もう少し会社に反省してもらうために、買い控えしたほうがいいのではないか。

もうひとつは、新幹線の有人チケット売り場で僕の前に並んでいたお兄さんが、黒人で、ビギー・スモールばりの巨漢で、真っ白に黒いピンストライプのスーツ、ボルサリーノふうの帽子、真っ白な毛皮のコートを着ていたことである。

要は、どっから見ても本家のギャングスタなのである。しかもこのビギー・スモール、目の前で流暢な日本語で「広島まで」と言っていた。

一体何者だったのだろうか。本家ギャングスタと広島のその筋の方たちとの何か楽しいイベントがあったのだろうか。

そんなことを言いながら新幹線に乗ったのが18時半。なのに家に着いたのは10時過ぎだった。とほほ。

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赤メック会議(プロジェクトTNT)

京都観光の二日目。遅く起きてゆっくりとホテルを出、11時頃にお気に入りのベーカリー&カフェ「ル・プチメック」へ。

ここは最近、衣棚通御池上ルに2号店を出店したのだが、その新店は黒ずくめのスタイリッシュな外観/内装から「黒メック」と呼ばれている。それに対して我々が通うのは「赤メック」。もちろん、ファサード(通りに面した外装)が赤いからである。

この「赤メック」にて、自宅で消費するパンを買い込む。奥さんがここのパン(競争率が高くなるといけないので敢えて品名を伏せる)を気に入っているので、10個近く買う。それでも「今回は少なめ」。

その後、サンドウィッチとカフェオレでブランチ。ここのカフェオレは本当においしい。何度も書くけれど、滋養がたっぷりと全身に沁みわたるような味である。サンドウィッチは、あいにく僕のお気に入りの鶏肉のプロヴァンス風がなかったので、何肉だか忘れたがパテのサンドウィッチと、ローストポークのサンドウィッチを食べる。シンプルだがバランスのいい、ちゃんとした味。

奥さんは基本中の基本、カスクルート。ハムとチーズだけのシンプルなサンドウィッチだがこれがいちばんおいしいかもしれない。僕も一口もらって「うん、これ正解」と思わずうなずいた。

ただ、確かにおいしかったのだけれど、最近の「赤メック」に関しては、行く度に不満が募ってくるような気がする。食べながら、そのことを奥さんと確認する。

というのは、僕らはもうここを贔屓にして長いのだけれど、悲しいかな最近、人気が出てきたせいか、客層も変わってきたし品揃えにも不満が出てきたのである。

客層について言えば、以前は近所のマダムや外国人が中心だった客層が、明らかに一見さんの観光客が中心になってきたし、その中にはオーダーのシステムすら知らない人もいる。現に僕らが滞在している間にそういう客が二組も来た。

もちろん、そのおかげで繁盛はしているのだが、繁盛するというのは、いいことばかりではない。というのは、あまりに客が入りすぎて製造が追いつかないのか、結果的に品揃えがぐんと減ってしまったのである(黒メックに人材と品数がいっている、ということもあるのかもしれない)。たとえば、好きだったプリンの類はすっかりなくなってしまったし、イートインの席のすぐそばのテーブルを埋め尽くしていた焼き菓子も忽然と姿を消した。

こうなってくると、贔屓の店とは言え、複雑な思いである。ここのところ、「さらさ富小路店」「オー・プティ・ピエ」と贔屓の店の消滅が続いただけに、「赤メック」には踏ん張ってほしいとは思うが…。

などと複雑な胸中のまま、烏丸御池へ移動。奥さんのお気に入りの手芸店「BOBBIN ROBBIN」へ。僕は手芸にさほど関心があるわけではないので、決して広くはない店内、すぐに見終わってしまうのだが、奥さんは仔細に個々の品物を検討している。どうやらこういう時間が楽しいのだろう。北関東にいてはなかなかできないことなので、そっとしておいてあげる。

Fl000014_2 結局この店ではレース地の布などを購入。その後、すぐそばの文椿ビルヂングへ。ここの二階に入っているインテリア・ショップ「クレエ」などを見て回る。奥さんはここでも春の七草柄(?)の布を購入。近々何か製作するようだ。クッションカバーにでもするのだろうか。

僕はここでパイプロイドROOTOTE2ウェイバッグを購入。

このバッグ、ネットで調べて初めてブランド名を知ったのだが、「クレエ」さんで定期的に入荷している品らしい。はじめは買うつもりはなかったのだが、デザインのかわいさについ購入してしまう。ああ、カバンなんて今は特に需要はないのに…。

でもこのカバン、なかなかあなどれない品物である。HPを見るとメインのラインは女子向けのトートのようだが、「クレエ」さんでも扱っている「Be」のラインは男子にも使えるものになっている。中にはフランス軍とかドイツ軍のデッドストック毛布地などを使ってミリタリーふうに仕上げた品番なんかもあり、絶妙に男の子心をくすぐる。僕の買ったモデル、Liverpoolはミリタリー関係の生地ではないが、プリントからするとどこかの郵便局の集荷袋かもしれない。

よし、次の週末、名古屋に行くときにこれを肩から提げていこう。とテンションが上がる(3月9日付記:実際に行きました)。

そのテンションのまま、SACRAビル、カフェ・アンデパンダンなどを訪問。レトロビルのたたずまいがとてもフォトジェニックだったのでHOLGA135で激写して回る。が、LOMO LC-Aと違い、レンズカバーをはずさなくてもシャッターが下りるので、一昔前の間抜けなお父さんみたいな真っ黒写真を撮っていないかそれが心配。

Image19_2 カフェ・アンデパンダンだが、ここは本当に京都老舗カフェの雄である。思えば僕がLOMOに目覚めた最初の年に撮った写真の一枚がこのカフェのものである。2000~01年頃だろうか。僕はまだ20代の青年だったが、そのレトロ(というかほとんど廃墟)なたたずまいにいたく感銘を受けたのを覚えている。

そこから、フードの内容とか微妙な営業形態の変更はあるものの、全体の雰囲気を守りながら営業を続けている。あちこちレトロなカフェがなくなる昨今、ぜひとも生き残っていてほしい店である。

当日はあいにく貸切パーティ(たぶん、結婚式の二次会)が夕方から入っていたので長居はできなかったが、それでもここでしっかり休憩。心も身体もリフレッシュした。ウィルキンソンのジンジャーエールの辛さが心地よかった。

しかしのんびりしていたのもつかの間、その後我々夫婦は急いで帰途に。京都駅の伊勢丹でお漬物とお弁当と大学の学科へのお土産をあわただしく買い込み、17時ごろ、疲れ果てて新幹線に飛び乗る。今回も非常にせわしない旅であった。

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昨日の収穫

France4 昨日はバレンタイン・デーだったわけだが、今年は早くも先月の末から、つまりその商戦が始まった時点から、おいしいチョコレートに恵まれた。

要は、伊勢丹で開催された「サロン・ド・ショコラ」に奥さんが出張してくれて(新宿は日程が合わなかったので帰省ついでに京都に出かけてくれた)、そこでチョコレートを買ってきてくれたのである。

もらったのはアルノー・ラエールという人のボンボン・ショコラ。

このラエールさんという人、ピエール・エルメさんのもとで修行し、2000年にフランスパティシエ協会などの選出による最高パティエシエ職人に選ばれ、さらに2004年には世界最大のチョコレートの祭典『 サロンド・ショコラ』でガナッシュ部門の金賞を受賞した、とかいうすごい新進気鋭のパティシエのようである。

といってもこれらのことは今調べてようやく知ったわけで、食べてる時点ではぜんぜんそのすごさは分からない。そんなわけで「ふーん。繊細な味付けだねえ。エピスの使い方も控えめな感じ」などと分かったような口をききながらおいしくいただいた。

Vfsh0143 これをちびちびと食べているうちにバレンタイン・デー当日が来て、そしたら今度は先日愛娘が生まれたばかりの高校時代以来の悪友から、お嬢さんの内祝いとして、パレ・ド・オールのボンボン・ショコラ詰め合わせをいただいた。

これは奥さんのほうが喜んだ。奥さんはここのショコラ・ショーのファンなのである。しかしこういったしゃれた贈り物をするセンスはわが悪友にはないから、きっと奥方様のセンスなのだろう。感謝感謝である。

アルノー・ラエールさんのすごさはまだ正直よく分からないが、パレ・ド・オールなら都並も分かる。ウィスキーの山崎を使ったショコラなど、どれもぱきっと個性の出たボンボン・ショコラが並んでいて、総じてラエールさんのものよりも個々の特徴が際立っている感じである。

特に今年秀逸だったのが、フランス産の蜂蜜を使ったショコラ。栗の花の蜂蜜なんかに顕著な独特の香りとコクがカカオの味とあいまって、思わず手を打つおいしさである。

これを今度はちびちびと何日にも分けて食べていく所存である。

Vfsh0144 ちなみにこういう職業をしていると、学生からいっぱいもらえるかというと、それはひとえに個々人の人間的な、あるいは職業的な器の大きさに比例するのだな、ということが今年よく分かった。

唯一、ゼミの学生だけが、気を利かせて(「きっと都並先生は誰にももらえないわ、かわいそうだからあげましょう」ということだろう)タリーズ×ゴディヴァのタブレットをくださった。ドリンク無料券一枚つきで、その「よくわかってらっしゃる」ぶりに頭が下がるばかりである。

追記:そうそう、奥さんはサロン・ド・ショコラでベルナションのタブレットも購入されていた。しかしこれは奥方様用のようである。

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東京で見る雪はこれが二回目と(後編/レビュー:HOLGA135③)

Fl000014 (前編より続く)これはどこかのお寺の庭の柑橘系の木。見上げる構図で、ピントは最近(人の顔のアイコンのところ)で撮ってみた。左側のふたつの実が、目測ではもっともピントが合うはずだったのだが、現像してみるとそうでもない。しかしまあ、これはこういうものかもしれない。

Fl000016 その後は根津駅まで移動して、今回のお目当てのひとつ、「根津のたい焼き」をゲット。ここは大きな通り沿いなので店の構えなどはそんなに風情があるわけではないが、それでも看板類のいなたさはいい感じ。

売切れ次第終了と聞いていたので比較的あわてて行ったのだが、ついたのは13時ごろだったろうか、まだ個数に余裕はある感じだった。奥さんと相談して6個買う。その場で1個ずつたべて、後は冷凍しておいて休日のお茶請けにしよう、という魂胆である。

Fl000017 現物はこれ。写真としては、HOLGAくんの周辺減光(トンネル効果、ヴィグネッティング)がよく出ている。

肝心のもののほうは、これはちょっと個性的なたい焼きである。ふつうたい焼きというと、多少なりともふっくらとした皮があって、中心にあんこが塊で入っている、というものを想像してしまうが、そうではなくて、薄い皮にぎっしりとあんこが入っている。いわば、たい焼きのかたちのあんこに、一枚薄皮をかぶせて周囲を閉じている、といった風情なのである。

この皮が香ばしく、歯ざわりがくちくちとしていて、ちょっと最中のようでもある。皮が薄いのであちこちからあんこがはみ出して焦げているのだが、その苦味もアクセントになっている。いやはや、所詮たい焼きと思っていたら、こんな個性の出し方があったとは、恐れ入りました。

しかしこのたい焼き、あんこぎっしりなのでとても甘い。ダイエットには大敵である。

Fl010029 その後は根津神社へ(ここの写真はLC-A+です)。ここにも少し雪がとけ残っていた。ここは伏見稲荷のちいさい版、といった感じに(失礼)鳥居が立ち並んでいて、写真好きにはフォトジェニックな光景である。

Fl010030 LC-A+くんは、HOLGAくんとは違って、ちゃんと狙ってやればシャープな写真が撮れる。その例がこのお稲荷さんである。

撮り方としては、0.8mにつまみを合わせて、大体成人男性の手の長さが80cmくらいだと思うので、手を伸ばして届くくらいの距離のものを撮るのがこつである。こういう画は、残念ながらHOLGAくんには無理である。

Fl000021 根津神社を出るとすぐ近くに根津教会もある。無宗教もはなはだしいが、ここはなかなかキッチュな建物でかわいらしい。丸窓の感じがなんともいえない。

根津駅近辺を離れて、次は俗に言う「へび道」をくねくねと、谷中銀座に向かうことにした。ここはもともとは川だったということだが、さもありなん、道幅がすっごく狭くて、自動車虎の穴とでもいうべき路地になっている。ここで自動車を持っている人は大変だろうと思うのだが、皆さんふつうに乗ってらっしゃる。習熟とはすごいものである。

Fl000024 この「へび道」界隈は、若い人が始めたであろうカフェや雑貨屋さん、それから飲み屋さんなんかも多く並んでいて、ちょっとサブカル的な香りもするのだが、あえてこういう朽ちていく昭和を撮ってみた。

フィルムの特性もあるのだろうが(今回はコダック)やはりHOLGAくんは原色のものが向いている気がする。しかしこの画も、僕はもっと店全体をフレーミングしたつもりだったのである。それが微妙に切れている。困ったものだ。

Fl000023_2 もう一枚、「へび道」から。今は絶滅危惧種となった「貸本屋」さんである。よく見るとここも閉まっている。その張り紙の文がなかなかふるっていて、「私もいささか歳には克てぬことに気付き」とある。やはりこの町も一部では高齢化しているのだろう。古書店として再出発されるとのことだが、無事の新装開店を切に願う。

谷中方面に出た後は、千代紙の「いせ辰」さんへ。夫婦して千代紙や小箱など大人買い。「かまわぬ」の柄のお弁当チーフなども自分用に買う。季節柄、店のショーウィンドウにはおひなさまが飾ってあった。

Fl000025 これだってファインダーを覗いたら左のお内裏さまもちゃんとフレームインなさっていたのである。それがこれだもん。どこまでもHOLGAくんはゆるいカメラなのである。

Fl000027 今回の会心の「あてもん」がこのショット。岡倉天心記念公園(ご本人が見たら松葉の陰で嘆いていそうな小さな公園である)にあったブランコ。原色の褪せ具合、周辺減光、ちょっとピンぼけ、とトイカメラ写真の見本のような写真だと自分では思う。これを撮ったことで、なんとか先日のトラウマからは回復できそうである。

Fl010038 この後は谷中銀座に出て、ミンチカツを食べ食べ夕焼けだんだんを上がり、今回のもうひとつのお目当て、「朝倉彫塑館」へ。

都並は別に彫刻にくわしくはないし、それを愛でる心が人一倍あるわけでもないが、ここはほんとすごい空間である。朝倉文夫の彫刻は言うまでもなくすばらしいが、それと同じくらい建物がすごい。昭和初期の洋風建築の解釈なのか、大胆な直線と曲線でずばずばっと構成されていて、その量感たるや錚々たるものがある。

聞けば朝倉氏自身の設計だということだが、さすが彫刻家、その空間把握の妙は白井晟一の建築にもどこかしら通じるようなところがある。これはHPなどではなかなかわからないので、建築好きにはぜひお勧めしたい。

この建築を堪能した後は、「谷中せんべい」にて江戸風の(?)せんべいを購入、日暮里駅にて修悦体を見学して東京方面へ移動。

忙しかったが久々に充実したオフであった。

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東京で見る雪はこれが二回目と(前編/レビュー:HOLGA135②)

Fl000002 先日、二年ぶりに東京が積雪を観測した日、都並は渋谷にいた。

で、うれしくなってクリスマスに購入した新型トイカメラHOLGA135を持って、渋谷×雪の風景を激写した、という話を前に書いた。

…が、これがありえないくらい原始的な機構上の動作不具合によって、まったく撮れていなかったのだった。

詳しくは割愛するが(トラブルの原因はおそらく解決しました)、二年に一度というチャンスを逃したことで都並の子供のような純真な心はどうしようもなく落ち込んだ。シャッターを切っている時点では、「これは自然をも克服せんとするメガロポリス東京と、その傲慢さを糾弾する自然の力のせめぎ合いを鋭利な角度で切り取った、類まれな知性と感性を感じさせる画期的な写真になるに違いない」と思っていたのに、その機会を己の凡ミスでふいにしてしまったのだから、無理もない話である。

そんなわけで、連休の中日、奥さんを説得して再度東京の風景を撮影に行くことにした。おあつらえ向きに雪も降ったので、久々の陽気に溶けてしまわなければ、何とか前回のリベンジを果たせそうではあった。

向かった先は谷中・根津・千駄木(通称:谷根千[やねせん])。東京でも珍しい下町の残る地域として有名である。渋谷の写真のリベンジをここでするというのも変な話だが、以前から訪ねてみたいエリアでもあったのだ。

コースとしては、JR鶯谷駅から出発し、東京メトロ根津駅方面に移動、それから三角形を書くように折り返して谷中銀座を通り、JR日暮里駅に戻る、という散策コースである。

コース順に立ち寄ったポイントを書き記しておく。

Fl010026 まずは鶯谷の駅を出てすぐ、いきなり予定外に立ち寄ってしまったのが、「パティシエ イナムラ ショウゾウ」。先日購入した雑誌「TITLE」にもショートケーキが紹介されていたので、たぶん、東京の名店だろう。

ここはイートイン・スペースはないのだが、店の前にベンチが置いてあって、そこで食べることはできる。気温が高かったのでわれわれ夫婦もそうすることにした(飲み物が欲しい人用に、店内にはレモネードの無料サービスもある)。

Fl000005 ついでに、LC-A+とHOLGA135のフレーミングの違いを試してみる。上の画像がLC-A+で、下がHOLGAである。両者とも、ファインダーからの画がほぼ同じになるようにして撮ってみた。

結果、LC-A+の方が、ファインダーからの画と近い写真が撮れる。ほぼ、覗いた感じ、ということである。いっぽうHOLGAさんときたら、ファインダーと言ったって本体に四角い穴が開いているだけだから、レンズ位置とはずれまくっている。LC-A+ほど広角でもない。

これは早く慣れて、勘で修正するしかないな、と思う。

肝心のケーキであるが、右が奥さんの食べた「期間限定の」キャラメルマカロン。薄い茶色の部分がキャラメルムースで、下にショコラマカロンが入っている。ファースト・ノートにキャラメルの香ばしさが来て、後味がチョコレート、という秀逸な一品であった。

僕のほうのショートケーキは、ポーションとしては小さいので、男性にも軽く食べられる。苺・クリーム・スポンジのバランスもばっちり。クリームは乳臭くなく、清涼感のある味。

Fl000004 次に、雪が残っている景色を探してみた。が、残念ながら正午ごろ着いたときには雪はもうほとんど残っていなかった。日曜日は気温がぐっと上がったので、止むを得ないところだったのだろう。

その中でもかろうじて雪の残る民家の屋根を撮ってみた(以下の写真は断りのない限りHOLGA135である)。

まったく見ず知らずの人のお宅なわけだが、こんなところにも脱亜入欧的な折衷的スタイルの建物を見ることができる。

Fl000009 これは有名な純喫茶「カヤバコーヒー」の看板。入ってみたいと思っていたが、ドアの前には「当分の間休業いたします」との張り紙が。経営者の高齢化のせいだろうか。

Fl000013 その前を通り過ぎて、銭湯を改装したギャラリー「SCAI THE BATHHOUSE」へ。今は横尾忠則展がやっているようだが、休館日だったので表だけ撮って移動。

HOLGA135はこういう少し褪せた原色を撮るといい味が出る。ピントは目測なのでどのみち合わない。無限遠の時は比較的シャープなのだが。

その後、ケーキで弾みがついてしまったので「毒を食らわば」的なテンションで「岡埜栄泉」さん(上野の同名のお店との関係はわかりません)にも立ち寄り、豆大福をもテイスティング。こちらはずっしりとした漉し餡に塩分がほどよく効いていてぺろっと食べられる。あったかい番茶が欲しくなる味である。

(続きは後編で)

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わたしはデコポン

Vfsh0130 先日、大学の研究棟から出ようというとき、余所見をしていてドアに激突した。夏目漱石に関係するポスターが貼ってあって、それに見とれていたのだ。

その瞬間はもちろん痛かった。しかし、「目から火花が出る」というほどでもなかったので、「われながらどじだなあ」とは思いつつ、比較的平然として帰宅した。

帰宅した瞬間、奥さんが「どうしたのそのおでこ!」と叫んだ。

それを聞いてようやく「あ、叫ぶほど大変なことになっているのだな」と思い、「いやね、大学のドアにぶつかっちゃったんだよ」と言いながら洗面所に向かった。そこで鏡に自分のおでこを映してみると、たしかに赤く腫れ上がっている。ごていねいにもドアのかたちに沿った縦長の傷ができた。

それからそのこぶは次第にずきずきと痛み出した。特にお風呂のときや頭を下げたときに痛む。血流量が増えると痛むのだろう。

これがなかなか治らず、今日もまだ腫れている。困ったものである。それにしても、この年になってドアに激突するとは思わなかった。よほど運動神経が鈍っているのであろう。剣呑剣呑。

Vfsh0125 閑話休題。

先日、奥さんの親戚からそれはそれはおいしい苺を四箱も送ってもらってから、とつぜん都並の中の苺熱に火がついた。

それまで苺というものにはさほど思い入れはなく、せいぜいこの時期に友人宅にお邪魔するときのお土産に持っていくくらいだったのだが、なぜか苺のおいしさに目覚めてしまったのである。

それ以来、奥さんが夕飯の買い物に行くのについていっては「苺買ってよう、ねえ、苺」と子供のようにねだり、夕食後のひそかな楽しみにしてきた。結果、このシーズンはこれまでの人生で最高の個数を間違いなく食べている状態である。

その苺熱が、「TITLE」なる雑誌のスイーツ特集を見て以来、なぜかショートケーキ熱に変貌した。

これは、生クリームをどちらかというと苦手としてきた都並にはおどろくべき変化である。もうすぐ口から卵でも生まれるのだろうか。

Vfsh0128 ともかくそんなわけで、苺のショートケーキが食べたくてしかたないので、奥さんに作ってもらった。ちょうど都並自身も休日だったので、奥さんの製作過程を横でつぶさに見ながら「へええ、スポンジって比較的簡単なんだねえ」などと言っていたら、すっかり台所のお母さんの周りをうろちょろする子供扱いされてしまった。

しかしできあがったケーキはなかなかのものである。我が家のパティシエールいわく「クリームが硬かったわね…」と反省仕切りだったが、個人的には文句なくうまい。

これをこのところ朝ごはんがわりに毎日食べている。

しかもお弁当にも別容器で苺を持ってきているのである。

そろそろ栃木に引っ越そうか。

追記:先日のシンポジウムで同席したM氏のブログを読んでいたら、同じ日に彼も転倒して頭にこぶを作ったらしい。これは何かのシンクロニシティだろうか。今度お会いしたらぜひこのことを話さなくては。

Fl010024 追記②:同じ苺のケーキを、LOMO LC-A+で撮影したものが現像上がってきたのであげておく。この色加減はなんだか我が家とは思えない写りである。

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東京で見る雪はこれが最初ねと

土曜日にシンポジウムでがんばったので、自分へのごほうびが大好きな都並は、日曜日には思い切り羽根を伸ばすことにした。

ということでまたもや渋谷に向かった。

といってもべつに渋谷という街に何かの思い入れがあるわけではない。どちらかというと三十路のおじさんとしては避けて通りたいとすら思っているくらいである。が、最近観たくなるような映画が渋谷シネマライズで次々にかかっているから、行かないわけにはいかない。

先日は『バレエ・リュス ~踊る歓び、生きる歓び』(レビューはこちら)を観にシネマライズXへ足を運んだが、今回はハーモニー・コリン(僕と一歳違いである)の『ミスター・ロンリー』(レビューは別記事で)。

ハーモニー・コリンは(ひとつ違いにもかかわらず)恥ずかしながら『ガンモ』も観ていないのだが、それでもマイケル・ジャクソンのそっくりさん(英語ではimpersonatorという。なりきりさんとでも訳すのがよいか)とマリリン・モンローのそっくりさんが主人公の映画だといわれれば、そのセンスのよさに、思わず観てみたくなるというものである。

それにやっぱり、アメリカン・ポップ・アイコンの影響力ということには研究者としても関心がある。学生が誰かそれで卒論を書いたらいいんじゃないかとも思う。

で、そうなったときに、その影響力をテーマにした映画があるとしたら、それは論文の展開上かなり役に立つだろう。というのも、それらの映画はいわばマス・メディアを通じたマス・カルチャーへの言及であり、その意味で一種のメタ映画とも言えるからである。

…といった小理屈はともかく、土曜日を職業的使命のために捧げたからには、日曜日は遊ぶ気満々だった。

が、朝起きたら雪が積もっていた。

これにはびっくりしたが、前から楽しみにしていた休日なのであきらめない。というよりもむしろ、「これはHOLGA135を持っていくのに最適じゃん。“東京×雪”なんて写真のテーマとしては最高だぜ。二年に一回くらいしかないんだし」と浮き足立って、135に400のフィルムを装填して出撃する。

とはいっても、自宅近辺は北関東のかなり北部である。都心に行ったらさほど積もってはいないんではないか、という危惧もあった。そんなわけで道中JRの車窓からずっと外を見ていたのだが、これがあにはからんや、どこまでも積もっていた。赤羽も白羽になり、目黒も目白になっていた。

嬉しくなって雪の原宿とか雪の渋谷をぱしゃぱしゃ撮りながらシネマライズへ。12時35分の回はほとんどがら空きといってもいいくらいだった。全席指定だが受付のお姉さんのナイスな配慮で左右の席も空いていたので、そこに背中の羽根をばさっと伸ばして座る。

ついでにカウンターでエビスを買う。渋谷でエビスなのである。エビガデで『再会の街で』を観なきゃ、なんてことを思い出す。

久しぶりの映画でシンポジウムの心労も吹き飛ばされる。

映画が終わって東京駅に直行。実家に帰省していた奥さんと合流する。

そこから有楽町まで(寒いのでJRで)移動して、今月からジムに通うという奥さんのトレーニングウェアとスニーカーを有楽町マルイで買う。イトシアの上には初めて行ったが、スポーツ用品の売り場は、コンパクトながら珍しいものが揃っていて好印象である。ナイキ×マルイの限定品もあるとかで、また来ようと思う。

地下まで降りてきたら、クリスピー・クリーム・ドーナツが気になる。案の定、雪のせいでいつもにはないくらい行列が短い。並ぼうかと思ったが、夕食の予約があるのでやめにした。

夕食は新丸ビルの「萬鳥 marunouchi」。ワインで焼き鳥をいただく、というこじゃれたコンセプトの、ありそうでなかなかないお店である(HPでは、「ばんちょう」のつづりがvinchouになっている。ヴァンはフランス語でワインのことである)。

このお店、前から行きたいと思っていたのだが、以前足を運んだときは予約で満席であった。それで悔しい思いをしたので、今回はリベンジである。なんでも、お店の人に聞くと平日のほうが混んでいるらしい。新丸ビルの上のオフィスから降りてきたサラリーマンさんでいっぱいなのだそうだ。今回は前もって予約したので、抜かりなく焼き鳥にありつけた。

ここは予想以上においしかった。根菜のサラダと、フランス産きのこのソテー、放牧豚の炭火焼、それからコルヴェール(青首鴨)なんかを頼む。コルヴェールはいわゆるジビエ(狩猟によって獲られた鳥獣類のこと)というやつである。それに本日のスペシャルワインということで、イスラエル産の赤ワインを頼んだ。

これが、ワインはなかなかにフルーティーで薫り高く、焼き鳥はどれも炭火の香ばしさが際立ち、きのこのソテーはバターが利いている、というとっても納得の味であった(普通の焼き鳥もメニューにはあります)。

それにここは店員さんのサーヴィスがとってもよい。ワインはひとつひとつ味を説明してくれるし(隣の席のお姉さんが次々銘柄を変えてかぱかぱ飲んでいたのだが、いちいち「○○の後ですとすっきり感じるかと思います」などと説明してくれていた)、僕がお酒を飲み終わったらお水を持ってきてくれた。それだけでなく、指についた脂と炭火の匂いを嗅いでいたらお絞りを持ってきてくれたし、ジビエが時間がかかったので「まだかなまだかな」と首をめぐらしていたら「ただいま中までじっくり火を通しておりますのでもうしばらくお待ちください」と説明に来てくれた。

なかなかこういうサーヴィスは昨今ないものである(都並がロウブラウなところに行き過ぎで、行くところに行けばあるのかもしれないが)。

すっかり満喫して、ショップカードをもらって帰る。久々に街遊びを楽しんだ一日であった。

追記:東京の雪の写真は後日再アップします。

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イチゴの日(プロジェクトTNT)

Vfsh0117…という筒井康隆の悪趣味かつサディスティックな短編があったなあ。それはさておき、相変わらず忙殺されています。

何がこんなに忙しいかといえば、来年度に新設する連続講義の企画会議やら、来月パネリストとして出演するシンポジウムの打ち合わせやらが新年から断続的に続いているから。

それでも、前者は大学所在地出身の映画監督(ハリウッドでの映画製作の経験もあり)を呼んだり、映画配給会社の人にもしゃべってもらったり、と楽しい内容になりそうなので、とりあえずがんばっています。

「汝を殺してしまわないものは…」というやつです。とりあえず2月になれば、授業も終わり、少し楽になるはずだと信じて。

それはさておき、年末に奥さんの親戚のおうちにわが町の名産のネギをkg単位でドカンと贈ったら、お礼にいちごがたっぷりと届きました。

これが大粒で、非常に甘くておいしいので、品種改良ってすごいな、と素直に感心。

あまりにおいしいので、ソフトバンクの犬のお父さんみたいに無心にもぐもぐと食べていたら、奥さんが「あなたそんなにいちご好きだったっけ。じゃあ、全部食べな」と、ほとんど1パック(奥さんいわく、「私が食べたのは3個だけ」だそうです)恵んでくれました。

後同じのが3パックあります。非常に幸せです。奥さんは夜中の2時40分にカツオ漁師に一本釣りされたり、帰宅したらドナルドダックに変身したりしていますが、とりあえずは幸せです。

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2年めのクリスマス

僕の使っている「ほぼ日手帳」の12月23日の頁には、こんな文句が載っている。

――――――――――

誰かがよろこんでくれる、ということがなかったら、

すべてが揃っていても、なにがたのしいだろうか。

誰かがよろこんでくれる、ということがなかったら、

ほんとうにうれしいことなど、なにもない。

<『今日のダーリン』より>

――――――――――

Vfsh0092 今年のクリスマスはまさに、このことを実感したクリスマスだった。要は、長年自己中心的な物欲の塊であった都並も、ようやく自己への関心が人並みに薄れ、その代わりに他人に何かをしてあげる喜びに気づき始めたのである。

このことを気づかせてくれたのはほかでもない奥さんだと思うけれど、僕と結婚する前から折々の「贈り物」に対してまじめであった奥さんは、結婚すると僕にもその流儀を教えてくれて、友人知人の何かのお祝いには必ず贈り物をする、ということを我が家の習慣にしてくれた。

くわえて、今年からボーナスをもらえる身分になったので、今まで心配&迷惑&負担をかけた両親に感謝の気持ちを伝えたい、という気持ちが自然に芽生えたのであった。

そこで今年は、「お世話になったあの人に」精一杯の贈り物をして、それをクリスマスのお祝いにすることにした。

まずはお互いの両親に、セーターやらダウン・ジャケットやらボタンダウン・シャツやらを贈った。実母のものはサイズ違いで23日に再交換に出かけなければならなかったけれど、おおむね自分たちで「いいんじゃない」と思えるものが贈れて満足だった。

それから23日はその足で「トイザらス」に向かい、9月にお子さんが生まれた高校以来の親友のところへ、おもちゃを贈った。彼は生粋のミュージシャンで(本業は教員だが)、奥さんもミュージシャン(本業は編集者だったが)なので、お嬢さんにも音楽に触れてもらうべく、洋物の知育玩具から、楽器の体を成しているものを選んだ。そこに、9月にNYで買ってきたロンパースと、クリスマスカードを添えて贈ってみた。

ところで、クリスマス・イヴ直前の「トイザらス」というのは、都並にははじめての体験だったが、なかなか殺伐としていて面白い空間だった。本来玩具で埋め尽くされるべき陳列棚が、地域の両親の必死の簒奪行為によってそこかしこに空白ができていて、その有様は資本主義の廃墟を思わせた。

それから月初めにはパダワンくんに「スーパー・マリオの帽子」(これが画像が貼れないのが残念なくらい似合っていました)を贈っているので、それも勝手ながら含めさせてもらうと、ずいぶんサンタさん稼業を楽しませてもらった。

ということで24日はもうやりたいことをやり終え、夫婦で静かに自宅で過ごした。

といっても奥さんは、チキンの料理とクリスマス・ケーキを一日で仕上げてくれたので、獅子奮迅の大活躍である。その間都並がしたことといえば、寒風の中愛車の洗車に出かけ、猛烈な寒さに途中で退散してきたということくらいだった。

これが今去年の日記を読み返すと(これが日記の正しい使い道だと思う)、奥さんは去年のクリスマスには、彼女自身働いていたこともあり「大変だから」という理由で「チキンの日」と「ケーキの日」を分けていたのだが、今回は一日で作ってくれたわけだから頭が下がる。

Vfsh0093 奥さんの作ってくれた料理の画像を貼っておく。チキンは僕の要望で、骨付き腿のローストではなく、ぶつ切りの骨付き腿のクリーム煮にしてもらった。これは生のタイムとローリエが利いた上品な仕上がりであった。前菜にはスモークサーモンと生ハムのサラダ。これに併せて、先日開封したワインを飲む。ほんとうのワイン通は開けた日でないと味が落ちるとかいうのだろうがあまり気にしないでおいしくいただく。

パンは京都のプチメックで仕入れてきてくれたカンパーニュ。プレーンなものと、柚子と栗の入ったものの二種類。柚子のほうは柑橘系の香りがチキンのハーブとよく合い、ソースに絡めて食べると絶妙だった。

Vfsh0096 ケーキはガトー・ショコラ。奥さんが二種類のチョコレートをブレンドして使った工夫のある一品。これは焼け具合が奥さん自身も納得の会心の出来だった。ガトー・ショコラ独特の、フォークで切ってみると上のほうはふわっと空気を挟んでいて、下のほうは板チョコのようにしっとり黒々としているという生地が完璧に出来上がっていた。これに生クリームかアイスクリームを添えたらお店に出せるのではないか、という出来だった。

これらの料理を味わい、お風呂に入り、「明石家サンタ」をはじめから終わりまで見る、というのが今年のクリスマスだった。

そして今日、目が覚めると、枕元に、ではなくしてベッドの下にプレゼントがあった。

びっくりだ。サンタさんが北関東まで来てくれるなんて。気づかなかった。いつ来たんだろう。

今年のプレゼントは、奥さんには『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』の絵本つきDVDと、雑誌に載っていたビームス・ボーイのレッグウォーマーだった。レッグ・ウォーマーは赤と白のチルデンニット風の編みこみ柄で、左右に木のボタンがついているフォークロア調のもの。キャシャレルの赤いダッフル・コートに合いそうだ。

そして今年はなんと僕にもプレゼントがあった。トイカメラのホルガ135である。

これは名機ホルガのプラスティックレンズを搭載しつつ、オリジナルの扱いにくい&入手しにくい120フィルム・フォーマットではなく、35mmフィルム(通常のフィルム)を使用できるようにした優れもの。これまでホルガに35mmのホルダーをつけたものはあったが、今回は機体からの新設計である。前から気になっていただけにこれは嬉しい。

やっぱり一年いい子にしているといいことがあるんだな。

ところで、起き抜け早々にこれらのプレゼントを目にした奥さん、去年は「毎週月曜日がクリスマスなら、わたし早起きするよ」と言っていたのだが、今年は「今もう一度眠ったらまたサンタさんが来てくれるかな」とのたまった。微妙にどこかが退行している気もするうちの奥さんである。

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パン屋新発見

(これは、持って回った書き方をしていますが、手短に言えば「おいしいパン屋さんを発見したよ」という記事です)

このブログでは再三再四書いていることだが、うちの奥さんは強度の小麦人間である。川島なお美さんの血液がワインでできているとしたら、うちの奥さんの細胞は発酵中のパン生地でできているのである。

だから我が家の朝ごはんは十中八九パンである。たまにご飯を食べるのは

①気分転換

②都並が納豆欠乏症に陥ったとき

③前の日が鍋>それが転じて雑炊

というケースしかない。

しかしまあ、このことに関しては都並には特に異存はない。僕だってパンは好きだし、ホテルの朝食がバイキングだと、たいていパンを食べる。ご飯を食べるのは、そのホテルのパンがもうひとつ「ぞっとしない」場合くらいである。

さらにいえば、特に好きでなくても、朝ごはんがパンであろうと米飯であろうと、あるいはうどんであろうとホットケーキであろうと、おなかがいっぱいになって日中の活動エネルギーが確保できれば問題はないはずだ、と論理的には考えている。

しかし、同じパンでも奥さんと僕の好みは微妙に違う。

奥さんは、世の中の女性が総じてそうであるように(と都並は経験的に信じているのだが)、生地自体が甘くておいしい、ふわっとしたパンと、生地の噛み応えと風味がしっかりしたフランス系のパンと、それからこれは声を大にしていいたいのだが、チョコレートを使ったパンが好きである。

一方、僕はというと、NY旅行記でも触れたように黒パンに目がない。H&Hベーグルズのパンパーニッケルはほんと絶品だと思う。

これは子どものころからの嗜好であったとは思うのだが、本格的に開眼したのは(「目がない」のに「開眼」するって変だなあ)大学生の時に卒業旅行で行ったモスクワである。

そこのホテルの朝ごはんの黒パンが、「え、これ、体育の時間に使う高跳び用のマットの中に入っているスポンジの切れ端ですか」といいたいくらいぱっさぱさだったのだが、その共産主義的なやる気のなさがその当時の僕には強烈なエキゾチシズムに感じられ、そこで「黒パンってうめえなあおい」と頭の先から尻尾の先まで信じ込んでしまったのである。

気の毒に、同行した友人の中にはその規格外の味をどうしても舌が受け付けないものもいたのだが、少なくとも都並にとってはそれはすばらしくおいしかったのである。

それ以来、黒パンの虜になっているのだが、悲しいかなこの黒パンという食べ物は、決してマスに訴えるものではないらしく、まともに扱っているベーカリーは日本ではほとんどない。

京都に住んでいた時分も、あそこは奥さんのようなパン好きには夢のようなベーカリー激戦地だと思うのだが、この黒パンを堪能させてくれるお店は見つからなかった。プチ・メックに代表されるように、京都ではフランス系が強いのだ。

そんなわけで、常に心の黒パン難民となり、空想の黒海の岸辺で潮っぽい風に吹かれている都並であったが、つい先日、わが伴侶にして小麦人間の「ぜったいおいしいパン屋さん見つけたんねん」という執念が実を結び、黒パンが実においしいベーカリーとめぐり合ったのだった。

そのお店の名は(ここまで来るの長かったなあ)埼玉県東松山市にある「ブーランジェ・リュネット」。

奥さんがここを発見するに至った経緯はというと、なんと日がなPCに向かい、「埼玉県 パン屋」という検索キーワードでひたすら検索した結果だというから驚く。

そのような執拗な行為の末に、彼女はついにここのHPを発見し、その全体的なたたずまいというか雰囲気と、もっとも重要なパンの写真を見た結果、「これは私の目が“おいしい”といっているわ。間違いないわ」と判断したうえ、ネット・オーダーに踏み切ったのだった。

そして小麦人間の視覚にやはり間違いはなかったらしく、たしかにここのパンはおいしかったのだった。それも普通にまずまずおいしいのではなく、こうしてブログにしたためたくなるくらい、ずばぬけておいしいのだった。

どれくらいおいしいかと言うと、はじめて通信販売でパンが届いた日、都並の晩御飯は鶏の炊き込みご飯だった。それもおいしかったのでおかわりした。にもかかわらず、その直後にそこのパンを(ごく薄切りだけど)三枚も食べてしまった。

はじめは夕食後に奥さんが「さ、冷蔵庫にしまうためにパンをスライスしなきゃ」と言ってパンを切り出したので、「じゃあ見学」と隣りに立って見ていたら、黒パンを一切れ「味見する?」と言って薄く削いでくれたので、つい食べてしまったのだが、そうしたらあまりのおいしさに他のパンも食べたくなってしまったのだ。それくらいおいしいのである。

特においしかったのは、万人受けするところで言うと、「塩、蜂蜜、牛乳、卵をたっぷり使用したリッチな食パン」、「ハニーブレッド」。これは、そこらへんのパン屋さんのブリオッシュなんかより風味が濃厚で、生地はあくまでしっとり、噛みしめるごとに甘みが口の中に広がる一品である。

でも黒パン好きの都並としては感涙ものだったのはやはり、キャラウェイ・シードの香りがたまらない本格派ロシアパンの「ブラウンブレッド」と、ドイツ系のずっしりしたライ麦70%パン「パンドセーグル(名前はフランス系だけど)」。後者は成城石井なんかにもパックのものが売っているんだけど、もろもろとした歯ごたえが気に入らなかった。その点ここのはなめらかで、適度な酸味とライ麦の香りがほんとにおいしいのだ。

そんなわけで、この北関東の地にあって、このパン屋さんを発見したことは、われわれ夫婦にとってかけがえのない悦びであった。これからもここでオーダーしようね、と力強く確認しあったのだった。

現在、奥さんが家を留守にしているので(今日帰ってくるんだけど)、毎日ここの黒パンを少しずつかじっています。たまらない幸せです。

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小さな足、どこへ

気がつけば週一更新のペースになっている。十二月はほんとになんて忙しいのだろう。

ともあれ、今日は四年生の卒論提出期限であった。僕のゼミは、ちょっと心配していたところもあったのだが、月曜日の時点で「後は誤記・書式の誤りの訂正」という段階まで全員到達していたし、まあ出せるだろうと思っていた。そう思いつつゼミの教室に入ったら、全員無事提出できたとのことで、ひとまずはよかったよかった。

ま、担当教員としては指導の時間ごとに力不足を実感せざるを得ない一年だったわけだが、今日四年生の顔を見たらとっても晴れ晴れとしていたし、「こんなに勉強したことはなかった」という子もいたので、まあ、よかったのだろう。

さらにいうとこの学生たちが、フルタイムの講師としての僕のゼミのはじめての卒業生なわけで、そう思うと少なくとも僕の側からは、いい出会いであったような気がする。感謝感謝。

加えて今週で授業も終わり、あとは冬期休暇に入っていく。といっても仕事は山積みなわけだが、ひとまずはほっとしているところである。

それはさておき、標記の件。

先日、僕の京都での行きつけの店であった「さらさ」富小路店がなくなってしまった、という悲しいニュースを書き留めたが、さらに続いてもう一軒、お気に入りの店が閉店してしまった。

そのお店の名前は「オー・プティ・ピエ(Au Petit Pied)」。寺町通竹屋町にあった小さなフレンチ・ビストロである。

このお店は、リンク先にもあるように、シェフが一人で文字通り「切り盛り」(お肉を切ったり魚を盛ったり)する、全部で10席ほどの小さなお店だったが、気取らない感じの落ち着いた雰囲気のお店で、それは言い換えれば垢抜けないということでもあったが、我が家のように落ち着ける店だった。

が、夫婦の夕食の定番だった「さらさ」とは違い、ここは都並というよりも奥さんとそのお友達のグループの間での「お気に入り」で、彼女たちは何かの機会があるたびに会合のようにしてそこに集まっていたのだった。そこへ、女性のサークルにひとり男性として参加するのが大好きな都並が、時々混ぜてもらっていた。

ここに女性陣が集まるのには、お店の雰囲気に加えて、料理がとても「それらしい」ということがあった。どれもボリュームはたっぷりで、かつしっかりした味付けが「きっと本当のフランスのビストロもこんな感じのワイルドさなんだろうな」と思わせる説得力を持っていた。

そんなわけで奥さんとお友達はいつも、その説得力ある料理を精力的におなかの中へと移動させながら、同じくらい精力的におしゃべりに勤しんでいたわけである。そんな女性陣を驚嘆の目で見つめながら、僕も腹筋が痛くなるくらい食べたものだった。

それが、先日奥さんのもとにそのグループのうちの一人からメールが入った。「オー・プティ・ピエ」が閉店した、というのだ。

その悲劇的なニュースは瞬く間に奥さんたちの携帯電話のネットワークを通じて広まった。そのとき僕らは初ボーナス(卒業生が初めてならボーナスも初めてなのだ)で両親へのプレゼントを買うために某ショッピング・モールへ来ていたのだが、その最中、ひっきりなしに奥さんの携帯にメールが届いた。

その内容はどれも悲嘆にくれ、打ちひしがれたものだった。その彼女らのあまりのcohesiveぶりは都並を驚かせた。中には「信じられなくて」直接お店に電話したり、前を通ってみたものもいるという。

けれどもそのような悲壮な試みのどれも、彼女たちに朗報をもたらしてはくれなかった。結局、なくなってしまった店はなくなってしまったのだ。

店名の由来といわれる小さい足を持つシェフは、われわれの気づかないうちに静かにお店をたたんで、使い込んだナイフや油の沁み込んだソースパンやらを肩に担いで、その小さい足でどこへともなく歩み去ってしまったのだ。

確かに、立地は決して好条件とはいえなかった。繁華街からかなり離れた、閑静な住宅街とでも言うべきあたりに(もちろん周辺にぽつぽつとお店はあるのだが)そのお店はあった。

それに記憶を振り返ってみると、常に客でごった返しているというお店でもなかった。そういう意味では、お店の経営状態は決してよくなかったのかもしれない。

それでも、逆に言えばその静けさが、一種の象徴的なエアポケットを作っていたのだ。そのエア・ポケットの中で奥さんとお友達は静かにささやかな連帯をはぐくんでいたのだ。「オー・プティ・ピエ」とはそういうお店だった。

シェフが今どこで何をしているかはわからないけれど、またどこかで、あのお店のようなこじんまりとしてひそやかで、だけど親密なお店を持ってくれるといいな、と思う(案外どこかに引き抜かれたのかもしれないけれど)。

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ハロー・ベルリンとコーナー・ビストロ(NYで本場のジャンク・フードに参加する)

気がつけばもう師走も半ばだ。

いやこの都並にとっては鰤走(ぶりわす)である。それくらい毎年この時期はなんだかんだと忙しいのだが、今年も例年にもれず忙しい。まず大学全体の忘年会があってアセトアルデヒド漬けになったりとか、四年生は卒論でおおわらわになっていてそれに付き合っている都並も文字通りのおおわらわになったりとか、入試の時期でもあるのでその問題検討があったりとか、その隙をついてクリスマスのTDRを二日に亘って堪能したりとか、そして帰ってきてみたら大学関係者が刑事事件を起こしていたりとか、早くも来年度のカリキュラム作りに忙殺されたりとか、とにかく忙しいのである。

その隙をついて、NY旅行記の記事の追加をする。なぜかというと、当ブログの訪問者の検索ワード/フレーズを何気に見たところ、都並が九月に訪問した、マンハッタンはMoMAの近くに店を出しているホットドッグのベンダー、「ハロー・ベルリン」と、チェルシーのアイリッシュ・バーでハンバーガーが有名な「コーナー・ビストロ」の店名を検索ワードに訪問された方がいらっしゃったからである。

とりわけ、「ハロー・ベルリン」のほうを調べていた方は「場所」というワードとのセットで検索されていたので、ひょっとすると今頃は、あの屋台の場所を探しているのかもしれない、そして都並の怠慢でその情報を提供できなくて、お店を発見できない、という悲しい結末を迎えようとしているのかもしれない。

それは申し訳ない、ということで書く。

といいつつ実際は、これらの店については、勝手にリンクを貼らせていただいているサイトに充分に情報があるし、この本を読むと大体情報がつかめるのだけれど(都並自身これを読んで知った)。

Cimg0071 「ハロー・ベルリン」は54丁目と5番街の交差点の南西に店を構えている(別の言い方をすると、MoMAのあるブロックの北東角にある)、「おいしい」と評判の”伝説の”屋台のホットドッグ屋さんである。これは、ジャンク・フードが大好きな都並と、ソーセージが大好きな奥さんにとってははずせない。

が、屋台なので移動もありえるし、行くまで見つかるかどうか不安だったが、実際近くまで行ってみるとすぐ見つかった。

事前の情報によると行列必至だという話だったが、そんなこともなくあっさりと買えた。

Cimg0073 メニューは、パンにソーセージがはさんである通常のホットドッグ(MercedesとかBMWとかドイツ車の名前がついている。ソーセージの種類で名前が異なる)と、ソーセージとジャーマン・ポテトとザウアー・クラウトがパンに挟まれることなく、ひとつの皿に「ぼんっ」と盛られていて、パンはというと申し訳なさそうに別についてきて「後はお前の勝手にしろ」という脱構築的なメニュー(Double soul mixとか名前がついている)がある。

Cimg0072 が、違いは組み立て前か組み立て後かというだけのような気もする。都並と奥さんはこれを一個ずつ買って食べた。

味はというと、確かにソーセージもポテトもキャベツも美味しい。が、いかにもアメリカ的な、というか日本的な、というか、従順なソーセージがぶっきらぼうなパンに挟まっていて、その悲しみをたっぷりのケチャップとマスタードになだめられている、というあの味を予想していくと、その予想は外れる。

要は、「君たちがふだん何気なく食べているホットドッグね、あれの構成員はもともとこんな人たちだったんだよ」と思い起こさせてくれる味である。そういう異国情緒あふれるホットドッグなのである。

ちなみにこのベンダー、ほかのサイトではベルナデットさんとロルフさんが売り子をやっていて、ロルフさんが愛想がいいと書かれていたが、僕の行ったときはあいにくベルナデットさんだったらしく、愛想もくそもなかった。冗談で「ダンケ、シェーン」と言ったのに何のリアクションもなかった。

それから難を言うと、周りにゆっくり座って食べられる場所がないので、そこは覚悟されたし。奥さんは過去の記憶を頼りに「MoMAが近くだし、MoMAの階段にでも座って」と言っていたのだが、改装後のMoMAにはそんなスペースはなくなってしまったようだ。

Cimg0185 「コーナー・ビストロ」は、ウェスト・ヴィレッジにあるアイリッシュ・バーである。住所はこのサイトが詳しい。ここのビストロ・バーガーが名物だというので食べてみた(画像手前はチーズバーガー、奥にあるのがビストロ・バーガー。かりかりベーコンが乗っているかいないかの違い、だと思う)。

が、このハンバーガー、あちこちで書かれていることは「脂肪分が少なく、あっさりしていてぺろりと食べられる」ということだったが、それは、別の言い方をすると「味気ない」といえなくもない、ということだとわかった。

たしかに、肉本来の味がしてそれはそれで美味しいのだが、都並の味覚がおかしくなければ、「肉本来の味」しかしない。食べているうちに「あれ?香辛料とか入れてくれました?たまねぎとか、つなぎはなくてもいいんですけど、あの、ナツメグとか…」と言いたくなるくらいである。子どもに牛肉のミンチだけを渡して「ハンバーグ作って」とお願いしたら、ほぼ確実にこれと同じものが出来上がるだろう、という気がする。

しかしまあ、そういうワイルドなものがアメリカ的だといえばそう思えなくもない。そういう意味ではいい経験であった。

ちなみにこの店は、基本がアイリッシュ・パブなので、ジョッキ・ビールが数銘柄から選べる。定番のサミュエル・アダムズ、ブルックリン・ラガーなどに加えてヒューガルテンなんかもある。

ヒューガルテンは珍しいのでこれを頼んでみた。どう発音するのかな、と思いつつ適当に「ホウガーテン」と頼んだらちゃんと出てきた。これがまたきんきんに冷えていて…ということはまったくなく、程よく常温であった。こういうところもアメリカらしい。

こんなふうにハイカロリーなものばっかり食べていたので、NYではすっかり太ってしまったことよ。

あ、ちなみにゆうべもクア・アイナでアボカド・バーガー食べました。まるまる一個食べて、奥さんが食べきれないで困っているチーズ・バーガーを半分食べました。

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さらさの消滅(プロジェクトTNT)

2日(日)は朝ゆっくりホテルを出て、ニット探しの続きに勤しむ。結局バーバリーに決まったのだが、この時点ではまだ決まらない。

昼前に阪神百貨店でT子ちゃん(奥さんのOL時代の友達)と合流。やっぱりお腹が大きくなっていたが、雰囲気はぜんぜん変わらない。もっと太って顔がぱんぱんになっているかと思っていたけれどそんなこともなく、あざやかなロイヤルブルーのエンパイア・ワンピ(エンパイアはこのところ流行が続いていますけど、妊婦には最適ですよね)に髪をポニーテールにして、ルイ・ヴィトンのエナメルのハンドバッグを持って、それから香水の匂いもぷーんとさせての御登場であった。

このT子ちゃんは、外見は小倉優子なのだが口を開くと松嶋尚美さんがちょっと入っている、という、とても気さくで面白い子である。その子が母になるというので、どんな心境の変化があるかと思ったが、じっさい会ってみると何にも変わらない感じだったので意外な感じがした。

個人的にはもっと「お母さんになるの!」というテンションの高さみたいなものがあるかと思ったのだけれどそんなことはなく、喩えが適切かどうか分からないけれど、お正月が来たら門松を出して注連縄をかけて、という年中行事の一連の進行のように、さも当たり前のように「子を産む」というフェーズに入っているようであった。

少なくとも、都並個人にはそんな気がした。

そのT子ちゃんと三人で梅田は安田生命ビルにある「ポンテベッキオ」へ。ランチのプリフィクス・コースから皿数の少ないほうを頼む。これでもけっこうな量だった。

ここでも、パスタが二品から選べるのを三人で別々のものを頼んだら、ウェイターさんが「半分の量でみなさま二皿お出ししましょうか?」といってくれた。三人とも即「じゃあそれで」と返事する。こういう心遣いは嬉しい。前日の阪急百貨店といい、えらいぞ大阪。

都並はここで、昼間からワインを飲みつつ食事。女性2人はミネラル・ウォーター。話題は専ら赤ちゃんのこと。お料理はパスタからメイン、デザートまで抜かりなくおいしい。実は奥さんはここにはよく来ているのだが、僕が連れてきてもらえたのは二回目であった。「今後はもっとつれてきて」とお願いをしておく。

途中、T子ちゃんはここで披露宴をしているので、お店の担当者の方がご挨拶に来る。こういうところもしっかりしたお店である。

お店を出て、それからT子ちゃんのベビー用品選びに付き合う。予想に反して、大丸より阪神百貨店の方が充実した品揃えだった。ここでついでにベビーカーやベビーシートのことなど将来のために詳しく聞いておく。

その後T子ちゃんと別れてからしばらくニット探しを続けた後、京都へ。京都は烏丸御池にできた「ホテルモントレ京都」にチェックイン。ここは、一階ロビー周りの雰囲気とか、各個室は申し分のない感じであった。部屋に加湿・空気清浄器がついているのも嬉しい。ただ、最上階のスパ(という名の大浴場)は別料金のわりにもうひとつ、というのが夫婦の一致した意見であった。同じレヴェルのものなら、琵琶湖ホテルなら無料で入れる。

ホテルを出て京都での夕食へ。またもやいきつけの店、「さらさ」へ。ここは、古い京町家を改装した雰囲気ある店内(床はどこかの体育館の廃材利用)に味・ボリュームともに申し分ないフードが気に入っており、足繁く通っていた。特に、京都に住んでいた去年一年は、毎月一回は必ず行っていた。

混む店なので予め電話予約を入れる。声だけで「あ、あの人だな」と分かる店のお姉さんが予約を受け付けてくれる。

安心してお店に行ってみたところ、「さらさ」はなかった。

もと「さらさ」があったところは、ただの空き地になっていた。

慌ててもう一度店に電話を入れる。訊けば、花遊小路に移転したとのこと。前店舗が跡形もなくなっていたところから、おそらく、地主さんの希望で取り壊しになったのだろう。

電話での案内にしたがって新店舗を訪れた。電話で応対してくれたお姉さんが移転した旨を伝えてくれる。「前の店が気に入っていたのに」というと「私もです」と切実な感じの返事が返ってくる。

新店舗だが、正直内装にはがっかりした。前の面影があるところといえば、町家の梁をむき出しにした天井と、それから古びたピアノをはじめとするいくつかのインテリアだけで、いかにも安っぽい什器ばっかりだった。

前は薄暗かった照明がやけに明るいのもいただけない。客層も、かつての芸大生っぽい人種から、もっとふつうの若者が増えたような気がする。全体に、以前の店にあった、例えば自称ミュージシャンのヒッピーっぽい屈折したおじさんがブルーズやジャズについて熱っぽく語るような雰囲気が、京都に根付くサブカルの伝統の血脈がどことなく繋がっていると思えるような、一見おっかなくもあり、それでいて懐の深い雰囲気が、まるで雲散霧消してしまった。

そんな底知れない悲しみを抱えつつ、フードをオーダー。「海鮮真っ黒炒飯」や「豆腐ハンバーグ」のような定番メニューのいくつかは姿を消してしまったけど、「ヨコハマ丼」なんかは残っている。その中から三品ほど見繕って頼む。

出てきたものは、確かに前の店と同じだ。これで味まで変わったら悲しすぎるが、どうやらそこは大丈夫だった。その懐かしい味を味わい、少しだけ心をほだされて店を出た。

オーケー。変化とともに生きていこう。ボブ・ディランがかつて歌ったように「時代は変わる」のだ。それにしても、この時間という奴の、その攻撃の手の情け容赦のないことよ。そんなシビアな思いとともに、師走の京都を歩いてホテルに帰った。

…そしてその後ホテルのスパにぶうたれたのだった。

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浪花でぃあすぽら(プロジェクトTNT)

来年度授業の計画などに忙殺され、気がつけば一週間以上日記をつけていなかった(12月9日付)。今日になってようやく時間が取れたのでプロジェクトTNT(たまった・日記・付け直し)である。

1日(土)から3日(月)にかけて帰郷していた。理由は単純で、どうにも大阪が恋しくなったからである。

恋しくなったといっても、四月に北関東に越してきて以来、関西にはたびたび帰っている。どれくらい「たびたび」かというと、先月末にこちらで美容院を見つけるまで、髪を切る際は京都で行きつけだった美容院に行っていたくらいである。

だから、関西そのものが恋しい、というわけではないのだが、ことを大阪に限定すると、実は四月から先には一回きり、六月の学会で帰ったきりである。京都はというと、お義父さんお義母さんの会社があるところでもあり、去年一年間住んでいたり、ということで頻繁に帰っているのだが、大阪はしばらく行っていなかったのだ。大阪にはなんだかんだで10年以上住んでいて、今の奥さんとのデートも大阪が基本だったことを思えば、これはえらい隔たりである。

そのせいか、あるとき通勤の電車の中で、ふいに大阪は梅田のディアモール(といういちおうおしゃれなことになっている若者向けファッション・ショップの並ぶ地下街)やイーマ(同じくファッションビル)の光景が脳裏に浮かんだのである。

そうなったら、もう帰りたくてたまらなくなった。たわいもないことだが、ディアモール・フローレのエディフィスでニットを見つくろったり、イーマの狭いエスカレーターを上り下りしたり、というローカルな行為に勤しみたくてたまらなくなったのである。

そこで、月に一度奥さんが帰郷するのに合わせて帰ることにした。

さらに今回の帰省の目的はいくつかあった。

ひとつは、こちらも大阪に住んでいた時分よく通っていた、梅田のかっぱ横丁にある魚料理専門店「魚魚家(ととや)」を再訪すること。

それから、奥さんの友人で春に出産を控えているT子ちゃんを交えて、こちらも大阪で名を轟かせているイタリアン「ポンテベッキオ」(ジュエリーは置いていません)でお食事すること。

次に、こちらも大阪にいた時分は奥さんと毎年詣でていた、梅田スカイビル(大阪一おいしいお好み焼き屋「きじ」はここの地下にあります)の巨大クリスマスツリーと「ドイツクリスマスマーケット」に行くこと。

最後に、今後月末まで繁華街に行くチャンスがあるかわからないので(住んでいるところが田舎だからね)、奥さんとお互いへのクリスマスのプレゼントを探すこと。

こんな豪華メニューの帰省だったわけである。

ということで、土曜日は午後二時ごろ奥さんと合流。さっそく僕の念願である、大阪ファッション・ショップめぐりに付き合ってもらう。寒くなってきたのでワイシャツ(いつまでも奥さんは「カッター」という)の上に着るニットを買い足そうと思ったわけである。

仕事柄、スーツはおろか、ジャケットですらも着用の義務がないので、冬場はニットの方が楽だということに気づいたのだ。とくに、僕はジャケットとなるとカジュアルなものが中心だから、いきおいコットン地が多くなる。するとコートの中で肩のあたりがごわつくのが気になるのである。

けれども僕はずっとアンチ・ニット派(毛玉ができるのが悲しすぎるので)だったので、ニットというと、奥さんが去年「この人はニットを持っていないのだわ!」と気づいて買ってくれたポール・スミスのグレーのカーディガンしか持っていない。そこへ最近、グレーのパンツを何も考えずに買い足したものだから、このニットの登板機会がぜんぜん少なくなってしまったのである。

ということで、念願のディアモール・フィオーレのエディフィスにはじまり、イーマの中やらディアモールの中やら大丸やら阪急やら、あちこちに奥さんを連れまわしていろんなニットをためつすがめつした。

結局、奥さんの見立てでバーバリーのカーディガンを購入(じっさい買ったのは翌日。えらいこと連れ回してすいませんでした)。

その後、クリスマス・プレゼントとして阪急百貨店で「genten(ゲンテン)」の財布を買ってもらう。今使っているのは二十歳ぐらいからずっと使っているパトリック・コックスのもので、いいかげん「やれて」きたので、買い替えが必要だった。

余談だが、阪急の売り場の店員さんは、購入前に「革の感じがそれぞれ違いますから」と在庫を全部見せてくれた。さらに御自分のIDカードをカード入れのスリットに出し入れしてみて、スムーズに入るかどうかチェックしてくれた。結果、一番革の感じが気に入っていたものは、店員さん曰く「接着剤のつきすぎ」で使えないスリットがあることが分かったので、次点のものを選んだ。次点といっても、微妙な色合いと風合いの違いだから、結果的に大満足である。

こういう行き届いたサービスはほんとうに嬉しいものだ。

その後同じフロアで、奥さんのプレゼントを探す。アクセサリー売り場を一回りした後で、よくアクセサリーを買う「agete」でピアスを購入。今まで耳に張り付くサイズのものしか持っていなかったので、水晶がぶら下がるやや大振りのものを購入。良く似合っていたのでよかった。

それから阪急百貨店を出ようとしたら、「CA4LA」でアンディ・ウォーホル・モチーフのものをフィーチャーしていたのを発見。友人のlapin55さんや同僚の先生など知人にウォーホル好きの人が多いので、寄ってみることに。

ついでに奥さんも「私も帽子買おうかな」というのでぶらぶら見ていたら、僕自身がちょっとこのところ探していたものを見つけてしまった。

それは、このブログにも頻繁に登場するlapin55さんの御子息、パダワンくんがほしがっているという、赤いキャスケットであった。

なんでも、lapin55さんのブログによればパダワンくんは最近、赤いロングTシャツにカバーオールでスーパー・マリオのコスプレをするのが気に入っており、「これで後は帽子があれば完璧」と言っているという。

その記事を読んだ都並はそれを「読者への挑戦」だと受け取った。そこで、事ある毎に帽子屋さんや百貨店の帽子売り場を覗き、それらしきものがないかチェックしていたのだ。

それがここにきて、そのものずばり、とでも言うべき一品を発見。即購入を決意した。僕の生き方として、「マリオのカバーオールとマリオのシャツが揃っていることを知っておきながら、さらに別のところにマリオのキャスケットがあるのを見つけておきながら、素通りする」ことは考えられない。

さっそく店員さんにプレゼント包装をしてもらい、lapin55さんに電話した。月曜日に僕が京都で半日空くので、「ちょっといいもの見つけましたぜ。届けに行きやす」と伝える。

阪急百貨店を出て6時。さっそく「魚魚家」へ。早い時間ともあって空いていた。さっそくグレと引っさげのお造り、出し巻き卵、冬瓜の蟹あんかけなどを頼む。酒が進むのでまずはビールから芋焼酎・鬼火のロックに移行。

Vfsh0062 最後に、「ここに来てこれを頼まないなんて考えられない」一品、「魚飯」で〆。要は炊き込みご飯なのだが、魚がおいしいので炊き込みご飯も絶品なのである。季節によって魚は変わるのだが、今回は金目。あいかわらずおいしかった。とりわけ、北関東にいるとおいしい魚はなかなか食べられないので、感慨ひとしおである。

お腹が膨れたらスカイビルに移動。クリスマスツリーを観てからホテルに帰る。ドイツ・クリスマスマーケットは、毎年恒例になっているのでさほど感慨はなかった。でも今年も奥さんと見られてよかったとは思う。まだ大阪は暖かかったので少し間抜けな感じがしたけど。

Vfsh0065 ホテルは堂島の「ヴィスタプレミオ」。今はやりの、リノベーションされたビジネスホテルである。水まわりは旧態依然としていて古臭さは否めなかったものの、モダンで居心地のいいホテルだった。ハービスのすぐ裏手という立地もよかった。

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ベーグルは地下鉄に乗って

Cimg0227_2 ここのところNY旅行記の記事を追加していなかったので書く。

とかく旅行記というのは難しく、エネルギーと時間を必要とするものである。誰でも旅行自体は楽しく、その記憶が鮮明なうちはそれを記録にとどめておこうと思うものだが、実際の作業はかなり大変で、頓挫してしまうこともしばしばである。都並自身、友人のブログなどでそのような悲しい頓挫した旅行記を見たことが複数回ある。

でもって都並もその例にもれず、9月の帰国当時の意気軒昂たるありさまから一転、今日現在ではすっかりその勢いを失い、書くタイミングを逸しつつある。

これではいかん、ということで、慌てて記事を追加することにした。

今回はNYのベーグルについて。

これについてはすでに先行する情報もあり、情報的価値はさほど高くないのだが、何せうちの奥さんは自他ともに認める強度の小麦人間(パンやケーキが大好き)である。そのなかでも彼女はベーグルが大の好物であり、今回はその彼女の「NYでは本場のベーグルをぜひとも味わってみたい」という強迫的な衝動に突き動かされて店舗を回ってきたので、ぜひともここで書きとめておきたい。

まず一店舗目(上記画像)はエッサ・ベーグル(Ess-a-Bagel)。HPはココ。ここは滞在していたサン・カルロス・ホテル(全般にいいホテルでした)から目と鼻の先で、行こうと思えば毎日でもいけたのだが、折悪しく9月のユダヤの祝日とぶつかってしまい、一度しかいけなかった。

Cimg0235_2 ここのベーグルのいいところは、クリーム・チーズなどでサンドイッチを作ってくれるところ。そこで僕はロックス・クリームチーズ(日本ではあまり見ないけれどNYでは定番の、スモーク・サーモンの練りこまれたクリームチーズ。スモーク・サーモンとプレーンなクリーム・チーズをべつべつにサンドする手間が省ける便利な代物)をパンパーニッケルのベーグルに挟んでもらった。

Cimg0230このパンパーニッケル(プンパニッケルとも呼ばれる。要は黒パン。粗挽きライ麦を用いた酸味と香りが特徴の生地)、僕の大好物なのだけれど、日本では作っているところがほとんどないのが悲しい。たまに日本でもベーグルを売っているベーカリーで、懐かしい黒い生地を見つけることがあるけれど、そういうときって大体、喜び勇んで近くまで走り寄ってみたら、ココアだったりチョコレートだったことがわかるのである。そのときの悲しさといったらないよね。迷子になった子どもが、「お母さんを見つけた!」と思って走っていったのに、近づいてみたら見知らぬおばさんだった、というときに匹敵するものがある。

それはさておき、このエッサ・ベーグルでは、奥さんはプレーンなベーグルにベイクド・サーモンの入ったペーストのサンドを頼んでいた。

ここのサンドの特徴は、見てお分かりの通り、日本人のしみったれたサンドイッチ観からは想像できないほどのペーストが挟まっているところにある。これはなぜかというと、食べる人はみんなこのサンドを(せっかく挟んでくれているのに)上下に分解して、上半分、下半分と順番に食べるからである。その際に片方の面だけにペーストがいってしまわないように、二倍の分量がついているというわけだ。

たとえばオレオのクリーム・サンドを一枚ずつビスケットに分解して食べると、一枚だけにクリームがついていってしまい、もう一枚がプレーンなビスケットになってしまうことがありますよね。そういう事態を予防しているのである。

しかしこのサンドには、あまりにペーストの味が強すぎて、ベーグルの味がわからなくなってしまうというデメリットもある。そのせいか僕ら夫婦はこの店ではあまり感心しなかった。

ところでこのお店、立地がいいので常に行列ができているけれど、イート・インのサンドではなく、プレーンなベーグルのテイクアウトだと別のレジですばやく買えるみたいです。

Cimg0394 もう一軒はベーグル好きの聖地、H&Hベーグルズ。日本にも支店がある大御所だけれど、マンハッタンではアッパー・イーストサイドとアッパー・ウェストサイドに店がある。

しかしこの両店が、聞いたところによると京都の一澤帆布みたいな本家・分家争いをしているらしい。そこで、京都でも一澤信三郎帆布に肩入れしているわれわれとしては、ここはアッパー・ウェストサイドに行かねばならぬ、ということで、ホテルからは遠かったのだが、地下鉄を乗り継いでえっちらおっちら行ってきた。

結論からいうと、ここのベーグルはすばらしくおいしい。ここのベーグルを食べずしてベーグルを語るなかれ、という逸品だ。生地の表面はつやつやと、適度な張りがあり、その表面を歯で噛み切ると中のもっちりとした生地が現れて、小麦本来の優しい味がふんわりと口の中に広がって、えもいわれぬ美味である。

フレイヴァーも数種類あるが、そのどれもがおいしい。おススメはプレーン、それからトッピングが全て入っているエヴリシング、そしてやはりパンパーニッケル。ここのパンパーニッケルはキャラウェイ・シードのスパイシーな香りが全体の風味を引き立てる最高の品である。世界中の黒パン好きに薦めたい。

さらにおススメの食べ方はというと、あちこちのガイドブックにも書いてあるけれど、ここでベーグルを買って、通りを挟んで北側の向かいのユダヤ系スーパーマーケット、ゼイバーズ(以前勤めていた職場でやっていた芝居にも登場した)で店のオリジナルのプレーン・クリームチーズを買って、ぜひそれをつけて食べていただきたい。

このクリームチーズがまた絶品で、なぜかというと、サイトにも書いてある通り、店の厨房で作っている出来立てのクリームチーズだからである。都並自身、チーズにさほど思いいれはないのだが、ここの味にはびっくりした。クリーム/チーズの「クリーム」の味が、言い換えれば新鮮な牛乳の味が、ほかに類を見ないほどしっかり芳醇に香るのである。クリームチーズというものに対する先入観を覆す一品である。同じく店のサイトにはこう書いてある。「あなたのスモーク・サーモンとベーグルは、きっと[おいしいチーズと逢わせてくれて]感謝するでしょう。そしてあなたのお腹も」。この惹句に偽りはない。

Cimg0399 これらをしっかりと買い込んだら、天気がよければ一路東進、セントラル・パークへ行く。途中スターバックスで熱いコーヒーを買うのも忘れない。それらを携えて、芝生の上でピクニックを繰り広げるわけである。これもガイドブックに書いてあったりするが、それでも掛け値なしに素晴らしい体験である。

われわれ夫婦もこの王道プランを臆面もなく全力で実行したわけだが、ほんとうに、気ぜわしいマンハッタンの日常を離れ、最高のブランチを採ることができた。このブランチはいまだに滞在中の忘れえぬ思い出のひとつになっている。

このブランチがあまりにさまになっていたのか(自画自賛)、ベーグルを楽しんでいたら、どこかの観光客とおぼしきカップルが「ねえ、あの池のボートはどこから乗るの?」と聞いてきた。都並は「ごめん、わかんないや」と答えたのだが、そのあと奥さんに「ニューヨーカーと間違われたのかねえ」とさも嬉しそうに言ったのは言うまでもない。

Cimg0392余談ではあるが、H&Hベーグルズとセントラル・パークの間の住宅街は、いかにも「アッパー」という感じで居心地がいい。ただ通り抜けるだけでも気分がすっきりする。NYはミッドタウン以南はごみごみしていて積極的に住みたいとは思わないが、ここは町並みも素敵である。

さらに余談ではあるが、町並みの素敵さと、それより何よりベーグルのおいしさが忘れられなくて、都並夫妻は最終日の朝にも再度H&Hを訪れた。帰国後しばらく食べられるぶんだけを買いだめするためである。記憶が定かではないが、10個近く買ったのではないかと思う。

その大きな包みを大事そうに抱えて、さらには帰りのケネディ空港行きの車の中でも一個ずつ食べて、日本に帰ってきたのだった。小麦人間の奥さんにとっては、すばらしいピルグリメイジ(巡礼旅行)だったに違いない。

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クリスピー・クリームがやってきた

Vfsh0053 昨日、奥さんは以前の職場の先輩と東京でお食事であった。場所はマロニエゲートの「ポール・ボキューズ」である。ということで、先日丸の内で購入したタートルネックのカットソーとブラウスを着て、おめかししておでかけになった。季節はずれの大寒波が到来している中の外出であったが、真冬のコートとブーツで防寒対策も抜かりなくされていた。

都並はそういう奥さんを快く送り出し、自分はいつものように研究室で地味に仕事に精を出した。

そしたら奥さんが、手土産に件のクリスピー・クリーム・ドーナツを携えて帰ってきた。

これには思わず玄関先で(文字通り)小躍りした。と同時に、なんとなく自分が長良川の鵜飼いか笠地蔵のおじいさんになったような気がした。かわいい子には旅をさせよ、ではないが、奥さんを放流するとこういうお土産を持って帰ってきてくれることがあるのだとわかった。

かんじんのドーナツだが、早速その晩一個(チョコレート)食べ、今朝は熱いコーヒーで二個(オリジナル・グレーズドとアップル・シナモン)食べた。なるほど流行るだけあっておいしい。とてもおいしかったのでさらにおやつに一個(オールド・ファッションふうのを)持ってきた。

このおいしさは正直認めざるを得ない。もう少しくわしくいうと、噛んだ瞬間の歯ごたえはあくまでさくっとしていて、しかし噛むうちに肌理のこまかい生地がぎゅっと集まって、それからしっとりと口の中で溶けてくる、というそういう質感である。

そのドーナツをほおばりながら「うん、これはおいしいね」と奥さんに言うと、奥さんは「並んでるときに配ってくれる焼き立てのはもっとおいしかったんだから」と自慢げに言って都並をうらやましがらせる。お土産を買ってきてくれるのはうれしいのだが、こうなると優しいのかどうか良くわからない。

ともかく、このドーナツ・ブームでミスター・ドーナツもリッチ・ドーナツなどという商品を出してきたが、それとはぜんぜん違う方向性で(あちらはもっとふっくらとした生地で、味もパンっぽい)、しかもミスター・ドーナツより生地の質感が上質である。そのくせ値段はそんなに高くない。これは軍配がこちらに上がったな、という気がする。

さらに言えば、東京ではドーナツプラントなる店もあちこちにできているが、ここのケーキ・ドーナツと比べても、コスト・パフォーマンス的に優れている気がする。以前ここのドーナツを手土産に友人宅を訪れたのだけれど、そのときの反応があんまりぱっとしなかったし、僕自身も食べてみてすごく感動したということはなかった。

他店との比較はさておき、このクリスピー・クリーム、たしかに手土産にもらえると嬉しい一品である。けれども現在の狂騒ぶりはちょっと行き過ぎの感もあるので、早くこれが治まって、たとえばモロゾフのチーズケーキとかトップスのチョコケーキみたいな、どこにでもあるけどちょっと嬉しいお土産、というものになればいいな、と思う。

ところでこのクリスピー・クリーム、アルファベットで綴るとKrispy Kremeであり、本来CのところがKになっている。なぜかご存知だろうか。実はこれには創業者とその息子をめぐる悲しくも美しい逸話があって…というのはうそだ(ドーナツ好きで知られる村上春樹ふう)。

書いているうちに食べたくなってきたので最後の一個を食べます。

追記:コーヒーとドーナツは、『ツイン・ピークス』のクーパー捜査官(カイル・マクラクラン)でもお分かりの通り、アメリカ映画で刑事が描かれるとき、張り込みの必須アイテムとなっているようです。日本だと牛乳にアンパンというところでしょうか。先日観た『ディスタービア』でも、ヒロインの女の子が主人公とその友人の張り込みの現場を訪ねたときに「コーヒーとドーナツはないの?」と尋ねるくだりがありました。

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悦楽のショッピング

土曜日は所属している学会の研究会(下部組織)で千葉県柏市にいた。我が家からJRを一回乗り継いで2時間。遠からず近からず、といった距離だが、来年度同学会の大会が開かれる大学でもあるので、その予行演習という意味もあった。

道中電車の中ではずっとジョン・フィスクの『抵抗の快楽』を(遅まきながら)読んでいく。カルスタは専門外なのだけれど、こういうと怒られるかもしれないが、批評理論の基礎的な概念と用語を抑えておくと平易に読めるところがあって、読み物として面白い。

研究会は13時スタートで18時近くまでぶっ通し。内容も濃く、自分の研究上の関心事とも重なっていて、ディスカッションも(研究者としては珍しく)噛み合い、充実した時間だった。

学会・研究会と言うところは、例えば「やっぱりコンメディア・デッラルテの系譜、特にザンニの系譜だと思うんですよね」とか、知らない人が聞いたら「なんじゃそりゃ」と思うような専門用語を「君、知ってるよね。うんうん、僕も知ってる」と確認しあってにんまりする、といういけ好かない側面もあるわけだが、この内集団に属しているものにとってはこれは得もいわれぬセラピー効果がある。エリート主義と言われればそれまでだが。

会を終了後、東京・丸の内に移動。先週買ったパンツの裾上げ(悲しいくらい詰められた)が終了していたので引き取りに行った。

Vfsh0033_2 乗り換えの駅で、以前TVで取り上げられていたテープ文字「修悦体」の実物をはじめて見る。嬉しくなって奥さんに写メールした。

丸の内でパンツを引き取り、そのまま夕食。一人で気ままにワインを飲みつつ食事したかったのだが、お目当ての「焼き鳥+ワイン」な店は週末ともあって予約でいっぱい。もう一軒、雑誌で見て目をつけていたところは定休日だった。

Vfsh0034 しかたないので、「バルバラ・マーケットプレイス」なるお店で夕食。ワインを二杯くらいと、ロースト・チキンとタコのガルシア風、それとシンプルなサラダ。

なぜだか分からないが、いや多分ボジョレー・ヌーボー商戦のせいだが、この時期都並はむしょうにワインが飲みたくなるのである。ワインを飲みつつ、独りでかっこがつかないので、フィスクの続きを読む。

「記号論的ないいかたをすれば、ビーチはひとつのテクストであり、そのようなものとして読むことができる」(p.72)

いきなりこんなフレーズが飛び込んでくる。これはもはや村上春樹だ。そういう読み物として読むと、フィスクは面白い。

ワイン二杯では物足りないけれど、この後まだ買い物があるので店を引き上げる。家で食べるパンとコーヒー豆、それから奥さんへのおみやげを買わなければいけないのだ。

といいつつ、ぶらりと成城石井に立寄って、さらに「何とか賞」をとったというフランスの安いワインを買ってしまう。それからスターバックスでクリスマス・ブレンドという豆を買い、グランスタのブルディガラではクロワッサンなど見繕い、最後に「フェアリーケーキ・フェア」でカップケーキを購入。

Vfsh0036 一個がこぶりなのに450円もするのはどうかと思ったが、四個くらいは買わないとかっこうがつかないので四個買う。これを帰宅後奥さんと食す。

思わず唸ってしまう、とか、鮮烈な印象を残す、というものではなかったけれど、確かにおいしかった。香りがとってもいいし(お風呂上りにまだ部屋に香りが立ち込めていた)、それぞれの味のバランスが「うん、これだな」という位置にちゃんと決まっている。また買ってもいいなと思う。甘さについていえば、NYのチェルシー・マーケットのエレニーズで買ったものの1/20くらいだった。これくらいが日本人のスイーツとして適正だと思う。

こんなふうに、突然にかっこつけてミーハーな食事と買い物に明け暮れた一日だった。ジョン・フィスクの教訓は何にも生きていない、まさに悦楽のショッピングであった。

今日はこれから『ディスタービア』を観に行ってきます。

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グランスタ=イトシアの仮説

土曜日に講演の仕事が終わり、抱えていた原稿も無事締め切りに間に合い、ようやく一段落した。そんなわけで、ここのところ忙しくて日記が書けなかったけれど、今後はまた週三日くらいのペースで書いていければと思う。

日曜日は奥さんを伴って丸の内~有楽町に買い物に出かけた。ほんとうは奥さんのお友達と一緒にランチを採る予定だったのだけれど、昨日になって彼女から連絡があって、いかんともしがたい急用で来れなくなったという。そこで予定を変更、それじゃあふたりで買い物でもするか、ということになった。

買い物の目的は奥さんの服。ここのところ奥さんはやけに謙虚に主婦業に精を出していて、秋も深まるというのにいっこうに新しい季節の服を買おうとする気配がなかった。それではいかん、遊びをせむとや生まれけむ、ということで、あわてて季節のおしゃれ着の買い物に出かけたのだった。

やっぱり、自分の奥さんにはそこそこおしゃれでいてほしい、と(少なくとも今のところは)思う。

まずはTOKIAビルの「きじ」にてお好み焼きでランチ。ここの本店には大阪時代に通っていて、以前も書いたけれど、正直ここのお好み焼きが大阪でいちばんおいしい、と思っている。その東京支店がこの店である。この店も、TOKIAビル地下の飲食店街ではおそらく一番人気の店で、いつ行っても行列ができている。この日も30分ほど待ってから中へ。

ここでは今までに食べたことのない(かつ、大阪の店のメニューにはない)「ごちゃ焼き」と、関西人の定番メニュー、「スジ焼き」を頼む。「ごちゃ焼き」は、きのこと海鮮のバター炒めを乗せて、刻み海苔(青海苔ではなくて味付け海苔)をかけた一品。これはユニークな味でおいしかった。バターの香りとシーフード独特の甘みが、お好み焼きにいいぐあいの「ひねり」を加えている。また食べたい一品である。

スジ焼きのほうはやっぱり定番の味。ネギがたっぷりとかかっていて、真ん中に生卵が落としてある。この卵は生のまま生地の表面に伸ばしてよし、鉄板の上で火を通してよし、とにかく、うまい具合にお好み焼きにからめつつ食べるのがおいしく食べるコツである。

お好み焼きを心から堪能した後は、とりあえず丸ビル→新丸ビルとお店を見て回る。ふだん北関東の田舎に住んでいると、ひさしぶりの高層ビルというか、鉄骨とガラスの幾何学模様がかもし出す未来主義的な簡潔さが心地よい。都心に暮らしている人は田舎で癒されるのかもしれないが、僕のような田舎ものは都心で癒されるのである。

丸ビルから新丸ビルへ向かう途中で、「コールド・ストーン・クリーマリー」につかまる。奥さんも僕も食べたことがなかったので、食べてみよう、ということになったのである。本当はNYで食べてこようと思っていたのだが、時間がなくて行けずじまいになっていた。ここも少し並んでいたが、僕らは行列が苦にならないタイプの人間なので、いそいそと参加する。

奥さんはファウンダーズ・フェイヴァリットのアイスをヴァニラに変更したもの、僕はアールグレイ・アイスベースにイチゴが入ったもの(名前忘れました)を食べる。正直ここは、そんなに期待はしていなかったのだが、思ったよりおいしかった。アイスの口溶けが滑らかで、後味がすっきりしているので食べやすい。

実は先日、某バスキン・ロビンス(なぜか北関東に強く、あちこちの大手ショッピング・モールにある)のハロウィーン限定フレイヴァーを食べたのだが、そのときはそのチューイング・ガムみたいなケミカルな味に辟易してしまったのだった。そのいやな思い出があるので、「どうせここもいかにも砂糖たっぷりなアメリカンな味なんだろう」とたかをくくっていたのだが、あにはからんや、品のいいアイスクリームだった。失礼いたしました。

でも、今期間限定メニュー(映画『ヘアスプレー』とのタイアップ商品)としてフィーチャーされている「トレーシーズ・フェイヴァリット」は正直、きつそうですね。「ミントアイスクリームにオレオ、M&M、レインボースプリンクルをミックス」…。ミントアイスクリームは好きだけれど、ちょっと尻込みしてしまうテイストだ。

アイスクリームで過剰にエネルギーを補給した後、新丸ビルへ向かう。ここで奥さんのインナーのタートルネック、その上に重ねるレース使いのブラウス、ワンピースなどを購入。正直、この秋冬の女子の服の着方なんてぜんぜん念頭になかったので、道行く人たち(いかにも丸の内OLっぽい、自分たちへの階級的呼びかけに熱心に応えている人たち)の服装を見るともなくチェックしていたのだけれど、こういう着方の人がけっこういたので、きっとこれでいいのだろう。

それよりなにより、奥さんが試着したワンピースが思いのほか似合っていたのには、思わずテンションがあがってしまった。やっぱり、馬子にも衣装、ではないけれど、奥さんにはそこそこおしゃれをしてほしいものだ。

奥さんの買い物でまずは第一ラウンド勝利。ディーン&デルーカでコーヒーを飲んで、ほっと一息ついた後、余勢をかって丸の内の仲通りを闊歩し、今度は自分の買い物。今、仕事に穿ける秋冬用のグレーのパンツがないので、新しいのがほしい、と思っていた。でもって、素材はウール以外で、どうせだからスラックスっぽくないやつがいい。

これを仲通りの路面店で探すがなかなかこれといったのがない。ぶらぶら歩くうちに有楽町まで到着してしまった。しかたないので(いや織り込み済みであったが)イトシアに行ってみる。

先日、ゼミの四年生が、こちらは卒論のできを心配しているのに「イトシア行ってきました」とにこにことしていうので、どんなものか気になっていた。

しかしすごい人出である。丸の内も休日とあって人が多かったが、あちらが年齢層的にも人種的にもある程度選民的なところがあるのに対して、イトシアはまさに老若男女、ありとあらゆる人種がいる。その雑多な雰囲気に気おされて、一周ぐるっと回っただけで出てきた。

ここにも話題のクリスピー・クリーム・ドーナツがあるわけだが、そんなところに並ぶ元気もとてもない。先の四年生に聞けば、「並んでいると焼きたてのオリジナル・グレーズドを一個ずつ配ってくれるんです。で、それで満足して帰っちゃう人も多いです。私ももらって、『よし』って言って帰ってきました』とのことだったので、注意して見てみると、確かに行列の中の人たちはみんな一個ずつドーナツをかじっている。

なるほど、これは賢い売り方である。これで「いっぺんどんなもんか食べてみたい」というレヴェルのお客さんはおおかた帰っちゃうだろう。サーヴィスと混雑緩和をかねているというわけだ。

でもこのときのわれわれには、そのドーナツ一個のためだけに並ぶのもわずらわしい気がした。そこでさっさと丸の内方面に撤退。お昼にいたTOKIAビルに戻ってきたのが17時半過ぎ。今度はVIRONでお気に入りのバゲット「レトロドール」を三本買いだめする。

フランスパンのいいにおいを漂わせながら、もう一度新丸ビルへ。「タブロイド・ニュース」という名前だけは聞いたことのあるお店で(昔、何年も前に京都で取り扱っているお店があった)条件にあったパンツを見つけて購入。5ポケットのスタイルで、ライトオンスのデニム地、色はグレー。

そのほか、マークス&ウェブの入浴剤(期間限定のローズウッドがあったのでこれも参加)、スターバックスの豆などを購入して、買う予定だった品物は全部購入完了となった。どの品も納得できるものが見つかって、全面的に勝利の一日だった。

余力があったのでグランスタもついでに参加。なるほど、今まで東京駅の駅弁&テイクアウト事情に物足りなさを感じていた人たちには魅力的な施設だと思う。ここではブルディガラのクロワッサンとディーン&デルーカでカマルグの塩(いつの間にかフルール・ド・セル=塩の花がペルル・ド・セル=塩の真珠、になっていた)を購入。

夕飯がまだだったので、ここでさらにお弁当を買う。名前はもう面倒くさいので検索しないけれど、丸の内側にあるオーガニック系のデリのお店と、真ん中辺りにあるハンバーグとお惣菜のお弁当のお店に参加。でもって帰りは特急に乗って、車内でこれらのおかずとVIRONのパンにて夕食にする。なるほどふつうのお弁当よりおいしいし、おまけにちょっと気が利いていて楽しい。これでワインがあったらちょっとしたピクニック気分というか、機内食気分というか、そういう趣がそこはかとなくある。新幹線をひんぱんに利用するわれわれ夫婦にとって、こういう施設の登場は非常にありがたい。

9時ごろ帰ってきて、浅田真央ちゃんの滑りを観て、「世田谷ベース」を観て、お風呂に入って、就寝。いい日帰り旅行だった。

追記

…などといいつつ、六本木ヒルズ以降というかなんというか、ミッドタウンにしろ表参道ヒルズにしろ、こんなふうに未来的な建物を作って、その中にテナントをいっぱい入れて、テレビや雑誌でさんざん宣伝して、そこにわれわれのような田舎ものがわーっと押しかける、というこの図式って、ここのところやけにひんぱんに繰り返されているけれど、なんかあまりにワンパターン化しているよなあ。テーマパーク型消費とでも名づけたらよいのだろうか。なんにしても、国全体としてこんなに知性のない消費行動パターンを反復していていいのだろうか。

ま、そう思う自分がどこかでいる一方で、われわれ夫婦は基本的に、よし、来るなら来い、その資本主義の物語にがっちり乗っていってやろうではないか、これも一種のアトラクション、と思っているわけなのだが。

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台風ピザ

また風邪を引いたみたいだ。先週の講義で風邪を引いている学生がいたから、どうもその学生からもらったのだろう。全身がなんとなくだるくて、喉と鼻の奥がすっきりしない。おまけに微熱もある。

どうにも、生まれつき細菌に弱くていけない。とりわけ、こういった仕事の場合は気をつけないといけない。日記を読み返すと、2006年11月にも僕は風邪を学生からもらっていて、次のように書いている。

大学講師みたいな不特定多数と同一空間を占めることが多い仕事(客商売ともいう)は、季節の変わり目ともなるとどうしたって風邪のウイルスにさらされることになる。ひとつの部屋に50人から人がいるんだから、誰か保菌者がいてもおかしくない。これが立派に健康管理している清潔な大人の集団ならまだましだが、連中ときたら歩く培養シャーレみたいなものだから余計にたちが悪い。

誠にもって遺憾ながら、今年もまったく同じ状況に晒されている。今回の風邪はまだ症状が軽いからいいが、これからしばらく続く空っ風の季節、油断は禁物である。

Vfsh0028 こんな状態だが土曜日は症状も軽く、小麦人間の奥さんを焚きつけて自家製ピザにチャレンジした。台風の接近する中、かなりのレヴェルの風雨の中をわざわざ買い出しに行き(ふつうの人は台風の日には宅配ピザを取るのだが、うちは手作りピザを焼くのである)、我が家のホーム・ベーカリーSD‐BT113の機能を活用して生地を作り、ピザソースとモッツァレラ・チーズを乗せ、バジルやらチキンやらピーマンやらもトッピングして、オーブンでこんがり焼き上げた。

この焼き立ては、思わずはたと膝を打つくらいのおいしさだった。グリマルディーズやロンバルディーズのピザとはまったく毛色が違うが、神戸のピノッキオにも通じる、ふっくらした甘い生地に仕上がっていた。ホーム・ベーカリーは侮れないな。

ご機嫌で食べていたら、奥さんは渋い顔をしている。訊けば、もっとクリスプな生地が理想なのだそう。奥さんはこういうことに関しては妥協可能なレヴェルが他人より高い人なのである。

でもその奥さんも、完食後には「こうなりゃ食パン以外のパンも(SD-BT113の機能を使って)焼くか」と言っていたから、最終的には満足したんだろう。

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今季最高のピクニック

Fl000032 日曜日にまた武蔵丘陵森林公園へ行ってきた。

これが今季最高のいい日和で、気温も最高、日照も最高の、ばつぐんのピクニック日和だった。我が家から公園までは約40分のドライブ。トータス松本のソロアルバム『トラベラー』を聴きながら、車を快調に飛ばしていった。

公園に着いたら、ぶらぶらと木立の中を散歩。小一時間ほど歩いた後で手ごろな広場を見つけ、ランチタイム。良くのびた柔らかい芝生の上にレジャーシートを広げ、奥さんが朝から手間隙かけて作ってくれたサンドイッチ(画像参照)を並べた。魔法瓶の中のコーヒーを飲みつつ、このサンドイッチを完食した後は、冷蔵庫で凍らせてきた巨峰がデザート。種をあたりにぷっぷと撒き散らしながらこれも完食。そしたら眠たくなってきたので昼寝に突入。

Fl000030気がつくと奥さんも隣で眠っていた。奥さんの上には木漏れ日が降り注ぎ、それが時折のそよ風に揺れるさまはまるで『種をまく人』の中の絵のようだった。

Fl000034 こういう一日が一年の中にあるから、他の日ががんばれるんだなあ。

ま、連休中の残りの時間はDVDで『スキャナー・ダークリー』を観て、『ガンダムOO』を観て、NY旅行でたまりにたまった『プリズン・ブレイク2』を観てただけなんだけどね。

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おめんとOMEN、あるいは文脈の違い

今月からわが大学も講義が始まった。そしたらその準備にあわせて、来年度入試の作業などもはじまり、なにやら忙殺されてしまった。そのおかげで更新もままならず。

ああ…週3回日記をつけるのが目標なのに…と嘆いてみてもはじまらないので、とりあえずNY旅行記の続きを書く。

Cimg0419 NYでぜひとも行ってみたかったお店は多いけど、そのひとつにこのお店(画像参照)がある。その名も「OMEN」。見た目からはわかりにくいが、われわれ夫婦の京都でのいきつけのおうどん屋さん「おめん」のNY支店である。

「おめん」を知らない人のために説明しておくと、「おめん」とは、ゆでたてのやわらかいおめん(さぬきうどん全盛の今日からすると「やわすぎる」くらいやわらかい)を、白菜、ほうれん草、ねぎ、大根、きんぴらごぼう、ゴマ、茗荷などのたっぷりの薬味とともに、薄味の、でもだしのしっかりきいたおつゆにつけていただく、という、それはそれはおいしいおうどんである。

都並はこの「おめん」の大ファンで、京都に住んでいたときはしょっちゅう食べに行っていたし、今でも帰省して寄れるチャンスがあると必ず寄る。なによりも味そのものが、関西の和食文化で育った都並の胃袋と心を同時に癒してくれるからである。

けれども、それだけがここに通う理由ではない。この「おめん」は、発祥は群馬県伊勢崎市らしいのだけれど、都並にとっては、ある意味で京都の食文化の一端を象徴している食べ物なのである。

どういうことかというとうまく説明できないけれど、そのお店のたたずまい、おだしの味、薬味たっぷりの存在感、お客さんの質、その他いろいろのものが、京都に住んでいるということ、言い換えれば、伝統的な日本文化と新しい外来文化の両方に足をつけて生活しているということ、その生活感を如実に反映している、とそう思っているのだ。

ふつうに日常生活の中に錦市場があり、町家があり、寺社仏閣があり、祇園祭があり、和菓子の名店があり、お持たせの文化があり…。そういう京都のくらしの生活空間と価値観のなかに、「おめん」は違和感なく根を下ろしていて、日常的に愛されている。お店に入るたびに、なぜだかそんなふうに感じるのである。

そんなふうに「おめん」さんのたたずまいと味の大ファンである都並としては、お店への限りないリスペクトを表すためには、NYに行くならば支店に詣でないわけにはいかない(今回の旅は全体的に都並のpilgrimageの旅だったのです)。

というわけで、ソーホーのはずれにあるNY支店を訪ねてきました。

結論からいうと、今述べてきたような「京都」という文脈と切り離されたことで、「OMEN」はただの「和食」になっていた気がする。

Cimg0420 といっても、味が劣っているというわけではない。ここは誤解のないようにしておきたいのだけれど、「OMEN」さんの「OMEN」は「おめん」さんの「おめん」とほとんど変わらない。味はそっくりだ。

細かい点をいうと、運ばれてくる器が違うのと、京都のお店のほうが薬味が多いのと、京都のほうはおめんの上に柚子の皮をきざんだものがちらしてあるのが、NYにはない、という違いがあるが、それは微々たる差であって、両者はほとんど同じもの、といっていいだろう。

ほかにも、このお店では「揚げ出しの炊き合わせ(確か、なすと豆腐と、ししとうかな?)」と「てんぷら盛り合わせ」を頼んだけれど、ちゃんとおいしいものが出てきた。海外で和食を頼んだときにありがちな「うんっと…確かにこういうことなんだけど…なんか違うような…特にこれ…ほんとにネギ?」とかいうことは一切ない。

つまり、ここではほんとうの和食が食べられるのである。余談だけどビールも、キリン、アサヒ、サッポロと日本のメーカーから選べる。店員さんは「一番絞り」のことを海外での名称である「イチバン」と言っていたけど(その店員さんも日本人らしかったんだけど)。

でも、不思議と食後には違和感が残った。

それはなぜか、ということを考えてみるに、やっぱり文脈の違いが大きかったんだと思う。「おめん」が、僕の中で存在理由を得るのは、その他もろもろの京都のお料理という文脈においてみて、その味のバランスとセンスのよさがきわだってくるからなのだろう。

それが、一度その文脈をとっぱらってしまうと、せっかくおめんが達成している微妙なニュアンスを比較する対象がなくなってしまう。野球にたとえると、バッターがいなければ、内角低めの絶妙な球も存在しないのと同じことだ。そこにはただの「低い球」しかなくなってしまう。

そういう意味で、「OMEN」はただの「和食」だったのである。でも、おいしかったけどね(小理屈はどうでもよくて、純粋にあの味が好きな人はぜひ行かれるといいと思います。それから、長逗留で和食が恋しくなった人もぜひ。京都のお店よりメニューが豊富で、味は同じくらいよくて、値段はNYではリーズナブルです)。

ちなみに、「OMEN」に行きたかった理由はもうひとつあって、このつづりのことである。あのホラー映画の「オーメン(前兆、という意味)」と同じつづりなので、なんとなく誤解されるんじゃないか、場合によっては怖がられるんじゃないか、とかねがね思っていて、そのへんのところを現地の店員さんに聞いてみたかった。おまけに、実際行ってみたらほら、お店の概観も上の写真みたいな、ちょっとゴシックな感じだし。

で、今回たまたま僕たちのテーブルについてくれたお兄さんが、大阪出身の気さくな人だったので、帰り際に聞いてみた。その回答は

「怖がられる、ってことはないですけど、みなさんやっぱり「前兆」という意味だと思うみたいです」

とのことであった。小さな疑問が解決してとってもすっきりした。

追記:「OMEN」はソーホーの、トンプソン・ストリート沿いにあります。客層は若者から家族連れ、ビジネスマンまでさまざま。日本人とその他の国籍・人種との比率は半々くらいでした。僕らが行ったときには、真後ろの席がアラブ系の家族で、おしゃれな重箱入りのお弁当を食べていました。お母さんは子供用に割り箸をティッシュと輪ゴムで結んであげていました。その横は大阪から来た女子大生四人組。カウンター席にはエリック・クラプトンに似たしぶいおじ様が、ひとりでお酒を飲んでいたりもしました。

18時ごろ行ったので空いていましたが、人気店みたいなので時間帯によっては混むかもです。

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シチュー日和

ほんとにただの日記です。

この土日は気温がすごく下がった。ついおとといまで30度を越していたわが町が、いきなりの20度切り。日中半袖ではもう寒く、秋の装いである。

そういえばこの間滞在していたNYもTVの天気予報で「季節外れの涼しさ」「秋の雰囲気」というくらいに涼しくて、ちょうど今くらいの温度だった。たかをくくって厚めの上着を持っていかなかったので、慌ててアバクロ(Abercrombie & Fitch)でスウェット・パーカーを購入。それが非常に重宝したのであった。

そんなわけで土曜日は、どのみちまた少し気温は盛り返すのだろうけど、これからの季節の仕事着を調達にでかけた。春先にもジャケットを買い足したのだけど、もう一着ほしいと思っていたのである。例によって(ひとより腕が短いので袖を詰めずに済むものを)色々探し回った結果、今までのお買い物人生において足を踏み入れたことすらないタケオキクチさんで買い物をした。

買ったのはいわゆるジャケブル(ジャケット+ブルゾン)というシロモノ。なんだか今流行っているのかちょっと前に流行が終わったのかしらないが、ぱっと見にはジャケットだけど、ラペルをめくるとチンストラップがあったり、背中にアクション・プリーツがあったりする、ちょっと小技の効いたジャケットというようなものである。一風変わったものが好きな都並はどうしてもこういうものに目がいってしまう。

まずまず納得の買い物をしてほくほくしつつ、帰りに大型ショッピングモールによって今日の食材を購入。今晩の夕食はその食材をもとにした奥さんお手製のクラム・チャウダーである。涼しくなってきたので、いよいよ今年もル・クルーゼの鍋の登板シーズンが始まった。その開幕を記念してのチャウダーである。

しかも、いつも買っている「コスモ直火焼・銀のクリームシチュー・ルー」が売っていなかったので、「ならホワイトソースから作るわ」と奥さんが手間隙をかけている。なんと素晴らしい秋の宵であろうか。

素晴らしいといえば、雨の富士スピードウェイ、大混戦の中でのルイス・ハミルトンの走りは素晴らしかったですね。最初10何周セーフティ・カーが入って、どうなることかと思いましたけど、ふたをあけて見れば面白いレースでした。多数のピットストップで計算狂いまくりのはずのフェラーリがあんなにも善戦したのもエキサイティングでした。

うーん、全く内容がないなあ。高度資本主義社会のコモディティ・フェティシズムにまみれて秋の夜は更けゆく。

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チェルシー・マーケットとカップ・ケーキへの挑戦

Cimg0190 ココログのアクセス解析をのぞいていたら、「チェルシー マーケット」という検索キーワードの方がいらっしゃったみたいなので、本日二本目の記事ではあるけれど、簡単にチェルシー・マーケットについてご報告します。

チェルシー・マーケットは、もともとナビスコのオレオの工場だったところを改装してできたマーケットらしく、そういわれてみると外装の雰囲気は多少いかつい気がしないでもありません。

立地も、ミート・パッキング・ディストリクトという、かつて食肉・食品加工工場が立ち並んでいたエリア(それでもって最近おしゃれなお店が増えて話題になっているエリア)とチェルシーの境界にあるので、外から見る限り無愛想で近づきにくい感じも漂っています。

Fh010013 ただ、その内部はというと、その出自ゆえのスチーム・パンク的なたたずまいを利用して、ほどよくコンセプチュアルに仕上げられたテーマパーク的集合店舗に仕上がっているので、僕みたいにLOMOを首から提げてちょっと変わった旅行写真を撮ろうと目論んでいる人にはオススメだと思います。

じっさい、僕はここでちょっとしたシャッター・ハッピーになりました(写真は同じようにデジカメで写真を撮っている奥さんを背後からゲリラ撮影したものです)。

Fh010016 入っているお店は、マーケットなので食品店・食材店が多いのですが、NYでもトップ・クラスのベーカリーといわれる「エイミーズ・ブレッド」や、エスプレッソ専門店のスタンド「ナインス・ストリート・エスプレッソ」、それからおしゃれだけど気を遣わないでもよさそうなレストランなんかもあって、ぶらっと立寄っても、ごはんを目当てに行っても、いろんな目的に対応してくれそうなかんじです。

僕らはたまたまコーナー・ビストロのハンバーガーを食べたところだったので、レストランは素通りしてきましたが、それでも何軒かのぞいて、モノを買ってみたのでご報告します。

Cimg0196写真は乳製品専門店の「ロニーブルック・デイリー」です。乳製品といってもどうやらチーズなどではなく、ショウウィンドウの品を見る限り牛乳中心のようです。となると旅行者には買いにくそうに思われますが、一方でアイスクリームも売っているので、暑い時期や甘いものがほしいときにはいいのではないでしょうか(NYは甘いものだらけなので別にここでなくてもいいんだけど)。

面白いのは、自家製のアイスクリームをどれかひとつ選ぶと、同じく自家製のミルクと合わせてシェイクを作ってくれることです。奥さんがこれにチャレンジしたのですが、濃厚でとてもおいしい、とのことでした。僕はとても飲めそうにないのでアイスコーヒーを頼んだのですが、こちらも濃厚でおいしかったです。それもそのはず、良く見ると向かいのエスプレッソ専門店のコーヒーでした。

Fh010012 他にも、ワイン専門店にはフランシス・コッポラのワイナリーの品もあり、週末に結婚式を挙げた後輩のために一本買って帰ろうかなあ、という気にはなったんだけど、持って帰るには重すぎるので断念。「滞在中に自分が飲む用に買えば」と奥さんから提案がありましたが、奥さんは飲めない体質なので、一人で一本飲みきる、というのも大変です。

Fh010009マーケット内の風景をもう少し。店内に水が落ちていたりとか、古臭い消防設備みたいなものがそのまま残されていたりとか、工夫が凝らされていて楽しめます。要は、東京ディズニー・リゾートのアトラクションの、順番待ちの列のための内装の雰囲気を楽しめる人には、とっても想像力がふくらむ場所だと思います。

ほかに参加した店はブラウニー専門店の「ファット・ウィッチ・ベーカリー」。アメリカ的な甘さはあるものの、上質な味のブラウニー屋さんで、ラッピングされたものは日持ちも多少するので、お土産にはいいと思います。ブラウニーにはいろいろ種類があるんだけど、それぞれが「白い森の魔女」とか名づけられているのも面白い。店内には日本語の表示もあるので安心。保存法など細かく教えてくれます。

Cimg0203 商品はこんなかんじ。日本の平均的なブラウニーと比べて大きいのかどうか、ブラウニー自体詳しくないのでよくわからないけど、試食した感想としては、朝にひとつ食べるとお昼まで元気に働けそうな一品、という感じでした。

Fh010022_2 そのほか、「エレニーズ」はいかにもアメリカらしい、はっきりとした(一歩間違うとけばけばしい)色使いのクッキーとカップ・ケーキのお店です。味は、アメリカ的なクッキーの直球の味ですが、自由の女神とか、イエロー・キャブとか、モチーフはキッチュで面白いです。

Cimg0224 こちらも、お持ち帰り用の箱詰めセットなんかも売っているので、お土産にはいいかもしれません。ただ、割れてしまうかもしれないですけど。じっさい、店内の見本がすでに割れていたりして、そういうアバウトさも「いかにもアメリカ」なのかもしれません。

Cimg0200 ここでは僕はカップ・ケーキに挑戦。『セックス・アンド・ザ・シティ』で「マグノリア・ベーカリー」が取り上げられたりした結果、今もNYで大流行しているというカップ・ケーキ。そういえば『プラダを着た悪魔』でもアン・ハサウェイがバースデーに「マグノリア…」のカップ・ケーキを買っていたりしました。

というわけで、研究者としてはここは食べずばなるまいと。ただ「マグノリア・ベーカリー」はちょっと離れているし、保健所立ち入りで閉鎖のニュースもあったので、今は再開しているかわかんないし、で、ここで試すことにしました。ちょっとした、自分自身への理由なき罰ゲームみたいなものです。

さいわいにしてこのお店はひとくちサイズを売っています(画像参照)。味は何色でもいっしょだと思うので、色彩感覚的にいちばんありえない青をチョイス(映画『アリゾナ・ドリーム』の青いケーキとか『アバウト・シュミット』の灰色のケーキとか、ほんとにアメリカのケーキのクリームの色ってありえないと思う)。

ひとくちで口に運び、咀嚼の後嚥下します。最初は「まあ、こんなもんか」という程度の甘みで、生地の香りもふんわりしてきたので、奥さんに「ぜんぜん大丈夫」と告げます。ところがその後から強烈な甘さが口いっぱいに広がります。たとえるなら、さっきの甘みはプラカードを持った女子高生で、今度のがユニフォームを着た野球部員、というくらいのレヴェルです。

これにはまいりました。どうしてこんなものにNY女子が群がっているのか。そしてどうやって体型維持をしているのか。おじさんには検討もつきません。

気がつくと奥さんは隣で冷ややかな目で「だからやめときなっていったでしょ」と言っています。さっきバニラシェイクを飲み干した同じ人とは思えない発言でした。

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欲望という名の菓子屋

山陰地方に広く展開している洋菓子店。どうしてこんな名前になっちゃったんだ。

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グリマルディーズとロンバルディーズ(2)

Cimg0379 ブルックリンのグリマルディーズとは異なり、ロンバルディーズはマンハッタンにあるので行きやすいお店です。場所もソーホーとノリータの境目にあって、夜遅くまでにぎやかな地域なので、ぶっそうな雰囲気もありません。最寄のプリンス・ストリート駅からもすぐです。

ここも、グリマルディーズに負けず劣らず並んでいます。どちらの店にもいえることですが、並んでいるのは地元の人たち、常連さんが中心のようで、観光客ばかりというわけではありません。

ここのお店は、グリマルディーズとは違い、着いたらまずお店の入り口で名前と人数を係の人に告げる必要があります。それから、店の近辺でうろうろして自分たちの名前が呼ばれるのを待つ、ということになります。つまり、日本のファミリー・レストランでおなじみの方式ですね。

僕らも外でうろうろしていたのですが、窓越しに見ていると、書かれた名前のリストをもとに、フロア係さんがつぎつぎに客を裁いていきます。この係の人が、外のお客さんに聞こえるようにマイクを使って、「○○さん、何名様」と呼び出していくので、それを良く聞いていましょう。自分の名前が呼ばれたら、中に入ります。するとウェイターさんが席まで案内してくれます。

余談ですが、この名前を仮名にして店内の客の笑いをとる、というのもアリです。じっさいこれは僕が友人と退屈な大学生の頃に大阪でやっていたことなのですが、ここのお客さんもそういうべたなことをしっかりやっていました。自分たちの番が来る少し前に、「マイケル・ジャクソンさん、3名様」「つづいてエルヴィス・プレスリー様、4名様」という放送が聞こえて、店内がわっとどよめきました。

これは悪戯好きの我々夫婦としてはとても参考になり、帰りの地下鉄の中では「次からは名前決めていこう」「僕は東洋人だし鰤彦だからブルース・リーがいいかな」とちょっと盛り上がりました。

Cimg0385 店内はこんなかんじ。グリマルディーズよりしゃれっ気があります。どうでもいいことですが、流行りすぎて増改築を重ねたのか、僕らの着いたテーブルまでの道程は複雑で、途中厨房なんかをかすめて通っていくという、そういう位置にありました。だからフロアはこれよりずっと広いです。この三倍から四倍はあるんじゃないでしょうか。

Cimg0383でもって ピザはこんなかんじです。画像だけでは分かりづらいと思いますが、グリマルディーズよりしっかりたっぷりとトマトソースが乗っています。チーズも二種類のチーズが乗っていて、こってりしっかりとした味付けです。手ごたえもそのぶんへヴィ。こちらも、デフォルトのトッピングは決まっているので、好みで肉類を足していくシステム。このときはパンチェッタとアンチョビを足しましたが、アンチョビは半身がぼん、と乗っているのでちょっとしょっぱ過ぎました。

全体にずっしりたっぷりしているので、これもSサイズですが食べ切れませんでした。こちらの店はサイド・メニューにサラダがあったので、それをとってみたのも敗因のひとつですが。

味付けとしては、好みが別れるところだと思いますが、こちらの方がトマト味がしっかりしています。グリマルディーズが中日ドラゴンズだとしたら、こちらは読売巨人軍、そういう味付けです。

Cimg0374 この大物ピザを食べ終わってもし胃袋に余裕があったら、すぐ近くにある「ライス・トゥー・リッチィズ」をどうぞ。こちらは日本では珍しいライスプディングの専門店ですが、けっこうはやっているみたいです。実際僕らも食べてみたのですが、かなりいけました。「これ、誰か日本に輸入したらはやるんじゃないか」と思ったほどです。

店内にはアイスクリーム・ショップのように容器に入ったプディングがずらっとディスプレイされており、試食は自由のようです。ショーケース越しに店員さんによびかけると、スプーンに一杯、試食をさせてくれます。フレイヴァーもアイスクリームみたいにカプチーノとかフルーツ系とかがあります。

気に入ったのがあったら、サイズとトッピングを指定して購入です。サイズによって呼び名があって、「ソロ」を標準に大きいものには「スモウ」というのがあります。この「ソロ」がすでにわれわれ日本人には大きすぎるのですが、ご安心を。いくつかの基本の味、チョコチップとかチーズケーキとかには「ディーヴァ」という日本人向けスイーツ・サイズがあります。

Cimg0372 今回食べてみたのは、チョコチップとチーズケーキですが、ここにトッピングのグラハム・クラッカーをかけるとかなり美味です。

さて、ピザを食べきれなかった我々がどうしてこのプディングを食べられたか。それは、ピザを食べる前に、待ち時間があったので、このプディングを食べてしまったからです。だからピザを食べられなかったんだな。

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グリマルディーズとロンバルディーズ(1)(NYの二大「行列ができる」ピザ店)

表題のとおり、NYのガイドブックには常に掲載されている、二大「行列ができる」ピザ店に行ってきたので報告します。

Cimg0136 結論から言うと、僕ら夫婦のオススメはグリマルディーズです。場所はブルックリンのダンボ(Down Under Manhattan Bridge Overpath、すなわち「マンハッタン橋の下」の略。向こうの人は略語が上手だ)にあって、流行のウィリアムズバーグに行く予定もなく、マンハッタンばっかりを観光するつもりだと、地下鉄にも乗らないといけないし、多少最寄の駅からも歩くし、と多少おっくうな場所にあるのだけれど、それでも出かけていく価値はあると思います。

歩くといっても、地下鉄②③番線のクラーク・ストリート駅から10分ほど、道もわかりやすくて迷うことはありません。

まず、ここのピザのよさは味の絶妙なバランスです。画像でお分かりのとおり、トマトソースは控えめ、チーズもまばら、だけど生地の味がしっかりしているので、さくさくと食べられる、そういうピザです。塩分も濃過ぎず食べやすいです。うまく書けないけれど、味全体に説得力があって、「なるほど、美味いピザとはこういうことか」、と思わされます。

Cimg0133 お店の雰囲気はまったく気取らない感じで、ざっくばらんとしています。そういう意味では、ロマンティックなお店ではありません。いったことないけれど荻窪のラーメン屋とか、下町のうまい中華料理屋とかにいって、「ここはさあ、お店の雰囲気は少しアレだけど、うまいんだよ」というそういうお店です。そういう観点からはそれらしいムードのお店とも言えます。

行列ですが、僕らが着いたのは20時ごろと少し遅い時間だったのですが、それでもお店の前にはすでに先客が。というのも、ここのお店はテイクアウトも同じ行列に並ぶので、余計に列が伸びているようです。

お店にたどり着いたら、店内の店員に名前を告げるとかいった手続は必要なく、その前に素直に並びます。僕らの場合、週末ではなかったのですが、1時間近く待ちました。

お店に入ると、ピザのサイズとトッピングを頼みます。サイズはSとLがあるのですが、Sが16インチ(約40cm)、Lが18インチ(約45センチ)ですので、ふつうの日本人のオトナなら、性別を問わず、ふたりでSサイズで充分です。トッピングは、何も指示しなければあらかじめソースとトマト、チーズ、バジルが乗っているので、ここにお肉(ペパロニとか、ソーセージとか)を足します。何も足さないのもアリです。そういうお客さんもたくさんいます。

サイドメニューはたいしたものはないし、もうこのピザだけでかなりのボリュームなので、それに専念してください。飲み物は、ここはひとつ、地ビールのブルックリン・ラガーにしましょう。こういうところで地元の人におもねるわけですが、ブルックリン・ラガーはびしっとキレのある苦味のあるおいしいビールですので、ピザにはよく合います。

Cimg0156 お店を出たら、来た方向とは逆側に向かって歩いていきましょう。ライトアップされたブルックリン橋と、対岸のマンハッタンの夜景が楽しめます。この夜景もコミで考えると、ブルックリンまで出かけるのもぜんぜん無駄ではないと思います。時間が早ければ、橋のたもとにあるアイスクリーム店でデザートも楽しめます。

もっとも、日本人の胃には大きすぎるピザを食べて、まだ容積に余裕があれば、の話ですが(僕らが列に並んでいるときに店を出て行った、地元の若い女の子達は「さ、いつものようにアイスいっとくか」と意気揚々と出かけていきましたが)。

長くなってしまったのでロンバルディーズはまた別記事で。

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渡米

明日から一週間ほどNYへ行ってまいります。その間、原理的にはホテルのビジネスセンターからも更新できるのですが、たぶん精神的にも肉体的にもそんな余裕はないので、帰ってきたらまとめて更新する予定です。

といいつつ、帰ってきたら新学期の準備で忙殺されて、その時間が取れないかもしれないのですが…。

こうして世の中の多くの人が、充実した旅行を体験しながらも、その体験記をまとめることがかなわずにまた次の旅行に出かけていくのだろうな…。そういう僕自身、去年のフランス旅行では詳細にメモを撮っていたのにもかかわらず、その旅行記がまとめられていないし。

ともあれ、本場のミュージカルと美術館&博物館、ナイキタウン、それからベーグルやらドーナツやらカップケーキやらの小麦製品(?)を楽しんできます。

僕自身の旅行プラン自体が巷間にあふれる情報の収集結果に基づいているので、新情報の提供ということには程遠いと思いますが、また帰国後時間を見つけてご報告したいと思います。

では、行ってきます。

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○○の秋

Vfsh0001 先だって書いたとおり、日曜日は東京へ旅行の準備の買出しに行ってきた。

まずはLOMO LC-A+のためのフィルム。新宿まで出て、東急ハンズにいったついでに高島屋のベスト電気に行ったら扱ってなくて、結局ビックカメラで買う羽目に。だだっぴろい売り場の隅のほうで肩身狭そうにしているコダックをようやく発見。

「しばらく足りる分買っといたら」という奥さんの助言で20本ほど買いだめする。このうち10本はNY旅行で使う予定。

いやはや、35mmを買うのに東京くんだりまで出てこなくてはならないとは、本当に銀塩フィルムはなくなってしまうのだろうか。かつてアナログレコードのコレクターが味わった恐怖をいまやフィルムカメラ愛用者が体験しているわけだが、アナログレコードのようにフィルムも生き残ってくれるだろうか。このことは以前からうすうすわかっていたこととはいえ、事態の進度のあまりの速さに慄然とする。

その後は気を取り直して伊勢丹へ。日曜日とあって買い物客でごった返す地下の食品売り場へ赴き、アンリ・ル=ルーの塩キャラメル・アソートを購入。ショコラ、カシス、フランボワーズ、アナナス(パイナップル)、オリジナルの5種類×2の10個入りで1500円なり。これを高いと思うかどうかは人それぞれだと思うけれど、個人的にはまあまあ納得の値段ではないかと思う。

ショコラを早くも試食してみたのだけれど、濃厚なわりにえぐくないカカオの味が好感触で、チョコレート味のキャラメルにありがちなキャラメル本来の味とのミスマッチ感もなくおいしかった。残りは旅行に持っていこうかな。溶けちゃいそうだけど。

そのほか、メゾンカイザーで朝食のパンを買いだめした後、中央線で丸の内に移動。

丸の内ではTOKIAビルB1の「きじ」(大阪一のお好み焼き屋だと個人的に思っている店)の支店に入る。17時ごろだったのでさほど並ばなかった。支店だからといって、滝見小路の店と同じ味とはかぎらない、と警戒して行ったのだが、これが、多少ニュアンスの違いこそあるものの同じおいしさを再現していた。そんなわけで、ひさしぶりのスジモダンとミックス焼きに舌鼓を打ち、思いがけない胃袋の里帰りを果たした。満足満足。

その後丸ビルのマークス&ウェブでアロマ・キャンドルと入浴剤を買い足した後、オアゾの丸善に飛行機の中で読む文庫本を買いに行く。

いろいろ迷った結果、うちの近所では売っていない白水Uブックスの、スティーブン・ミルハウザー『イン・ザ・ペニーアーケード』(柴田元幸訳)を購入。やっぱり飛行機の中で読むのだから、これから海外に行こうという気分を盛り上げてくれるものがいい。そういう意味ではいかに面白かろうと『大阪学』なんかはもってのほかで、やっぱり海外文学が最適である。しかもミルハウザーは一応生まれもニューヨークなので、ちょうどよかろう。

実は都並は去年の今頃も、新婚旅行でパリに行く飛行機の中で、同じ理由から(同じ訳者による)スチュアート・ ダイベックの『シカゴ育ち』を読んでいった。さらには何年か前にプーケットに行ったときには、こともあろうにわざわざプールサイドで水着姿で『老人と海』を読んだりもした。こういうことを書くとたいへん単純かつミーハーな行動でお恥ずかしいけれど、やっぱり気分から入らなきゃと思ったのである(そういう意味ではパリにはデュラスなんかを読んでいくともっと良かったのかもしれないけど、実際読む作業自体が苦痛では元も子もないので、多少作家の選り好みをしました)。

買い物に満足して帰ろうと思ったとき、映画の棚で、とんでもないブツを発見(実際には発見したのは奥さん)。

なんと、僕がいちばん影響を受けているアメリカの有名研究者の大著が、翻訳されて名古屋大学出版会から出ていた。

これが日本語になるなんて。みんなこれを読めるなんて。と思わず『マスク』のジム・キャリーのように目玉を飛び出させ、あごをはずしながら驚いた。この本の存在で、今後の学生レヴェルでの論文の方向性はがらっと変わってしまうだろう。

しかも訳している先生のうち半数くらいは面識のある若手の先生方なのである。なのに翻訳の情報はぜんぜん知らなかった。それだけに余計にびっくりした。

一冊買おうかと思ったが、原語のを持っているのでやめにする。

家に帰ったら、阪神が巨人とまだ試合をやっていたので観る。延長の末の勝利、首位死守、10連勝。思わずガッツポーズをする。

Vfsh0004 その後お風呂に入り、奥さんと今度はF1イタリア戦を観る。やっぱりハミルトンはすごいわ。アロンソもすごいけど、あそこでライコネンを抜いたのはやっぱりすごいわ。

今までF1はおろかモータースポーツ自体あまり興味がなかったのだけれど、最近のF1はほんと面白いと思う。主力ドライバーの多くはまだ20代だし、今後に注目したいドライバーがたくさんいる。それになんといっても、ソフトタイヤとハードタイヤの両方を使う、というルールが、レースに戦略性を増して、観戦をより面白くしていると思う。そのせいかクラッシュも増えた気がするし(錯覚かもしれませんが)、そういう意味ではなんとなく格闘技じみてきた趣もある。

Vfsh0330 そういえば日曜日はあちこちにF1が展示してあった。富士スピードウェイの宣伝のためだろう。新宿の小田急にはホンダ(もうすこしがんばってくれるといいのに)、東京駅の丸の内の地下にはルノーが展示してあった。探せばどこかにフェラーリやマクラーレンもあったのだろうか。探してまで見に行こうとは思わないけど、ホンダとルノーはいちおう写真を撮ってみた。

明けて今日、大学に来たら、昨日丸善で僕を驚愕させたブツが届いていた。謹呈ということでいただいたらしい。買わなくてよかった。訳者の先生にお礼のメールをしておかなければ。そして「次回こういう話があったら参加させてください」といわなくては。

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フィルムがない

週三回の更新をノルマとして自らに課しているので、ここのところ個人的に大きなトピックはなかったけれども、書く。

この二日ばかりは、台風9号の影響で自宅で仕事をしていた。早い時点から、どうもコース的に直撃らしいことがわかっていたので(最終的に我が家の真上あたりを通過していったもよう)ニュースをずっとつけていたら、我が町の北側と南側を東西に流れる二本の川が、ぐんぐんと増水しているとのことだった。これがやがて、日の落ちる頃だったか、氾濫危険水位を超えるところまで増水しはじめたというので、奥さんとふたりでやや戦々恐々たるおももちで見守っていた。

とはいっても、我が家のある駅前辺りは同じ市内でも高台にあるので、直接の被害を危惧していたわけではない。それでも最終的には市内の100世帯以上に避難指示が出る、というレヴェルに達したので、被害が身近に迫っているという実感はあり、そういう意味ではなかなかに恐ろしい体験ではあった。

しかしながら一方では、ニュースを見ていると「台風で交通機関が止まることが予想されるので、明日の出勤のため前泊する利用客で都内のビジネスホテルはどこも満室」などとのたまっており、そういう人たちに比べると自分は、何も苦労はしなかったのも事実である。そういう意味では僕はだいぶ恵まれた境遇にいるのだろうなあと(やや申し訳ない気持ちとともに)思う。

そんな台風であったが、今日の前中こそ風雨も残っていたものの、午後遅くからは太陽も出てまた暑くなった。

天気がよくなったので旅行の準備をしようと思って、近所の大手電気店とカメラチェーンにでかけた。我が愛機LOMO LC-A+のための35mmフィルムを買うためだった。

が、これがあろうことか売っていない。

ないといってもフジフィルムのASA400のものくらいはもちろんあるのだが、愛用しているASA100は全くといっていいほど置いていない。さらには、贅沢をいえば、フジのものは多少値が張るのでコダックがよかったのだが、コダックに関しては感度に関わらず一本も置いていないのである。カメラの○○○○がである。これには驚愕して帰ってきた。

ついにそんな時代が来たか。それともわが町が田舎過ぎるのか。確かにニンテンドーDS LiteもWiiも在庫あるけど。しょうがないので日曜に東京まで出かけるついでに買うことにした。

しかたないので帰りに奥さんとスーパーによって、梨など買ってもらう。ここのところ我が家では秋のフルーツの時代が到来していて、桃、ピオーネ、幸水が好調阪神タイガースのJFKのようにローテーションしている。こういう、当たり前のようでなかなかできないことが当たり前のようにできる、きちんとした食卓が実現されているのは、ひとえに奥さんのおかげである。感謝感謝。

ちなみにこの二日間の夕食。今日は麻婆豆腐と芋蛸、だだ茶豆。副菜に柴漬けとちりめん山椒。デザートに梨。昨夜は豚の生姜焼き、小松菜としめじの炒め物、だだ茶豆(今我が家でブーム。ふつうの枝豆より味が濃いのがおいしい)。副菜は同じ。デザートは桃。

↑ところで実はこれはちょっとダイエットのためにおかずの品数を減らしてもらった。先週など気がついたら6品くらいおかずがある日があって、これはちょっと歯止めをかけようということになったのである(その日のメニューは、秋鮭のホイル焼き、冷奴、揚げと小松菜の煮びたし、かぼちゃの煮っ転がし、枝豆、奥さんの手作りのひじき、五穀ごはん)。

ビールも旅行で飲みそうなので禁酒中。

もう一週間もしないうちに旅行かと思うとドキドキわくわくして落ち着かないのだけれど、この年になってここまでわくわくできるというのはいろんな意味で幸せな人間なのだろうな。

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インド式計算術

一週間ほど更新をサボってしまった。

といって取り立てて忙しかったわけではなく、この一月ほどかかずらっていた英文での論文も書評も締め切りまでに無事提出できた。逆に今回は週の前半に原稿が出せたので、実は時間的に余裕があったほうですらあった。

英語の論文のほうはしかも、ネイティヴの先生に英文のチェックを頼み、「よく書けているよ。ちょっと英語がセカンド・ランゲージの人の英語、って感じがするけどさ、それはだって事実そうなんだもんね」とお褒めの言葉をいただき、10,000 wordsの字数制限のところを9,900wordsちょいというすごいぎりぎりのところまで突き詰められたので、まずは満足であった。

それと書評とを両方期限までに無事提出したので、達成感と解放感からついつい日記の更新も怠ってしまったわけである。

まあ、それが査読を通って掲載されるかはわからないのだけれど…載らなかったらまた再利用しよう。

それはさておき。昨日は奥さんと近所のインド料理屋さんにカレーを食べに行った。いや、正確にはナンを食べに行った。自他共に認める「小麦人間」である奥さんの大好物のひとつがナンだからである。

Vfsh0314 このカレー屋さん、外見は国道沿いのいかにも「昔は別店舗(おそらくファミレスだった)のを改装しました」というようなたたずまいで、ちょっとひっそりと営業している。だから人によっては「だいじょうぶかな」とちょっと不安にならなくもないとは思うけれど、入ってみるとそのクオリティは予想を裏切ってとても高かった。これはいわゆるうれしい驚きであった。

熱々の鉄板の上で煙を上げている状態でサーブされるタンドーリチキン、シシカバブ(どちらも僕の大好物)、それから僕の顔ほどもあるナン。辛味は日本人向けに抑えられているものの、味はとことん本格的なカレー。どれも思わず「うんうん。これだよね」とうなずいてしまうくらいおいしかった。

個人的にヒットだったので心のお気に入りに入れる。

でも悲しいかな、意外とはやっていない。こんな片田舎で、これだけ本格的なインド料理が食べられるお店が、経営不振でつぶれては困るので、皆さん行ってあげてください。

本庄市の、アンベールというお店です。絶対後悔はしないはずです。京阪神のカレーを食べ歩いた自称カレーの王子こと都並が保証します。

お店のスタッフさんもどうやら全員本場の人らしいのも(中には肌の色が墨のように黒い人もいらっしゃいます)、クオリティに説得力を添えています。しかも皆さんエレガントかつ手際よく、料理もテンポよく出てきて気持ちいいです。

ただ、おつりの計算はあちらとこちらとで違うのか、日本だと4,684円のところを10,700円出して、6,000円と小銭でおつり、という払い方をよくしますが、ここでもそうしたら、レジ係のお兄さんはちょっと混乱していたようでした。ぽん、と切りのいい紙幣を出したほうがよいのかもしれません。

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手間のかかったミックスジュース

ずいぶん日にちが経ってしまったけれど、6月に弟くんが沖縄に研修に行った際に買ってきてもらった、沖縄バャリースの「シークヮサー入り四季柑」を、月曜日にようやく受け取った。

Vfsh0239「シークヮサー入り四季柑」は、以前の記事でも書いたとおり、所ジョージさんが自分の番組でマーティネリのアップルジュース(画像)と混ぜて飲んでいたもの。この味がどんな味かずっと気になっていたのだけれど、ようやく試すことができた。

簡単に言うと、配合のバランスにも寄るんだろうけど、ベースはやっぱりりんご。でもりんご特有のねっとりとした甘さが、柑橘系の酸味によってすっきりとしたキレに変わっている。そして後味はかなり柑橘系。青いみかんのような爽快さが残る。たしかにあまりない味である。ただ、これを作って飲むには両方のドリンクを手に入れないといけなくて、どちらも関東ではときどき見かけるのだが、マーティネリは300円、四季柑は600円もするので(だから弟くんに買ってきてもらったという話)、費用対効果がどの程度あるかは微妙かもしれない。

それよりも最近はもっぱら、この四季柑をクリスタルガイザーなどのガス入りミネラルウォーターで割って飲んでいます。それはそれは爽快で、甘みなど全くなくて、栄養価も高いだろうと思うと夏には最適じゃあないだろうか。これで焼酎を少し入れてもおいしいだろうな。

実は今家に黒霧島の原酒があります。ふふふ。

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渋谷でランチ/三十路でデビュー

本日休日の奥さんの弟くんと待ち合わせ、渋谷でランチをしてきた。弟くんは船橋で、都内どこでもアクセスに不便はない、というので、我々夫婦が行きやすい渋谷にしてもらった。

行ってきたのは、先日より夫婦してそのバゲット(レトロドール)のおいしさにはまっている「VIRON」。ランチはまだ未体験だったし、奥さんが「フランスのビストロみたいなところがいい」というのでここにしてみた。渋谷のハチ公前から歩いてすぐ、東急の向かい、というのも田舎者の我々にはわかりやすい。猛暑の中をえんえん歩かなくても済むし。

ランチの価格帯はいろいろだが、ここでは「めったにこないし」と二皿のコースにしてみた。前菜一品、メインが一品、デザート、コーヒーというメニューである。価格は3000円台の後半だから毎日食べられるものではない。

Vfsh0307 まずは奥さんの頼んだ前菜、サーモンのマリネ。メニュー的に斬新な味になるようなものではないけれど、まずは王道の味、という感じでおいしかった(ひとくちいただきました)。

ちなみに奥さんはこういうときお魚中心のメニューにすることが多くて、一方僕はというと、鴨とか肝とかウサギとか子羊とか、普段食べない動物系のものを頼むという基本方針がある。そのおかげで夫婦で分担していろんなものが食べられるのでお得である。

Vfsh0308 僕の方の前菜は、地鶏のレバーのムース。奥さん曰く「ないわ(ありえないわ)。絶対ないわそのメニュー」という一品である。僕はキモい人間なのでキモい食べ物が大好きなのだ。この画像中でアイスクリームのスクープみたいに見えているのが全部ムースである。

味はまったりこってり濃厚で、これぞレバー、という味にアーモンドらしき風味があった。これだけで食べると多少味が濃いかな、という感じなので、ワインとともにいただくか、レトロドールにつけて食べるのがいいんだろう。僕らはエシレバターのみで先にレトロドールをわしわしとたいらげていたけれども。

Vfsh0310 メインは奥さんが鮮魚のポワレ。ほんとうはメインの魚料理は違うメニューだったのだが、13時半にお店に行ったら売り切れになってしまっていて、これになった。

トマトソースメインの、これも濃厚な味。やっぱり、ワインありきの味付けなのだろうか。ポーションもたっぷりとあって、そのへん気取らないフランスの地元のビストロって感じを狙っているのかもしれない。

Vfsh0309 気取らない、といえば僕の方のメイン、子羊のグリエもすごかった。ふつうのお店で子羊を頼んで出てくる量を優に超えている。

しかも、この画像だと左側の肉の白っぽい部分が全部脂身である。パリの「ピエ・ド・コション」で食べた豚肉もこってり脂身つきだったので、フランス人は動物性脂肪を愛する国民性なのかな、とは思っているのだけれど、もしそうならかなり本格的に現地風の一品だろう。

Vfsh0311 デザートは奥さんが定番のクレーム・ブリュレ。これも王道の味。逆に言うと印象の薄い味かな。その向かいで弟くんはプロフィット・ロールを頼んでいたけれど、これは三つのシューにショコラ・ショーがたっぷりとかかって、一皿食べたら12時間ぐらいぶっ通しで働けそうなハイ・エナジーの一品のようだった。

奥さんはちなみにこの時点でバゲットを食べ過ぎて限界に達していたらしく、このブリュレですらも悪戦苦闘していた。

Vfsh0312 同じく胃袋の限界に達していたので、僕もデザートは軽いものを頼んだ。アイスクリームとシャーベット(とあえて英語名で書く)の盛り合わせ。

内容は左上から洋梨、ローズマリー、塩キャラメル。いつでもどこでも、アイスクリームのチョイスにおける僕の基本方針は、「見たことないものを食べる」というものだ。だからここではローズマリーと塩キャラメルを入れてみた。全部はずれだときついので洋梨は押さえ。

味的には、洋梨とローズマリーをスプーンに半分ずつすくって食べると、爽快な香りが口に広がっておいしかった。ローズマリーのベースはヴァニラだったけど、これはありだな、と思った。

反対に塩キャラメルはしょっぱすぎた。なんだかどこまでも現地風なのかな、と思わせる濃い味付けのお店だった。

昼食後、弟くんと別れて代官山へ。はずかしながら、いや別にはずかしくもなんともないけれど、33歳にしてはじめて代官山に行った。ここも、こっちに越してきてから新丸ビルとかミッドタウンとか、大資本によって整備されてきた巨大集合店舗ばっかり行っていたので、奥さんが「アメリカ村とか神戸みたいな個人経営の路面店がいっぱいあるところに行きたいわ」とのたまい、それに応えての選択だった。

ということではじめて行きましたけど、代官山はなかなかよいですね。適当な広さの中に、なんとなくのぞきたくなるお店がいろいろあって、ちょっと路地に入るといかにも東京の住宅地があって。路上の車が外車ばっかりなのはちょっといけすかないけど。

でもマーケティングとかコンセプトとかによって統一されていない個々のお店の活気みたいなのを感じられるという意味では、アメリカ村や神戸・海岸通に通じるものがあるというか。

ここでは奥さんがお気に入りのアンシェヌマン・ユニでベージュの、モロッコ風の(?)チュニックを購入。どうでもいいけどここのお店は、新丸ビルのお店も含めて、内装の什器や家具なんかがすごくいい感じのアンティークで、どうやって見つけてくるんだろうと感心させられる。

そのほか、家で使う「高速SAのセルフサービスのコップ」みたいなグラスを買い、アディダスのTシャツを自分用に購入。

他にも

・BEAMS Tのスタンリー・キューブリック(「SはスタンリーのS」というメッセージ入り)のTシャツ

・アルフレッド・ヒッチコックのTシャツ(目線が入っていてそこにマエストロと書いてある)

・「時知らず」にあった「アル・パチーノはもっとうまくやるね(AL PACHINO DOES IT BETTER)」という意味不明のメッセージのTシャツ(他にマルコムXとビギー・スモールとケイト・モスがありました。でもアル・パチーノがいちばんメッセージとして間抜けで平和だ)

などほしいものがあったけれど、サイズがなかったり、デザイン的にも色的にも今必要なさそうだったりで断念。同様の理由でバンズのスリッポンも断念。

それから、某友人のためのプレゼントをX-GIRLで購入。お待ちあれ。

いやはや、三十路になって代官山初めて行ったけど、なかなか楽しいところだった。また行ってみよう。

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京都拉麺小路ガイド

9日は午後から滋賀の郷里へと半日だけの帰省。実の両親と祖母に会ってきた。

午前中は、京都駅にて手土産(フォーキーな外見がかわいらしい仙太郎の吉野葛のくずもちと、ド定番の「阿闍梨餅」)を購入したついでに、「京都拉麺小路」にて昼食。ついに、これまで入れていなかったお店を制覇し、これにて「京都拉麺小路」完全制覇を達成した。ばんざい。

Vfsh0297 その最後のお店は長野県からやってきた「烈士洵名」。最近店舗の入れ替わりで参入したお店だが、ここはおいしかった。

スープは今流行の魚介系+動物ガラのダブル・スープ(ただしお店では、鶏ガラ+豚ガラ+魚介系なので「トリプル・スープ」と謳っている)。白醤油の澄み切ったスープで、魚介系の香りが鼻へと抜けるすっきりした味。一方で動物系のダシはあくまで目立たないがベースをしっかり支えている。喩えるなら、ストーンズにおけるダリル・ジョーンズのような奥ゆかしさだ。

このスープのバランスが個人的にはとても気に入った。新横浜の、ガ○ンコの人のラーメンなんかより全然おいしかったように思う。

麺は少し太め、半透明で黄色は濃く、軽く縮れている。女の子の髪の毛だったら「私クセ毛なんだ」「えー、ウエーブかかってて逆にいいじゃん」という会話が繰り広げられそうなくらいの縮れ具合である。こしがあって、くちくちした歯ごたえで、麺自体の味もはっきりしている。

総じて、今流行のラーメンのスタイルを、しっかりとバランスよく、高水準でまとめた味、と言えるんじゃないだろうか。背脂ちゃっちゃ系の濃厚な味ではなく、あくまですっきりとしているので女子受けもよさそうだ。

これで全軒制覇したことになるのでえらそぶってまとめると、もし「京都拉麺小路」に行く人がいたら、次のお店をオススメします。ただし、あくまで個人的な味の好みですのでひとつの参考程度に受け止めてください。それから、名前の出ていないお店ももちろんおいしいです。悪意はなく、ほんとうに僕自身の味の好みの話ですのでご了承ください。

豚骨醤油・背脂ちゃっちゃ系の濃厚な味が好き>「博多一幸舎」か「京都宝屋」

京都に来たのだから京都の味を食べて帰りたい「京都宝屋」

今日はなんだか味噌ラーメン気分だ>「札幌すみれ」

流行のダブルスープが食べてみたい/あっさり系のラーメンが好きだ>「信濃烈士洵名」

このなかでは「宝屋」さんと「一幸舎」さんは昨日も行列が出来ていたので、やっぱり流行っているんでしょう。でも「烈士洵名」さんもいいですよ。僕も基本的には濃厚豚骨醤油系が好きですが、ここのスープはおいしいと思いました。

ちなみに同フロアにある佐世保バーガー「LOGKIT」についてのレビューはこちら

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パンの輸送/花火大会

現在、早めの盆休みを取って帰省中です。思いがけなく更新のチャンスがあったので書き込んでおきます。

8日(水)はびわこ大花火大会に向けて11時過ぎに自宅を出発。まずは駅前のスーパーの百均にてレジャーシートとウェットティッシュを購入。ぬかりない自分にほれぼれとする。

13時ごろ東京・丸の内に到着、TOKIAビルの「VIRON」にてパンを購入。

まずは自分の昼食用にプーレ・ロティ(ローストチキン)のバゲットサンドと、それから一緒に花火を観る予定の奥さんのお友達への手土産に、わが夫婦の現在イチオシバゲット「レトロドール」を3本、それから帰省中の朝ごはん用のパンなど。適当に買ったら、総額で2500円にもなってびっくりする。

いやしかし、実際この値段の価値はあるのだ、といいたい。ここのバゲットのおいしさときたら。新幹線の中で食べたバゲットサンドも、ずっしり、さっくり、もっちりで、食べている間中、口の中が幸福感でいっぱいだった。エシレバターもふんだんに使われているし、具材も肉と野菜が惜しみなく使われている。

おまけに、店員のお姉さんもとっても親切丁寧で、「お土産用に小分けにしてください」とか「バゲットは長いので半分に切ってください」とかいろいろややこしいことを頼んだのに、一回の説明できっちり間違えずに対応してくれた。こういうところも好感が持てる。

14時前の新幹線に乗って、京都駅に16時半に到着。移動中は『小林賢太郎戯曲集 椿・鯨・雀』をにやにやしながら読んでいく。

17時ごろ奥さんと合流。大津駅に向かう。奥さんの友人のひとりが来れなくなったので、急遽弟に連絡してみたらすんなりとやってきた。

18時ごろ、奥さん、都並、弟君、奥さんの友人Kさんがそろう。フランス留学経験もあり、バゲット大好きなKさんに「VIRON」のレトロドールを渡したところ、大喜びして匂いをくんくん嗅いでいた。

(彼女はこのあとこのレトロドールを、花火が上がっている時点から早くも少しずつちぎってはおいしそうに食べていた。その様子を見ていると、買ってきてよかったなあ、としみじみ感じた。贈りものが、いちばん喜んでもらえる人に届くというのは、人生の小さな幸せのひとつである)

大津駅近辺は高校時代に知り尽くしているので、メインストリートの混雑をよそに路地裏を通って浜辺へ。

しかし時刻がもう遅かったのでダメモトで湖岸の公園に行ってみたら、4人が座れそうな場所があっけなく見つかった。買ってきたレジャーシートを広げて早速陣取る。

19時半ごろ、花火が徐々にはじまる。はじめは小ぶりの花火を少しずつ。それから次第に大きめのものが、だんだんと空高くに打ち上げられる。一度に打ち上げられる花火の数も次第に増えて、まるでマシンガン状態のクライマックスへ向かう。

Hanabi3s それにしても、高校生の時分から来ているけれど、いつ観てもこの郷里の花火大会が最高だと思う。びわ湖岸という地の利を生かして、何の遮蔽物もない場所で、見上げるほど高くに上がる大輪の花火を、その爆発音を体で受け止めながら観られる。クライマックスではスターマインが湖面でも弾ける。その様はほんとうに圧巻だ。やっぱりスケールが違うな、と思う。

Hanabi2s おまけに今年は例年に増して構成もよく、それぞれの花火が要所要所で際立って、公園中が歓声と拍手に包まれていた。何度も来ているけれど、その中でも良い大会だったと思う。

花火を観ながらお母さんが買ってきてくれた、京都一のオールドスクール・パン屋「まるき製パン所」のコッペパンや、奥さんとKさんが買い出しに行ってくれたからあげやらを食べる。

ちなみに今回の帰省では、「プチメック」のパンも手土産にがっちり買い込んだ。明日以降の埼玉での朝食にするためである。つまり、東京の「VIRON」、京都の「まるき製パン所」「ル・プチメック」のパンをそれぞれ別の県にまで越境させたわけで、なんだか「パンの運び屋」みたいな帰省だった。

花火が終了したのが20時半。観客が多すぎてとてもすぐにはJRに乗れないので、近くのスターバックスでしばらく時間をつぶす。

22時半ごろJRに乗り、帰宅。楽しい一日ではあったが、全身が汗でべたべたになったので熱いお風呂に入る。すっきりして就寝。

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小確幸のバゲット

「嗚呼!花の料理人」を観ていたら、料理の辛さの単位というのがあって、「スコヴィル」というそうです。でもって、タバスコは2500スコヴィル、ハバネロはなんと570000スコヴィルだそうです。それはスコヴィル(すこぶる)辛いですね。

それはさておき、相変わらず忙しい日々がつづいています。ブログの更新もままならないくらいです。後日まとめてプロジェクトTNTとして書き込みます。

今日はとりあえず、バゲットのことを。

奥さんもミクシィの日記で書いているんだけれど、ベーカリー激戦地京都で鍛えられた我が夫婦が、北関東に越してきて初めて、「うん、これはうまい」と思えるバゲットを見つけました。

それが、渋谷と丸の内に店舗を構える「VIRON」のレトロドールです。詳しくはこのサイトを見てもらえればいいんだけど、フランスの製粉会社「VIRON」と直接契約をして独自のブレンドをした小麦粉を直輸入、材料の配分から製法まで完全に本場の指定どおりに焼き上げたというバゲットは、まさに本場の味。

スノッブなことを言うと、フランスに行った時に食べて感激したパンの味がちゃんとします。ふつうの日本のベーカリーのパンとは全然違います。小麦の香りが濃くって(持って帰る道すがら、ずっとこの匂いが鼻腔を刺激してたまりませんでした)、噛み応えがあって、適度な硬さと水分があって。

この味を出すために「VIRON」では、日本の軟水ではなくわざわざコントレックスを使っているというから驚きです。

Vfsh0280 先日、この「VIRON」のレトロドールに、週末に神戸に行った時に買った「トアロードデリカテッセン」のカナディアンベーコンと、カマンベールチーズときゅうりを挟み、エシレバターをたっぷり塗ったサンドイッチを奥さんが作ってくれました。

これを食べた時に、自分の口が驚いたこと。「プチメック」のサンドイッチにも負けない本格的な味がしたので、自分の研究室で独りで食べていたんだけど、思わず廊下に飛び出して、誰か学生を捕まえて「おい、これ食ってみろ」といおうかと思いました。いやしないけど。

でも正直、あんなにうまいサンドイッチ、久しぶりだったな。

あまりにおいしかったので、奥さんに「今度東京駅に行くことがあったらレトロドール4、5本まとめ買いしといてくれ」とオーダーしてしまいました。

あさってはこのレトロドールに、奥さん手作りの豚肉のポットローストを挟んだサンドを作ってくれるらしいです。それも今から楽しみ。

これこそ、村上春樹のいうところの「小確幸」(小さいけれど、確かな幸せ)というものです。

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ふたつの世界(プロジェクトTNT)

痛みと嘆きのうちに過ぎた日曜日が終わって、明けて月曜日、海の日。

この日は、一日静養した甲斐あって、前日までの症状が劇的にといってもいいくらい軽減していた。

となると、怠惰な人間のくせに一日以上家にこもっていられない都並は、出かけたくてしかたない。

そこで奥さんを説き伏せて、丸の内まで買い物に出かけることにした。この数ヶ月の経験から暫定的に得た結論では、北関東でちゃんとしたメンズの服を買おうと思ったら、ちょっとがんばってでも丸の内まで出かけたほうがまちがいがない、ということになったからである。

大宮あたりでも買い物はできなくないが(現にしているし)、やっぱり選択肢が限られてくる。いろいろ見て選ぶウィンドウ・ショッピングの楽しみを得ようと思ったら、丸の内くらいまでいかないと、私的には満足できない。東京の他の地域までせっせと出かけるのは億劫なときでも、丸の内までならアクセス的にもかんたんである。それに、場所によっては跳梁跋扈する10代の野放図な若者が、丸の内にはほとんどいない、というのもおじさんの神経に優しい。買えるものも極端に高くなく、お財布にも優しい。

といっても地震があったので、その関連のニュースを見つつ、交通機関の状況など静観してから出かけることにした。

そんなこんなで、着いたのが16時過ぎ。おなかが減ってしまったので、新丸ビル内の「大人が集えるジャンクフードの店」(なんだそりゃ)「One's Drive」にてダイエット・コークとホットドッグを食べる。だってホットドッグが食べたかったんだもん。そしたらホットドッグを売っているお店があったんだもん。奥さんはチーズバーガー。

どちらも、モスバーガーのホットドッグとかマクドナルドのチーズバーガーを、ちゃんとした材料できちんと作った味、という感じで好感が持てる。隣の建物(丸ビル)にクア・アイナがあるので、本気でハンバーガーを食べたくなったらそっちに行くだろうなあと思うけど、東京駅でひとり、ビールちょっと飲んで軽く何か食べたい、というときに重宝しそうな気軽な店ではある。ビールの銘柄もいろいろ揃っているし。

その後新丸ビルを遡上し、次の日曜日にある友人の結婚記念パーティーに着ていくシャツを物色。披露宴からの参加ではなくて、新郎新婦が浴衣で、新婦が常連のカフェ・バーだかダイニング・バーでやるというきわめてカジュアルなパーティーなので、着ていくものに悩んでいたのだ。

いろいろ見た結果、最近ひいきにしている「ダファー・オブ・セントジョージ」でボタンダウン・シャツを買う。男性のワイシャツの基本的なカラーであるブルーとピンクと白を切り返しで用いたもので、個人的にはピンクはチャレンジ・カラーだったのだが、着てみたら違和感なく似合い、奥さんも気に入ったみたいなので購入決定。ついでにインナーとして同じ色味のタンクトップを購入。

ちなみ「ダファー」は、以前にも書いたが、10年ほど前にはオアシスのギャラガー兄弟が着ている、ということで有名になった(?)ブランドである。そのころはプラダがスポーツ・ラインのモダニスティックなアイテムを出して話題になっていたころでもあり、この「ダファー」も良く似たテイストの黒いスポーツ・ブルゾンなんかを出していた。

僕はそれを南船場のお店で見つけて買ったのだが、これが素材的にはびっくりするくらい通気性ゼロで、着ているうちに全身汗ばむ、というサウナ・スーツのごとき品物であった。おまけにジップ・フロントにベロクロが付いており、これがあちこちでニットにひっかかったりするどうしようもないものであったのですぐに着なくなったのを覚えている。

が、昨年来日本のあちこちにお目見えしている「ダファー」はそのときの輸入物ではなくて、伊藤忠の子会社ジョイックス・コーポレーションがライセンス契約して全国的に展開しているものである。HPを見てもらうと分かるとおり、このジョイックス・コーポレーション、ほかにもポール・スミスやダニエル・クレミュなんかを手がけている。

そうするとこの「ダファー」、特にポール・スミスと比べると、気持ち価格帯が抑え目で、かつテイスト的には共通しているから(どちらも「カラフルな、イギリス文化に根ざしそれを再解釈した、お坊ちゃん風の」服である)、ダイハツの車をOEMでトヨタでも売っているみたいな感じの、「ジョイックスのディフュージョン・ライン」のような気がしないでもない。でもまあ、ポール・スミスみたいにカラフルでどぎついものはないし、奥さんが「かわいい」という服が多いので今後購入が増えそうではある。

そういえばこの「ダファー」の新丸ビル店、店舗入り口の目立つところになかなかきわどいアイテムが置いてあった。「Over The Twelve」というブランドの男性用下着なのだが、すごいメッセージがプリントされているのである。二種類あって、ひとつがコレ。でもってもうひとつがコレ

僕は買いませんが、このブランド、作り手の意図通りに活用している方がいらっしゃったら、お会いしたいものです。いや、お会いしたくないです。

都並の買い物が終わったあとは丸の内をぶらぶらし、奥さんの服など見て回る。これといったものがなかったので、「マークス&ウェブ」の入浴剤などを買い足して散策終了。

さて帰るか、というころになってふたたび小腹が減ってきたので、新丸ビルの7階の凝ったつくりのレストラン・フロア――いわば「都会的な屋台村」というか、「地方のスーパーによくあるフード・コーナーを思いっきり清潔かつモダンかつ大人向けにしたヴァージョン」というか、そんなコンセプトの階――に行ってみることにする。

この「セレブ風屋台村」のなかにお蕎麦屋さんがあったので、そこで軽い夕食にする。可もなく不可もなく。値段的には少し高い気がするが、場所的に相場だろうか。ビールは一番搾りで泡がクリーミーでよかった。

お蕎麦をすすりながら見るともなく見ていると、我々の席のすぐ近くでは、前田耕陽を細身にしたかんじのサラリーマンさんと、松下奈緒をがっちりさせたかんじのOLさんがコップ酒を飲んでいる。

このコップ酒が、ちゃんと受け皿がついていて、ちゃんとスタッフさんがこぼれるくらいまで注いでくれるというオールド・スクールなコップ酒である。

こういうのを見ると、こういうビルのこういうフロアのディズニーランド的性格、なんてことに思いを向かわせざるを得ない。つまり、このお店に集う「おしゃれでやり手の」丸の内のサラリーマンさんたちは、単にお店の雰囲気を味わう、といったレヴェルではなくて、その向こうに透かし見えている虚構としての「お父さんの飲み屋街」のファンタジーを積極的に楽しんでいるんだなあ、と思ってしまうのだ。それも、現実の飲み屋街に伴う、不潔さとか酔漢の横暴さといった不快感を巧妙に漂白し無害化したかたちで。

それがもっとも端的に表れているのはしかし、7階ではなくて5階にある「日本再生酒場 もつ焼き処 い志井」であろう。ご丁寧に、この洗練を前面に押し出したビルの中に、立ち飲みのハードコアなもつ焼き屋さんがあるのだ。

ここに集う人たちの動機が、例えば大阪・十三の波平通りにて本物のハードコアな大衆居酒屋を体験している人と同じであろうか。いやそのはずもない。そこにはやはり、大資本の手によって複製され、その結果漂白され無害化されたものにこそもっとも安心感を覚える、今日的な消費者層の深層心理が働いているに違いない。そしてそこには潜在的な階級意識もまた働いているに違いない。

などという小うるさい理屈をこねくり回す酔漢は、メガロポリスのこじゃれた立ち飲み屋もいいけれど、それよりも自宅最寄駅前のハードコアな焼き鳥屋をこよなく愛する人間でいたい、そう思うのであった。それらは似て異なるふたつの世界である。そして、このふたつの世界を一日で横断する33歳のデイトリッパー。

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惨劇のはじまり(プロジェクトTNT)

週末はこわれていた。

この連休中の都並の行状をひとことで言うとそういうことになる。

もう少し難しくいうと、負傷していたのである。先週末から左肩の後ろ、肩甲骨の内側辺りに原因不明の違和感を覚えていたのが、土曜日になって悪化し、筋が違ったような痛みに発展した。

それでも土曜日のうちはだましだまし、背中全体にエアー・サロンパスをぶしーっと吹き付けただけで、ドライブをかねて奥さんと高崎方面にパンを買いに行ったりできたのだが、日曜日になると身動きも取れないくらいの症状になってしまったのだった。

大袈裟なようだが、ほんとうに、仰臥した姿勢から身を起こすこともままならないくらいの痛みとつっぱりだったのである。仕方ないので日曜日は、背中にアンメルシンを塗ったりフェルビナク入りの湿布を貼ったりしつつ、ソファーで伸吟しながら『プリズン・ブレイク2』などを観てすごした。

不幸中の幸い、という表現は適当ではないが、この日関東地方は台風の真っ只中にあったので、外出はもとより不可能ではあった。そのことを見越して、はじめから家で休養するつもりで食料なども備蓄してはいたのだが、それにしても使えない人間に成り下がった一日であった。

いやはやさすがにこうなると「ついに来るべきものが来たか」という感が否めない。というのは、研究者という職業はもっぱらデスクワークなので、アリナミンのCMではないが、目・肩・腰の負傷は周囲に頻発しているのである。頻発というよりも、どの先生も一度はどこかをやっているといっても過言ではないレヴェルであり、そういう意味ではこの手の症状は職業病といってもいい。

といいつつ、都並はもとより人一倍怠惰なので、自分にはそういう勤勉な研究者の症状はこの先ずっと縁がないだろう、とも心のどこかで思っていたのだが、あにはからんや(兄はカラヤン、ではないですよ)。運動不足がいけないのだろうか。そう思って現在奥さんと運動プログラムを検討中である。

ちなみにこの日の夕食は奥さんの手作り餃子とあんかけ堅焼きそば。奥さんの餃子はあっさりしていて野菜がたっぷりでお気に入り。この日は新しく試してみたもち粉入りの皮が正解で、焼き具合もほどよく、絶品であった。これをつまみにホップちゃんエビスを飲み、憂さを晴らす。

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消えたカップケーキ

まずはハミルトンさん、イチローさん、遅ればせながらおめでとうございます。

などと意味不明なことを言いつつ、ここ数日の動向。

今週前半は、大学が前期の終わりに向かうこの時期に必須の作業として、自らが開講中のコマを収束/終息に向かわせる、という作業にかかずらわっていてなかなか更新できなかった。

それぞれのコマを取り上げてみれば、進度がシラバスどおりでないコマが多く(一回の進度を多く見積もりすぎたのだ)、教壇に立つたびに自戒と反省の念にどっぷりと浸ってしまう。しかしまあ…文学部なる学部で教えるのははじめてのことでもあるし、来年以降この経験を踏まえて改善していけたらと思う。いやはや、日々勉強である。

それはともかく、今週は世間様から見たらかなーりフレックスな生き方をしている都並もそれなりにいそがしかったわけで、今日になってようやく時間が取れたところである。なので遅まきながら日記の更新である。

最近、日記に奥さんの手料理のことを書いていなかったのでちゃんと書く(奥さんは相変わらず八面六臂獅子奮迅の大活躍をしてくれているんだけど、僕が怠慢で書いていないんです。すいません。しかも奥さんは最近お弁当まで作ってくれています)。

夕べは僕のオーダーで豚のしょうが焼き。副菜にかぼちゃのたいたん、小松菜とうす揚げの煮浸し、冷奴。それから、夕食前におなかが減って待ちきれないクマが一頭いたので、奥さんは早めに枝豆だけさっとゆでてそのクマに与えていた。

今日のお弁当は、五穀米ごはんとネギの豚肉巻き、出し巻き玉子、かぼちゃと煮浸し。お茶も奥さんが出してくれたものを水筒で持ってきているから、今日は一日、100%奥さんが作ってくれたものだけを燃料に稼動できそうである。すごいもんだ。

と、よくよく考えてみれば、都並に限らず、家庭があって誰かにお弁当を作ってもらっている勤め人や子供たちは皆、この「100%自家製エネルギーで生活する一日」というのを経験する可能性があるわけだ。自分が一人暮らしを長くしていたものでそういうライフスタイルから遠ざかっていただけなのだ。一人暮らしの衛星軌道を離れ、久々に家庭に着地してみると、主婦のありがたさがよくわかる。

ここでいっちょ褒めておこう(政治的判断)。

すごいぞ主婦。えらいぞ主婦。ビバ主婦。

ところで、今日の午後はゼミであった。そこで卒論を書く四年生の指導をしている最中なので、最近とりかかった、あまり詳しくないフェミニズムの勉強などを今後もう少しするつもりである。こういうときに、「常勤になる」ということは、なかなか自分の専門領域だけで仕事をしていく、というわけにいかず、もう少し手広くやる必要が生じるということなのだ、としみじみ実感する。

とりわけ僕の場合、アート系・理論系が専門とはいえ、フェミニズムだったり、いわゆるカルスタだったり、あるいはメディア・スタディーズだったりという分野が手薄なので、このへんをもっと吸収しないといけない。

その一環として、というのが唯一の理由でもないが、最近はアメリカのTVドラマを積極的に観ている(アメリカのTVドラマで卒論を書く子もぽつぽつといるので)。夫婦でフォローしているのは『プリズン・ブレイク2』だが、そのほか、lapin55さんから先日貸与を受けた『アリーmyラブ』4thシーズンも併せて視聴中である。実はこのシリーズ自体観たことないのだが、今読んでいる本に頻繁に出てくるので一度観ておこうと思って、まことに今更ながら観たのである。そしたら、しっかりハマってしまった。

いや、しかし(以下私信)、『ゾディアック』にも出ていたロバート・ダウニー・Jr、このシリーズでの役どころはいいですね。知的で、自信に満ちていて、子供らしさもあり、傷つきやすさもある、という。これはlapin55さんがイチオシというわけだ。なれるもんならこんな男になりたいよ、と30過ぎのおじさんは思います。

などと書いている間に、TVドラマといえば、『セックス・アンド・ザ・シティ』のマグノリア・ベーカリー衛生面で閉店になっちゃった、とかいうニュースが入ってきましたね。ガイドブックなんかには必ず乗っている有名店で、奥さんも「9月にNYに行ったら食べたーい」と目を輝かしていたので、がっくりするだろうな。

流し台がないとかドアノブがないとか、段ボールで肉まん作るのに比べたらいいじゃんねえ。というのは政治的には問題発言なのか。

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トラディッショナル七夕祭り

Vfsh0254 この金・土・日の三日間、我が町では「七夕祭り」が行われています。七夕を町を上げて祝う、なんてことは、関西に住んでいた時にはまったく縁がなかったので、興味を持って奥さんと行ってみました。以下はその報告です。

祭り、といっても、山車が出たり神輿を担いだりというのではなく(そういう、おそらく祇園祭系の祭りは、月末にもう一個あるのだそうです)、七夕であるから笹に飾り物をして、そのほかいくつか仕掛けのある作り物を出して、それを旧の中山道沿いにずらっと並べるというのが一応の見ものらしい。

そんなわけで、その中山道をみんながのんびり歩く、というのが参加者に要求される唯一の行動であって、そういう意味ではスケジュール的にも行動パターン的にも特に「ここ」という焦点のない、マイペースな祭りといえようか。

その中山道であるが、うちのマンションから骨折しててもいけるくらいすぐのところに通っている。街道といってもふだんは鄙びた商店街に過ぎないのだが、その一帯が、この三日間ばかりは、夜店が延々と立ち並んで、かなりの活気になっている。

聞けば、この三日間で16万人くらい来る、というから、相当なものではないか。

この屋台ロードを、奥さんとぶらぶら歩く。屋台なんてどこでもいっしょだろうと思っていたら、これがなかなかどうして、関西から越してきた人間には見慣れないものがたくさん有って面白い。

まずは一番上の画像だが、「おばけ屋敷」である。もちろん仮設の小屋であるから、中で人が驚かすのだろうか。オトナは600円もするので中には入らなかったが、こういうものが未だに残っているというのは、ちょっとすごいと思う。関西では、立地の関係もあるのだろうが、こういうものはまず見たことがない。このおばけ屋敷、入り口の前でおばちゃんが拡声器で威勢良く呼びかけを行っており、その声が遠くまでこだまして、夏の夜をどぎつく彩っていた。

Vfsh0255それから、射的もたくさんあった。これは関西の祭りでも見かけるが、数は関西より多かった気がする。

もうひとつ、奥さんが興味津々だったのは「カタヌキ」である。僕は文化研究者であり博学なので(もちろん冗談ですよ)存在は聞き知ってはいたのだが、関西の屋台にはないものなので現物は初めて見た。奥さんは存在すら初めて知ったようで「何これ?何これ?」と非常に興味を持ったようだった。さすがにいい年なので初挑戦はしなかったが、我々が異文化を最も強く感じたのがこのカタヌキだった。

そのほか、屋台には北関東らしくケバブの店も何件かあり、これはチキンとキャベツとソースだけの簡素なものだったが、ちょっと食べてみたところなかなかいけた。

最後に、屋台、ということでは元大阪人としてぜひ付言しておきたいのが、「大阪焼き」である。簡単に言うと、今川焼き(大判焼き)の機械に、皮とお好み焼きの具を入れて焼く、という食べ物らしい。これもここで初めて見たのだが、すでに多くの人がネット上でも指摘しているように、大阪ではこんなもの食べません。どこでどうまかり間違ってこんな食べ物ができたのか、実に不思議だ。

…とまあ、全般に、地方の古き良き夏祭りを堪能した週末だった。人が思ったより多く、けんか騒ぎなんかもあったのは辟易したが、若い人たちも多かったし、町が元気なのはいいことだろう。

Vfsh0256 追記:今日「エンタの神様」で長井秀和氏が「俺の思い込み。エロカワファッションの女の子達は、みんな北関東出身なんだ」と言っていたが、言い得て妙、というもので、本当に露出度の高い女の子とヤンキーっぽい男の子が大量に出没し、あちこちでお互いに不思議な周波数の音波を「けばっ、けばっ」と送り合っていた。なんだか気疲れのする光景だった。

最後の画像は、絶妙なアルカイック・スマイルが僕の心を不思議に捉えて離さなかった、何のパクリなのかもはっきりしないクレープ屋さんのイラストです。

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未来世紀とんかつ

モネ展の記事で独善的かつ自己陶酔的な発言をしたのでそれをトップページからおいやる意味を込めて、ついでに寄り道してきた東京ミッドタウンについても書く。

東京ミッドタウンと新美術館は、ほんとに目と鼻の先である。美術館を出るときに、いちおう方角を聞いておこうと思って、おのぼりさんらしくインフォメーションで確認したのだが、それが恥ずかしくなるくらいすぐそばにあった。骨折していてもたどり着けるくらいの距離である。

このミッドタウンがまた、えらいことになっているんですね。僕の好きなラーメンズの表現で言うと、「来てるな、未来!」って感じですね。

こういう「セレブ」向け複合商業施設みたいなものは、例えば新丸ビルしかり、大阪で言うとハービスしかり、なんとなく経験があったのだけれど、しかしその規模が凄かったことよ。公園あり、住宅あり。おまけに地下鉄の駅までの道のりも完璧にイメージが統一されていて、まさに高度資本主義社会の夢、「ああー、もう少し未来が来たらみんなこういう都市に住むのかー」という感じである。タルコフスキイ『惑星ソラリス』の撮影時に来日したら、あるいはテリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』の制作時に来日したら、きっとここでロケしただろうな、と思わずにいられない。その演出された清潔感、洗練感、最先端感のすべてが、SF的未来は人間の手で自己実現される予言なのだな、と思わせる。

…と、田舎者のセンセイがついつい感慨に耽ってしまうほどのできばえなのでした。しかしこの「町」の持つイデオロギー的な偏向と抑圧ってすごいものがあるよな。ついついディーン&デルーカカマルグの塩を買おうか、なんて思ってしまうのだけれど、そんなとき人は、たとえ自分のうちでカマルグを常用しているとしても、いや常用している場合はなおのこと、その行為に含まれるプチブル的な自己満足の罠に自覚的にならなければならないのではないか。

といいつつ都並は(いつも僕は「といいつつ」なんですが、いいんです。思考と行動の分離した人間なんです)、この資本主義者のエプコットにて、夕食を採ってきた。残念ながら随行していただけなかった奥さんから「おいしいもの食べといで」という子供にでも言い聞かせるようなメールをもらっていたからである。

ということで寄ったのが「平田牧場」。この高度に都市化された町の中で「牧場」という文字通り牧歌的な響きに無意識的に安心感を感じ取ったからではなく、単にとんかつが食べたかったからである。

頼んだのは「三元豚ロースかつ定食」。1200円。決して「はあ?」とか「ええー」と言うほど高くない。ついでに生ビール。スーパードライでなく一番絞りなのがわかってらっしゃる感じである。

味だが、正直、うまい。

脂の部分が、豚独特の風味を何倍にも増加させた感じで、飯田市で以前ごちそうになった「千代幻豚」に似ている(しかし、おいしい豚肉でしたよ>飯田市の皆さん)。赤身の部分も柔らかく、ジュウーシィである。付け合せのキャベツもきちんとしていて、鮮度も悪くなければ、量もたっぷりある。総じて、とんかつのターボつきのような味といえば分かってもらえるだろうか(無理だろうな)。あるいは、シャア専用とんかつか(よけいに分からない人のために説明すると、シャア専用というのは何でも3倍という意味なのです)。

ほかにも、このミッドタウン、食べるところが充実しているみたいなので、今度新美術館に「スキン+ボーンズ」展を観に来たときには、資本主義社会の幻想にくらくらしながら、ここでまた何か違うものを食べてみよう。

「いずれにしても夢とは、進歩した資本主義者の命令が生み出すものと、決して無縁ではない」(テリー・イーグルトン『アフター・セオリー ―ポスト・モダニズムを超えて』小林章夫訳、筑摩書房、2005年、126頁)

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蛙男商会にやられる

最近気になっているCMがある。

サントリーの「カクタスX」のCMである。

内容はと言うと、カプコンが手がけたコンピューターゲーム『ストリートファイター』のボスキャラ「ベガ」に酷似した「総統」なるキャラクターと、覆面をした少年が「カ~ク~タ~ス~メ~」と呪文のような言葉をつぶやくアニメCM…というと、すでにご覧になった方は「ははん」と思い当たるだろう。

この「カ~ク~タ~ス~メ~」のあまりのばかばかしさとアナーキーさに気になって検索をしてみたら、なんと手がけたのはかの蛙男商会さんであった。いやあ無知でごめんなさい。『めがね番長』なんかで存在は認知していたのだが、ここまでメジャーになっているとは知らなかった。

で、かの「総統」と「吉田君」はFROGMANさんの手がけた『秘密結社鷹の爪』なるタイトルの登場人物らしいのである。しかもこの『鷹の爪』、3月に映画が公開されているらしい。

ということは、グッズもある。そこで早速、吉田君のTシャツとかあったらかわいいかなという思いで、ショップ・サイトに行ってみた。いやあ、あるわあるわ、ばかばかしいキャラグッズの数々。「島根県応援!Tシャツ」とか、「古墳のコフィーちゃん」とか。肝心の吉田君Tシャツは「これだ」というものがないのだが、このいいかげんさには感嘆すら覚える。

ちなみに上記のサントリーさんのサイトも凝っていて、CMの没案とか、「投稿ムービー オリジナル・ムービーを制作せよ」(といっても、吉田君のせりふを二箇所考えるだけ。これを応募するとほんとにCM化されてカクタスXがいっぱいもらえるらしい)とか充実している。

誰かこのオリジナル・ムービー、送ってみませんか。

追記:それにしても『菅井君と家族石』って…(スライ&ザ・ファミリー・ストーンを知らないとわかんないですよね)

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SD-BT113始動

この二日間の動向であるが、読んで字の如しである。先日購入したホームベーカリーSD-BT113がついに我が家にてロールアウトした。以下はその感想である。

たぶんこれを購入した人はみなさんそうだとおもうのだが、まずは普通に食パンを焼いてみることにした。けれどもうちの夫婦はそろってマニアックなので、試しに焼いてみる、といってもひとすじなわではいかない。

まずは参考文献を購入(この本は、胚芽パンやライ麦パンなどのアレンジレシピのみならず、各メーカーの機種比較のほか、小麦粉の種類による焼き上がりの違いまでまとめてあって非常に便利です。ホームベーカリーをこれから購入される方にはオススメです)。

さらに、参考文献中に掲載されていたサイトから、プロも使っている一番人気の小麦粉イーグルをお取り寄せし、満を持して試験を開始したのだった。

あまりにも期待しすぎて、電器店のおじさんが「朝、パンの焼けるにおいで目を覚ますのはしあわせですよ」と言ったのに、焼きあがる前に目が覚めてしまった。しょうがないので、パンの焼けるにおいが漂うまで、SD-BT113の上で鼻をひくひくさせて待っていた。

そのにおいであるが、正確には、焼きの前段階では、ドライイースト独特の紙の焦げるようなにおいが漂ってくる。それから焼きが進むにつれて、みなさんおなじみのあのパン屋のにおいに変わってくる、という感じである。

そのにおいがし始めると30分も経たないうちにパンが焼きあがる。

Ca9sepdz 焼きあがった直後のあつあつのところを取り出したのがこの画像。はじめてなのに完璧といえる焼き上がり。成型はたしかにホームベーカリーのそれだが、焼き色といい膨らみ加減といい、プロのものと遜色ない。

ちなみに準備および作り方であるが、奥さんに「大変なの」と聞くと「ぜんぜん大変じゃない」とのこと。奥さんは女性としては平均的に機械に弱い方なので、彼女がだいじょうぶなら誰でもだいじょうぶなんだろう。

Caop81ob 二つ目の画像は半分に割って食卓に並べたところ(どうでもいいけど僕の携帯の画像フォルダはこの赤いギンガムチェックのテーブルクロスの画像でいっぱいです。アメリカ映画では赤いギンガムチェックのテーブルクロスは幸福な家庭の象徴だそうなので、そういう意味ではいいことなのかもしれませんが)。

焼きたてのあつあつはやわらかすぎて切りにくいのだが、なんとか奥さんに切ってもらった。これにフェルベールさんのコンフィチュール(画像右手前)などつけて食す。

かんじんの味はというと、どこかの上流階級のおぼっちゃんだかおじょうさんを預かってきたような、素朴かつ無垢な味である。余計なものは一切入っていないので、シンプルで上質な味がする。口どけとか歯ざわりは申し分ない。皮はさくさくで、中はしっとり。うまく切ることさえできたら、「なんとかホテルの」と言ってもわかんない人はわかんないのではないか。翌日(今日)、トーストにしてみたが、トーストにするとますますそういうニュアンスの味になった。

いやはや、文明の利器はどこまでも進化し続けるのだなあ。今後このホームベーカリーで、奥さんが様々な実験をしてくれることを願う(うれしくなって早速近所の輸入食品店でライ麦粉も購入してきたので、まずはそれからかな)。

来てるな、未来。

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水屋、真夏日、シークヮーサー

昨日、今日とおかげさまで北関東は真夏日を迎え、早くも研究室にはエアコンが入りました。古いタイプの壁面据付型の空調なので、まあ冷える冷える。おかげで快調に仕事が捗りました。

この二、三日の動向。

背中の筋が違ったみたいでここのところしばらく痛い。気になるのでネットで調べてみたら頚椎の問題かもしれないとのことでちょっと恐ろしくなる。うちは母方の家系が首に難がある家系なので、しばらくして快癒してくれることを願う。

Vfsh0238 研究室にようやく『スターウォーズ 帝国の逆襲』(エピソードV)のフランス語版ポスターを貼る(これはパリの映画専門店でけっこうな値段がしたのを買ってきたもので、当たり前だけどフランス語で「帝国の反撃」と書いてあります)。

(画像の下のほうには付箋がだーっと貼ってありますが、これは僕の癖で研究上で思いついたことを忘れないうちに貼っておくのです。でも後で見てなんだかわからないメモになっていることもしばしばです。)

Vfsh0235 先日かっぱ橋で購入した水屋が届き、家に散逸していたCDコレクションがなんとか収納できた。和室に置いたら、当たり前だけど雰囲気がぴったり合ったので嬉しい。隣に少し写っている背の高い家具は北欧製で、奥さんの化粧品などの入っているキャビネット。これともそんなに違和感はないので、まあ、よい買い物だったのではないですか、というのが夫婦の結論。

Vfsh0239 それから、以前の記事で書いた、「世田谷ベース」で所ジョージさんが沖縄バヤリースのシークワサー入り四季柑と混ぜて飲んでいたジュースの正体が、少し調べたらあっさり分かったので、取り寄せてみた。

「フランスの」と所さん自身も言っていたように記憶しているのだが、フランスではなくて、マーティネリというカリフォルニアの企業のジュースだった。

タイミング良く、義弟くんが沖縄に研修旅行に出かけていて、シークワサージュースの方をゲットしてくれたので、これで、所さんが飲んでいたものと全く同じものが飲める。飲んだら空き瓶もなかなかブロカント的に使いでがありそうで、生活の中の小さな幸せである。

先日奥さんと沖縄料理店に行き、そこでシークワサー・サワーを飲んで以来思っているのだが、この夏はシークワサーだよ。シークワサー・ブームが来るよ。というかマイ・ブーム的にシークワサーを飲んでいこうと思っております。それで夏を乗り切ろう、そう思っとります。

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丘のハーレムのインを砂糖で甘くしなさい

この二日間の動向。

土曜日は、観測史上日本一の暑さを誇る(のは正確には隣町だが)わが町の夏に備えて、書斎と寝室のエアコンを買いに量販店へ。グレードの高いものだと10万円くらいするので、まずは寝室のものだけ、と思ったのだが、意外にもダイキンさんのものが約5万円であったので、二台購入。併せて、奥さんが以前から欲しがっていたナショナルのホームベーカリーを買う。

このホームベーカリーは、『暮しの手帖』の比較記事で一番評判がよかったもの。

①音が静か

②イースト自動投入式でふくらみが違う

③デニッシュ、フランスパンのほか、パスタ生地、うどんも作れる

という優秀なやつなので、小麦人間の奥さんによって素晴らしいパンが作られることを願う。

そのほか、近所のスポーツ・オーソリティで、両父親のために「父の日」プレゼントを買う。山登りが趣味のうちの親父には、アディダスのアイス・ライヴTシャツ、奥さんのお父さんも、野球が趣味なので「全員野球」とかロゴの入ったナイキのアンダーシャツを購入。

その後サティに移動して、サティの中のわりにはまあまあのイタリア料理店でパスタとピザを食べたあと、レイトショーで『大日本人』を観る(レビューは別記事にて)。

大満足して帰宅、就寝。

明けて今日、日曜日は大宮くらいまでウインドウ・ショッピングに行くつもりだったが、関東一円どこも大雨洪水警報が出ていたので夕方まで自粛。

かわりに、奥さんと夏休みの旅行の計画を練る。NYくんだりまで行こうと思うのだが、飛行機と宿と、ネットで別々に取ってできるだけ安く浮かそうという計画。NYはマンハッタンになかなかこじゃれたB&Bがたくさんあるので、しばし検索して楽しむ。しかし始動が遅かったのか、よさげなところはすでに予約で埋まっている。なかなか難しい。

そのうち僕はくたびれて、横で転寝をしてしまったのだが、その隙に奥さんが冗談でサイトを次々自動翻訳し始めたらしく、画面を見て独りでくすくすと笑い始めた。

「ん?どれどれ」と眠い眼をこすりこすり見た時に、画面上にあったのがタイトルの宿。Sugar Hill Harlem Inn というところであった。

悪乗りし始めた奥さんを嗜めつつ、再び午睡に落ちる。その間に奥さんが2、3よさげなホテルをブックマークしておいてくれた。

5時半ごろ、奥さんが「お腹すいた」というので、以前からネットで名前を見て気になっていた「市内でいちばんの中華料理店」というのに行くことにする。

実は我が家はこのところ餃子に呼ばれていたのである。TV東京でたまたまやっていた「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」という番組で浜松の餃子特集をやっていたかと思うと、その後見た「帰ってきた時効警察」の最終回でも三日月くんが餃子を大量に焼いていた。同じ日にはSMAPの香取慎吾くんもCMで餃子を焼いていた。

そんなわけで「これは餃子を食わずばなるまい」と思っていたのである。そこで市内一の中華料理店に足を運んだのであるが、これが正解だった。餃子はあくまでジューシィ、噛むと口の中にスープがとろけ出る。油もたっぷりなのだがしつこくなく、ニラやにんにくもほどよく、思わず手を打つような味であった。

このほか、にんにくたっぷりのブラックタイガーの唐揚げ、甘辛の回鍋肉、チャーシュー入り炒飯など本気の中華を久々に堪能し、生ビールも3杯満喫。至福のひとときであった。

奥さんもデザートに手作り杏仁豆腐をオーダー。こちらもおいしかった。帰ってきて、一休みして、今ブログを書いている。

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東北の玄関口で愛をけばぶ

土日は多摩方面で学会であった。

日曜日の発表は、特に土台からひっくり返されるような質問もなく、といって皆さん目が点、という感じでもなく、まずまずのできであった。以前からお世話になっている先生方は皆さんほめてくださり、誕生日としては僥倖であった。

特に、某K先生が「学部生向けの概説書作ろうと思っているんだけど君の得意分野のあれ、書かない?」と言ってくださったのはうれしかった。まあ、酒の席のことだったし「あれ、俺この店勘定払った?」とか(出てきた料理を見て)「あれ?これ頼んだ?」とかいう状態での発言だったので全面的には信じがたいのだが、なんとか実現の方向にこぎつけたら、と思う。そろそろ履歴書に「著書」を書き込みたい、という年齢なのだ。

日曜日はそんなこんなで、ある程度の達成感を胸に、大量のアルコールを血中にホテルに帰り、そのまま沈没する。気がつけば朝だった。

翌日は奥さんと浅草&かっぱ橋へ。あのフィリップ・スタルク翁設計の「金色のうんこ」ことアサヒスーパードライホールが見える隅田川沿いのカフェで誕生日を祝ってもらう。

Vfsh0230

その後、一応(ご本尊が何かももうひとつわからぬまま)浅草寺に詣で、仲見世通なんかをぶらぶらした後、合羽橋へ。

合羽橋はテレビなんかでも頻繁に取り上げられるし(昨日もNHKのロケ車が何台も我が物顔で路上を占拠していた)、ホーム・インプルーブメント大好きの我々夫婦にとってはぜったいずっぱまりの場所だろうとは思っていたが、行ってみるとやっぱりそうだった。

筒井康隆の短編にものすっごく長い商店街を旅するという「十二市場オデッセイ」(『家族場面』に収録)というのがあるが、まさにそのノリで、店から店へと足がはまって旅が進まない。食器や鍋釜だけでなく、食品見本とか、ポップとか、見るものすべてがクリエイティヴィティをくすぐる。しかも安い。

しかしそうはいっても出張帰りで荷物も多く、いくら安くても重たい食器や鍋なんかは買えない。ということで持って帰れる紙製品を買うことにする。某店で大量にロー引き封筒(こんなの)を売っていたので夫婦して色めきたち、初めて火を見た原始人のように興奮しつつ大量に買い込む。

なんでロー引きにそんなに興奮するかは、わからない人にはぜんっぜんわかってもらえないんだろうなあ。でもこれが「かわいい」のである。ちょっとした贈り物とか、ランチの包み紙にしたらしゃれているではないか。

Vfsh0231_1 同じ店にはホットドッグやハンバーガーの包み紙も売っていた(画像参照)。次回ハンバーガー祭りするときはこれありきですね>関係者諸氏。

旅をどんどん南に進めていくうちに、京都で言ったら町家を改造したふうの店舗で、小民具や食器なんかを扱っているお店を発見。非常に京都的なセンスで気になったので入ってみる。一階には食器や一部の家具、それから大量の引き戸(!)が置いてあり、どれも良心的値段。それから古いマージャンの牌や点棒を使ったストラップ、南京錠、手ぬぐいなんかもあって、どれもセンスの良さを感じさせた。

Vfsh0232 二階もさらに家具。合羽橋じゃなくて烏丸仏光寺ですよ、といわれたら信じてしまいそうなセンスである。

ここで奥さんは水屋にひとめぼれ。我が家にあふれかえっているCDを入れるのに収納が必要だったので、即購入。こちらも京都の感覚でいったら半値くらいの買い物であった。

ちなみにスタッフさんも、手をペイントで真っ黒にした修理担当(お店の奥が工房のようだった)の女の子とレジの女の子が二人、かいがいしく&いそがしく動き回っており、そういう意味でも感じのいい店であった。水屋の棚板がCDを入れるのに強度的にどうかな、という話をしたら、ただみたいな値段で補強を入れてくれるというのにも感動。

「それじゃあ土曜日に配送お願いします」と言いながら店を出るときに、入れ替わりで女の子が四人くらい入ってきた。その女の子のうちの一人が手から提げていた買い物が、僕らと同じロー引きの袋であった。なんだか妙に納得させられるものがあった。

このお店、とっても気に入ったのだが「ブログに載せてお客さんが増えて、値段が上がったり品数が減ったり掘り出し物を取られたりしたらいやだから名前を載せないで」と奥さんがのたまったので特に名を伏せる。

早めの夕食は、知らなかったのだが最近山手線北東部で盛り上がっているらしいドネルケバブ。秋葉原では「スターケバブ」さんが気を吐いているし、上野にも「モーゼスさんのケバブ」が複数店舗あるらしい。

しかしこれらの店は今調べて初めて知ったのであって、実際に行ったのは国際通り沿いにあって目立っていた「サライケバブ」というお店。お肉が串に刺さってくるくる焙られている光景に再び原始人化し、思わず入ってみた。

これがなんとまあ、なかなかどうしてうまい。ビーフ&チキンにトマトソースのサンドイッチだから外さないといえば外さないのだが、ほどよくあっさりしていて、ボリュームもちょうどいい。

同じピタパン系といえば、パリのサンジェルマンだかマレ地区だかで食べたファラフェルもおいしい(豆のだんごを口いっぱいに頬張る幸せ)と思ったが、奥さんなんかは「私はこっちのほうが好き」という。

店員さんも感じのいい人で、これからかっぱ橋に行くときはケバブだな、と思う。ということで、遅まきながら僕もケバブ・ブームに参加します。

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うりずんブレイク

表題のとおりである。若葉萌えいづる初夏(うりずん)の候、夫婦して某TVドラマにはまっている。今頃?というなかれ、毎週月曜深夜に数回分「一挙放送